12.血液がブッシャーン!
私はこの状況で行う"対処"を、すぐさま決断し呟いた。
「スキル発動準備」
<チートスキル:オノマトペ具現化発動>
<発動シークエンスを開始します。>
レアだって本当は今にも恐怖で叫びたいのだろうけど、白髪の少女を怖がらせまいと叫ばないでいた。
私は、少女の背中をさするレアの肩をぽんと叩いて立ち上がった。
<デンデン!デンデン!デンデン!デンデン!>
止まない混乱、叫び声。
砂浜には様々な殺され方があった。
一見ただ寝ているだけに見えるが、首が捻られて体全体が青くなっている人。
水着の上から着たシャツごとドロドロに溶けている人。
甘い匂いを漂わせた純白の
ゴーグル、麦わら帽子に手足が生えている状態で走り回っている人。転ぶとすぐに動かなくなった。
体が穴だらけの蜂の巣状になっている人。
他にもたくさんあった。
私はすぐさま
まだ間に合う命はある。
「あっ、あたしのボーイフレンドがあ〜〜!!!」
悲痛な叫びをあげる女の前で、男は上半身と下半身が真っ二つで立ったまま血飛沫をあげていた。
私はそこまで素早く駆け出した。
<デンデン!デンデン!デンデン!デンデン!>
まだスキル準備中の音声が頭の中に流れているうちに、下半身を寝かして上半身の切れ目とぴったり合わせた。
<システムオールクリア。チートスキル:オノマトペ具現化発動可能です。>
「ピタッ」
準備完了音声が流れ出す瞬間即座に、オノマトペを出して切断面を接着。
そして瀕死体の口を開け、そこに血液のオノマトペを流し込んだ。
「ドクドクドクドクドクドクドクドク」
「ちょっとやめて!うちのボーイフレンドに何するの!口から血を入れたって意味ないでしょ!」
女が私を引き剥がそうとしたその時、
「ゲホッゲホッ!」
男は、息を吹き返した。
「えっ、どうしてっ!?私のボーイフレンド!」
「た、助かった...!も、もしかして、君が助けてくれたのかい!?まさか君は噂のチートスキル<オノマトペ具現化>の使い手!?」「さあ」
無事に生きて動いているところを確認できたので、私は相手が言い終わらないうちに素早く答えた。
あっちにもまだ、同じ殺され方の......まだ助かる人がいる。
それに被害者たちを辿っていけば、この状況を発生させた原因......いわば"犯人"を発見できる可能性がある。
次の場所へ駆けるため私が立ち上がったその瞬間に、目の前を白い髪がよぎった。
「えっ!?」
さっきの黒パレオの少女だった。
何と彼女は私たちのすぐ横にいた、体全体が青くなっていた人の捻じられた首を強引にグキッとやって、下に戻した。
だがそれだけではまだ体色は青くなったままだ。
「ちょっと、何やっ—」
彼女は手に持ってきた木の枝で素早く体の至る所を突いた。
すると青かった顔にぐ「ぐわっと血の巡りが戻り、息を吹き返した。
「うわあっ!?はあっ、はあっ...!はあっ...はあっ...!?い、生きて、るっ...!?」
「まさかっ、助けっ、お前がゲホッゲホッゲホホグッッ!?」
なんと、むせる間に腹パン。
「うっ」と断末魔とともにその男は倒れ込んだ。
「安静に、あまり喋らない方がいい」
...私はそれを見てほんの一瞬唖然としたが、釘付けになっている場合ではないと向こうの砂浜へと駆けた。
... ... ...
砂浜の向こうの方では、驚くことに人は死んでいなかった。
悪い意味での騒ぎはなく、普通に賑わっていた。
私はその安心と、どうして
すると、さっきの黒水着白髪の少女の背中が見えた。
彼女は直立し、ぷるぷると震えていた。
「......」
「......。」
その肩甲骨を見つめる.........と、白髪の少女は振り向いた。
そしてあっちはあっちで、私を真顔で見つめた。
「...?」
私の溢れ出るオーラに見惚れてしまったにしても、流石に長すぎる時間見つめられていたので、流石に違和感に気がついた。
私は後ろを見た。
こちらの惨事に気が付いて向こうの方の砂浜からやってきた、野次馬たちがざわざわとしていた。
それを掻き分けて、お洒落なブラウンチェックのビキニとパリピじみた星形のサングラスを装備した、おかしな桃色の髪の女が、私たちのそばにきた。
「!?なんてこと...」
印象からは案外にものすごく清楚な声の女は、私たちを見てお辞儀をすると、明らかに手遅れになった死体へ駆け寄り、手を組み祈りを捧げた。
その後なんと少しすると、ぱああっと淡い光の柱が差し、ケーキになった死体から人型の魂が天に昇っていくのが見えた。
桃色髪のピチピチギャルの正体は<聖女>だった。
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