ざまあようそ2 ゆうしゃと!くものいと!(本編)

ざわざわと賑わうサーカス会場。


さあ今よりお見せしますのは、なんと!冒険者ギルドでA級まで上り詰めながらも、洞窟ダンジョンで油断して敗北してしまった、勇者パーティの皆さんです!!!


会場の皆さん、勇者パーティのお四方の、第二の人生を!ぜひ!盛大な拍手で応援してあげてくださいっ!!!


 拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!

 拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!

 拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!

 拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!

 拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!拍手!


勇者の前に巨大なライオンが現れる。

獰猛なライオンは大きく吠え、会場の空気が振動する。


勇者は上から蜘蛛の糸で垂れてきた剣を右手で握る。

そしてライオンに向かっていくが、勇者の足につながった糸が引っ張られ、目の前で看板が立ち上がる。


『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』

歴史英雄の姿とともにそんな吹き出しが描かれた看板が、勇者を守るようなポーズで立ち塞がった。


勇者がそれを避け、進もうとするが、また新たな看板が立ち上がる。


『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』


『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』


『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』


『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』『集え英雄(ゆうしゃ)たちよ!』


拳で打ち倒そうが剣で切り倒そうが、それは蛆虫のように大量に湧き出てくる。

もう避けきれない...!


その時勇者の引っ張っていた糸によって、どこからから首輪が飛んできた。

首輪は勇者の首にハマった。


それを外そうとついに首に手を回した勇者は、指に繋がれた糸に気が付き、ちぎろうと乱暴に引っ張った。


すると頭上から3つの人影が飛び出した。


それは古武道家ナップル・パイン、死霊術師ジミー・カンオレン、盗賊王ザクロサ・ブラックだった!

しかも、丁寧にかっこいいテロップ付きで!


3人は向かっていく。

ライオンは前足で3人を踏み潰そうとする。


パインとジミーは左右によけ、ザクロサは真ん中で「ズシィーン!!!」というテロップとともにそのまま踏み潰され、煙が舞った。

会場のどよめき。


しかし死んだと思われていたザクロサは実は生きていた!

ライオンの前足を受け止め、そして弾き返した!


「おお〜!!!」

歓声が上がる。


そしてその隙に死霊術師から無数の影が伸び、ゾンビモンスターたちが現れる!

ゾンビモンスターたちはライオンを取り押さえた!


そこにパインがエネルギー波を売った!

「ビシューン!」という音とテロップとともに、エネルギー弾はライオンへ向かう。


しかしエネルギー波はカーブし、ライオンには当たらない!

しかもその隙にライオンはゾンビモンスターたちを払い退けてしまう


「あ〜!」

会場のどよめき。


だが、カーブしたエネルギー波は輪っかとなり、首輪となった!


「おお〜!!」


拘束されたライオンに、一斉攻撃を仕掛ける!!


切り裂かれていくライオン!!

......だったが、なんとライオンの中から現れたのは大きなムカデだった!!

そのまま3人はムカデに盛大に吹っ飛ばされてしまう。


「ああ...!」

会場はどよめく


勇者は向かおうとするが、首輪が鎖に繋がれていて、動けない。

それどころか、学校の教室のような椅子と机が現れて、鎖に引かれて勇者をそこに座らせた。

服も勇者の勇ましい衣から、全身黒に金色のボタンがついた詰襟に着替えさせられていた。


倒れているがピクピクと動く3人。

勇者は目を逸らそうとしても糸に操られて、顔を真っ直ぐに向けさせられた。


会場から声が飛んだ。

「大丈夫だよ!だって本当は、パインは怒りと優しさを兼ね備えた伝説の戦士なんだぜ!」

「ジミーは最強の死神の末裔だし...」

「ザクロサは太陽の国の王様の生まれ変わりなんだ!」


「才能が!血統が!能力が!

覚醒して反撃するはずだ!!!!」


「頑張れええええええ!!!!!!!!!」

「負けないでえええええええええ!!!!!!!」

「覚醒しろおおおおおお!!!!!!」


その時、勇者は意図していないのに、指が自然に動いた。

それは、何故か。


3人と<糸>で繋がる勇者の指は、サーカス団長ホルダーが上で操っていたからだ。


<糸>を使って。


そのまま勇者の指は動き、3人は動き出した。


ムカデに向かっていく。


「いっ、行くな...!!ま、まって!」


しかし小さな震え声は、会場の声援と激アツなBGMにかき消された!


そして3人は、ムカデに飛びかかった。

人間ではありえない動きで跳躍し、旋回し、攻撃した。


人体が、壊れ、ぐにゃりと曲がり、骨が折れる。血が吹き出る。


「すごい!」

「鍛え上げられた本物の動きだ!!」

「他の偽物の娯楽なんかとは違う!!!!」

「傷つきながら戦う3人はかっこいい!」


最後はぐちゃぐちゃで真っ赤な血肉の塊が高速回転するカッターとなって、ムカデを切り刻み倒した!!!


その瞬間

「これが努力と友情の勝利だ!!!!!!!!」

そんなテロップとともに、花火が上がった!!!


花吹雪も飛んだ。


「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」


涙と鼻水でぐちゃぐちゃになり、意識をほとんどなくした勇者は、サーカス団員たちによって運ばれた。

「あ...あっ、あ...ああ」


顔を綺麗に拭かれ、無理やり笑顔を作られ糸で固定され、決めポーズもとらされた。

血肉は回収され瓶につめて、3人の姿が描かれたラベルが貼られた。


「さあ、それじゃあ本日のグッズ販売を始めさせていただきたいと思います!!!

もちろんオークション形式です!!!


「おおおおおおおおおお!!!!!!」


値段を書いたフリップをお上げください!

まずは古武道家ナップル・パインの瓶詰め!」


... ... ...


「今日もすごかったな〜!」

「さすがホルダー、天才だ!」

「最近ありがちな突然能力を得るとかじゃない、地道な努力を積んだ仲間たちが友情で苦しい困難に立ち向かう。やっぱりがこれがあるべき姿なんだよ!」

「ホルダーみたいな才能は100年に1人として現れないだろうな」


観客たちは嬉しそうに去っていった。


こうしてホルダーのサーカス団に新たな小道具『ユニークスキル<ゆうしゃだ蜘蛛の糸>ったもの』が導入された。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る