第7話 攻める竜石堂漆葉
ひとしきりにからかわれていると、「神無月 雪之丞!」何処かでみた女が道場破りのように颯爽と教室内に入ってくる。
これにたのもうがあれば完璧だった。
話題の中心である竜石堂 漆葉だ。
ジャージのイメージしかないがさすがに今は制服。
もう衣替えなのだが標準の青色ブレザーは装備してないけどな。
しかしながら、他の女子生徒と比べ背が高いのでやたらとスタイルがいい。
これに加えて学年で十本の指に入るほどの美少女なのだ。
なのでモテないわけがない。
その証拠に先ほどから男子の注目度が高く、俺以外は釘付けになっている。
「竜石堂、まだ何かようか?」
「よくも私に恥をかかしてくれたよね」
憤然とした態度で俺に挑む竜石堂は、昨日の対応では納得がいかなかったみたいだ。
学校指定ブラウスはスカートの中に入れず外に出している。
一見だらしないがネクタイと相まって竜石堂だとかっこよく映っていた。
しかしそのまま目線を下へ行き、青色チェック柄スカートに気なんか取られると白いオーバーニーソックスが冴えるリーチの長いローキック炸裂コースへ移行しそう。
外見の美少女っぷりに騙されて警戒は怠らない方がいい。
「全部お前の自爆だろうが竜石堂」
「違う。私の知識だと、俺様の愛奴隷になれ、可愛いバンビちゃんと呟いて無理矢理唇を奪うの。なのにあの仕打ち。予想を裏切った私の覚悟を無下にして許さない」
「どこのガチBL漫画だ。ぼけ! 裸ネクタイであれば完璧じゃないか!」
無駄な労力を使っていることに気づくと嘆息が出る。
これならまだ不良や族に絡まれた方が気は楽だ。
「今日こそは決着をつけるよ。私を焦らし戦法で罠に嵌めているのは明白なんだから」
「竜石堂、話はもう終わったはずだぜ。肥大妄想も大概にしておけ」
「終わってない。これからも私の戦いは続く」
どこの打ち切り漫画だ。
しかもそういうのに限って名作も多い。
言葉尻を捕らえるつもりだろうがありがたいことにオツムはスポーツ少女らしく脳筋。
なので早くこのくだらないゲームを終わらしたい。
終わった? 放置? 奴隷?
ひそひそとワードが教室を飛び交う。
俺には恐れていることがある。それが噂の拡散。
これは非常にまずい。
俺がネットに晒される未来が容易く想像できる。
実際昔もあった。
まじで洒落にならない。
昔ひかれそうな犬を車から助けてことがあり飼い主の少女に感謝された。
しかしどこで見ていたのか、あくる日、匿名少女がいやいや付き合わされている設定になって拡散、対応不可能になった。
結果は一週間の停学。
それにとどまらず神無月家の緊急総会、後継者否決案件にまで発展する。
情報社会を侮っていた。
今回も俺は危ない橋を渡っている。
しかもこういった裏工作は女子はとても得意なのだ。
特に集団になると手がつけられない。
是非とも竜石堂には穏便にお引き取り願いたい。
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