第4話 竜石堂漆葉は人の話を聞かない
「待って! 話はまだ終わってない。このままだと私達の学園生活が終わってしまうんだよ。あんた知っているんでしょ!」
「ああ、校内での不純異性行為は禁止されているだっけか」
「そう。それ! 学校でイチャイチャしてなんで退学なんだよ! そんなこと言ったら世界中低学歴のニートで溢れるよ!」
俺にキレるな恋愛脳。
「だったら安心しろ。記録は残してない」
「信用できない。学校一の札付きのワルにそんなことを言われても枕を高くして眠れない」
「ほら、確認しろよ」
勘違い女に躊躇いもなくスマホを投げ渡す。身の潔白を証明しないとどんどん俺のスクールライフが悪化する。
「確かにないけど……そう、パソコンに永久保存したね!」
「何故そうなる? 予想斜め上で頭痛いぞ」
「油断させて、ふへへへ、従わなければご自慢の豊満なバストと痴態をエロに飢えている投稿サイトへアップするぜと、うら若き乙女だとつけこんで脅迫するに間違いない。この鬼畜め!」
「別に俺は性的犯罪者でも女の敵でもない。信用して欲しい」
でも、何処からそんな情報を仕入れてくるんだ?
もしかしてムッツリ?
それに己の体に絶対の自信を持ちすぎだ。
自意識過剰だな。
「いいでしょう。私の体を好きにすれば。それで手を打って」
よっぽど自爆したいのか、この早とちりは純白のユニホームへ手を掛ける。
夏は少女を大胆にすると言うが、これはちょっとやり過ぎではないだろうか。
よく絞り込まれた腹筋が露になった。
あとは冒頭と以下同文で、「私の体を許しても心までは許さないんだからね」と俺の人生を終わらせかねない追い込みで――こうして今に至る。
「待て、待て! ふざけんな。見ず知らずの女体になんか興味がないぞ!」
「これも私を泥沼に引き込むためのテクニックだね」
交戦も空しくデカ女に軍配が上がる。
頭の中は既にダークシナリオが急展開しているに違いない。
「人の話を聞けや!」
「私の操を奪っても彼と培った絆は奪えやしない」
なんなんだ、この毒女は?
とても関わりたくないんだが。
高身長で確かにいい体つきをしている。
彫刻で掘ったみたいなスタイルの良さだ。
スポーツをやってるだけあるな。
顔も少女らしい可愛い部類だ。
モデル顔負けの均整が取れた目鼻立ちはさぞいたいけなチェリーどもを籠絡させてきたのであろう。
でも性格は駄目。
脳がしきりに警鐘を鳴らしている。
デンジャー! デンジャー!
それでなくても俺は巻き込まれ体質なんだ。
これ以上トラブルに足を踏み入れて新しい負の肩書きは増産したくない。
妹へ入らぬ心配は極力避ける。
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