人生諦めてたらイケメンに異世界召喚された件

語り手ちゃん

第1話 異世界召喚

 序章

 一人の学生くらいの女の子が図書館の中一人本を抱きかかえながら立っていた。

 こちらに気付いたのか、手招きをしてこちらに来いと促す。

 近くによると女の子はニコニコと微笑みながら話しかけてきた。

「こんにちわ!ここは初めてだよね?お話を聞きに来たの?えっ?違うの?でもまあ聞いて行ってよ今日が初めてのようだし…あっ

 この「人生諦めてたらイケメンに異世界召喚された件」って言うお話がおすすめだよ。

 女の子は持っていた本をこちらに向ける。

「その名の通りいじめられている女の子が異世界召喚されるお話だよ。このお話の女の子がどう変わっていくのかとっても面白いよ。」

 女の子はどこからか現れた椅子に腰掛けると

 心地よい声で物語を語り始めた。





 第1章

 高校生最初の夏、大事なリボンを燃やされた。


 私、鬼山明音は小中高と同じ人達にいじめられている。

 きっかけは片目のオッドアイが原因だった。私は普段からカラーコンタクトをして隠しているのだか、小学生の頃激しく遊び過ぎて、外れてしまいそれを付け直しているところをいじめっ子に目撃されてしまったのがきっかけだった。私はなんとか内緒にして欲しいと頼み込んだ。

 いじめっ子は承諾こそしてくれたが、その代わりの条件の提示が「いじめっ子の言う事を聞く」と言う事だった。

 そのお願いはずる賢く「永遠にいじめっ子の奴隷となる。」と言うものだった。

 私は訳もわからずに頷いてしまい、地獄が始まった。


 小学校の頃は隠れて叩かれたり、蹴られたりという暴力だったが、中学生に登ると暴力は当たり前で暴言などを隠れずに堂々と行われた。自分達に逆らうとどうなるか周りに知らしめたかったのだろう。やめたいと言うならば倍にしていじめられるので、中2くらいで諦めたが、私は希望で満ち溢れていた。なぜならここを我慢すれば高校で離れられると言う希望で満ち溢れていたからだ。

 私は中学校3年生になるとすぐにみんなとは遠くの偏差値が高い高校へと希望を出した。

 いじめっ子達は成績も授業態度も良くはなかったはず為私と同じ高校には絶対に行かないむしろ行けないレベルだった。

 私はと言うと頭は中の上くらいだったし、努力するのが嫌いではなかったため、受験が楽しみでしかなかった。

 そして受験日…私は時間前に登校しようと外に出るといじめっ子が私のうちで待ち伏せしていた。そうしてお陰で受験場に遅れてしまい無事に不合格となった為、高校もいじめっ子と一緒になってしまった。

 結局私の人生は希望なんてなかった。


 高校では私が違う人に話しかけようとするならば、すでに私の変な噂がいじめっ子達によって流され、居場所なんて本当に無くなっていった。

 奥で嘲笑っているいじめっ子には知らないふりをした。


 そんな学校生活の中でも私の心の唯一の光が私がとても大事にしている翡翠色のリボンだった。

 このリボンを小さい時に買って貰ってから

 ずっと髪の毛のどこかに見につけていた。

 色のせいなのか分からないが、翡翠色のリボンは私に安らぎをくれた。だから私は壊れなくて済んだのかもしれない、どんなに罵倒されても、どんなに傷つけられても。

 そんな大事なリボンが高校最初の夏にいとも簡単に燃やされた。

 いつもよりハードなドブ水を飲まされそうになったから少し抵抗を見せただけだった。

 いつもなら笑って済まされ、罵倒だと思ったのだが、今回は虫の居所が悪かったらしく

 私がいつも身につけているリボンを目に付いたのか、思いっきり引っ張ると私のおさげが解け、いつもとは違う行動に動揺していると

 目の前にライターがあったと思った。すぐに火を着火させ、メラメラと燃える火の上に

 見覚えのあるリボンが燃やされていた。

 すぐに取り返そうと立ち上がろうとすると

 押さえ付けられたと同時に年々傷付けられた古傷が痛む。

 返してと泣き叫んでも同じ人間とは思えない悪魔共は笑うだけでリボンを燃やしていく、

 そうして燃えかすが辺りに残り、遊び疲れたのか私と燃えかすを置いてどこかに行ってしまった。

 体がじくじくと痛い、いやそれよりも胸が痛くてしょうがなかった。

 そうして何かが壊れた音がした。

 動こうと思っているはずなのに体が動かない

 悲しいはずなのに涙が出ない。

 どうして……どうして?

 回る思考を停止するかのようにスマホが鳴り響く。

 スマホを見ると午後6時を指していた。

 動かない体を無理矢理動かし、スマホをスワイプし、母に図書館に寄っていると嘘を付き再びスワイプする。

 再び立ち上がろうとすると体がふらつき、

 また倒れてしまった、倒れた体には手当てされていない傷がファンデーションが溶けて露わになっている。

 親にバレなかったのはファンデーションを塗りたくり、体の至る所の傷を隠していたから

 大好きな親にバレたくなかった。

 心配されなくなかったのと、親に行った時の仕返しが怖かったから。

 でも今日はもうそれも終わりだ。ファンデーションも取られて、お金もほとんど持っていない為これで帰り、バレるしかないだろう。


 帰りたくない。でも帰らなければいけない。

 私は転んだ衝撃で中身が散らかってしまったスクールバックの中身を片付けながらそう深く思った。するとカッターがカバンから顔をのぞかせた。

 今死ねば楽になる、?

 その思考が顔を覗かせて頭の中を支配する。

 首に当ててみる…が私にはここで刃を滑らせる勇気は一切無かった。

 やっと涙が流れた。

 この涙はしょっぱくて薄く水っぽい。

 そういえば涙は流してる感情で味が変わるらしい。しょっぱかったら悔しかったり、腹ただしく、薄く水っぽかったら嬉しかったり、悲しかったりするそうだが、私の涙はよく分からない。自分の気持ちもわからない。

 もう、どうでもいいや。

 私はふらつく体を無理矢理動かし、歩き出した。一歩また一歩確実に進んでるはずなのに駅までの道のりが大変長く感じた。



 私はまたふらつき、とうとう道端で座ってしまった。

 もう歩けない。そう思っていると辺りに不思議な円が私を囲った。

 まるで小説である魔法陣のようだなんて考えていると同時に円は光出したと同時に私の体が魔法陣に沈んでいった。















「必ず、また私は貴方に会いに行く。

 約束よ。」

 遠い約束が魔法陣の中に確かにあった。















 ……………………起きろ……って

 …………おい、女。


 呼ばれてる?なんかゲームであったな、

 私は閉じていた瞼を開けた。


 すると先程までのコンクリートの地面ではなく、辺り一帯が自然で埋め尽くされていた。


「俺を無視するとはいい度胸がある。」

 背後からイケメンボイスが聞こえた。

 すぐに振り返るとイケメンボイスに引けを取らない整った顔と翡翠色の瞳に目が奪われた

 そして髪の毛はなんとシルバー……まるで

 ファンタジー小説みたい……

「精霊を召喚しようとしたら、人間?しかも女。それにその服…あの機会が発達した世界のやつか……ぶつぶつ」

 イケメンはぶつぶつと何かを呟いている。

 カッコいい……お人形みたい…まって

 落ち着け鬼山明音……これってまさか小説でよくある。

 異世界召喚って奴なの??

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