【ドラマ/創作】中華に沼る・「陳情令」と意外な盲点

 前回のエピソードにも書きましたが、22年度は中華風ファンタジー小説を書きたいなあと思っていました。しかし中国文化の知識は、残念ながら三国志どまりです。

 そこでふっと我に返ったのです。何故今まで中国文化に興味を持たなかったのか。


 漢字だ!!

 もっと具体的に言うと、名前の呼び方の多さに戸惑ったせいかもしれません。

 実は中国文化に触れようと、たまたま「陳情令」というドラマを知りました。

 元は「魔道祖師」というBL小説とのことですが、ドラマの方はブロマンス物になっております。

 「陳情令」や「魔道祖師」がどんな物語なのか、解説は省略します。ご興味がおありの方は別途詳しいサイトがあると思うので、グーグル先生で探してみて下さい。

(すみません。なんせ私、説明とか苦手なので)


 映像というのは実に多くの情報を与えてくれます。髪型や衣装、建築物や風景。

 自分でイラストを多少描くので、実物を見ることができたり写真があれば、そちらを参考にできるほうがイメージを掴みやすいです。


 それで「陳情令」を観始めたのですが……。

 なんなんですかね。第一話がある意味とても衝撃的でした。

 戦いの場面から始まり、黒髪黒づくめの美形なお兄さんが崖から落ちて宙ぶらりんの所を、全身白づくめの衣を纏ったこれまた長髪美形(この表現しかできないのか)の麗しい御方が、負傷しているのか流血にまみれた手で、彼を落とすまいと必死に掴んでいるのです。

 良いのです。イケメンが苦境に立たされてそれに足掻いている様を観るのは。

 しかもこの場面で二人は最低でも友人同士というか、親しい間柄であるのだなというのがわかります。期待も高まります。

 

 という導入部を経て……過去から現在へと話は進んでいくのですが。

 観ていて戸惑った理由。その一。


 誰が誰だか、誰の事を言っているのか、名前が多すぎてよくわかんない!


 「陳情令」は古代中国を舞台とした架空の国のお話で、主人公たちはいわば、仙人のような不思議な力を持っています。有名な一族(仙家)が5つあって、それぞれの住む土地と姓を組み合わせて呼ばれます。

 

雲蒙 江氏うんむジャンし

姑蘇 藍氏こそランし

清河 聶氏せいがニエし

蘭陵 金氏らんりょうジンし

岐山 温氏きざんウェンし

 

 仙家には一族の長である「宗主」という方がいて、その人の息子や弟子とか更にいるのです。もうお分かりですね。登場人物の数が半端ない……!


 主人公の魏無羨ウェイ ウーシェン(冒頭で崖から落ちかけている黒づくめの彼)を例にとって、名前の呼び方を並べてみます。


①姓+名 ⇒ 魏嬰ウェイ イン

 家族や目上の人が呼べる呼び方。


②姓+字 ⇒ 魏無羨ウェイ ウーシェン

 誰でも呼びかけることができる呼び方。


③号   ⇒ 夷陵老祖いりょうろうそ

 画家でいう所の称号みたいなもの。夷陵は土地の名前。老祖は開拓者、みたいな意味があるそうです。彼は物語中で、死者を操ることができる技を編み出しました。

それの開祖、みたいな感じかもしれません。

 

④○○ちゃん ⇒阿羨ア シェン

 家族の間での親しい呼び方。姉が弟に呼びかけるようなかんじ。


主人公だけでもこれだけあります。他者との関係や親密度によって、呼び名が変わるのです。登場人物の数だけ……!!


 ですから。「陳情令」を観る時は、吹き替えでなく字幕で観るのをおすすめします。めちゃくちゃわかりやすいです。

 原作の「魔道祖師」はアニメが始まりましたが、あちらは吹き替えなので、初見では厳しいかも。

 今回は物語の魅力について語ることができませんでした。

 名前の説明で力尽きた……。

 またの機会に、物語について好きな所とかを語りたいと思います。


 最後に。

 「陳情令」は舞台美術や小道具、衣装が本当に緻密で魅力的です。

 私が最初に興味を持ったのは、役者さんではなくてそこでした。

 意外と中国建築についての資料って、入手できるものが限られています。


 「陳情令」はファンタジー寄りですが、例えば、魏無羨ウェイ ウーシェンの故郷は、蓮花塢れんかうという所で、大きな川や湖がある土地です。蓮の花が咲き乱れてとても美しい場所です。余談ですが、魏無羨ウェイ ウーシェンの姉(血は繋がっていない)はよくレンコンの汁物を作っていました。美味しいそうです。蓮の実が食べられることを、実はこちらのドラマで知りました。


 ああ、奥深いですね。物語を作るというのは、主人公たちの生き様を描く事。

 そんな風に感じました。

 原作者さんのインタビュー記事で、登場人物の設定はかなり詳しく作り込んでいると読んだ記憶があります。違っていたらすいません。

 けれど自分も今、そうだよなあって感じる所があって、休載中の自作小説の見直しをしています。


 お話の流れを追うばかりだと、話にキャラを合わせて面白くない。

 そんな呟きもツイッターで見ました。


 こんな私ですが、ライフワークになるかもしれない100万字超えの長編を書いていました。過去形なのは一応、完結したため。

 その時は本当にそうだったんです。

 主人公の置かれた状況を追うような形で話を考えていました。まあ、自分の為に書いている話だったので、妙なひねりとか受けとか仕掛けとか考えるつもりが全くなく。辛い状況で何を心の支えにしていたのか、とか。その心の底にあった本当の気持ちは何だったのかとか。

 そういうことを追いながら書いていたためか、長い話にもかかわらず、自作品の中で一番多くの星を頂いた物語です。


 キャラと向きあうのも大切だなあっと。

 ついでなので、その小説のリンクを掲載しておきます。

 いえ、宣伝目的ではないのですよ。念のため。


海洋ファンタジー

「ロワールハイネス号の船鐘シップベル」(完結済)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888533289


 次回は何について書こうかな。

 




 

 

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