第16話 ライバル?

「何、にやけた顔してんの。たく、ヘルム以外の女の子と三回もしてどうすんの」

 先生はどことなくご機嫌斜めだ。

「どうして知っているって顔をしてるよね、わかるの私には」


 じゃあどうして姫の居場所がわからない、そう言いかけて航は口をつぐんだ。どうせ考えは読まれるのだ、あえて口にして機嫌を悪くさせる必要はない。


「それだけが不思議なんだ、絶対君の周りにいるはずなんだ、もちろんお姉さんやお母さんじゃない」

 冷や汗が出た、美咲との会話が筒抜けになっていると感じたからだ。


「そうだよ、いちゃついてる時の会話は聞こえてくる、ってあの子に言っときなさい。発信を止めないと筒抜けだって、いつまでたっても半端なんだから、前の時も観ていてはらはらしたんだから」


「そういえば先生」

「みなまで言うな、だましたことは悪かった。お詫びにパンツ見せるから、ほら」

 先生は脚を大きく広げた、その瞬間鼻血が出そうになった。


「先生はいてない」

「え、」

 慌てて足を閉じた先生の顔が真っ赤だった。珍しく慌てるのがおかしい。家でノーパンとはいったい何をしていたんだか。


「あんたたちだけ楽しんで、それを強引に見せつけられたら」

 つまりは一人で……。

「それ以上想像したら殺す」

 珍しく先生が、語るに落ちている。今の光景は目に焼き付けて、帰ってからのおかずにしよう。


「はぁ、あれだけやりまくったくせにまだ私をおかずにするつもり、変態だな、相変わらず」

 相変わらずとはどういう意味だろう。

「ツバイ大尉もそうだったから」


 前世なんて知るかと航は思った。高校生の男子なのだ、当然の反応じゃないのか。

「ま、そのうちおかずなんかじゃなくて、しようよ」

 先生が甘えた声を出した。

「もう一回見る? 」


 どこまで本気なのか、絶対にからかわれているが、先生の仕打ちについては受け入れることにした。どう考えてもかないっこない。


「で、大事な話ってなんですか」

 航は話を変えた、というよりこっちが本来の目的だ。


「あんたの妹が言ったでしょ、もう一人の生まれ変わり」

 わざわざ妹というところにとげがある。


「ツバイ大尉と姫を取り合った人物がいたの。要はライバル、その人も転生してる。正確には君と同じタイミングで転生してたみたい。なぜか覚醒したみたいだよ」


 男かと思ったところで、先生ににらまれた。

「私もひっぱたいてあげようか」


「いえ、結構です、美咲ので十分です。ところでライバルって」

「メルチ大尉、君の士官学校の同期生」


 言われてもまったく思い出せない。

「誰ですかそれ。それと、もう俺の周りにいるんですか。そのメルチとか言う人は、なぜ急に覚醒したんですか」


「もう急ぎすぎ、ゆっくり話してあげるから待って。まず、覚醒の理由は、私の胸を触らせたから」

 航は自分が思ったより衝撃を受けたことに驚いた。自分以外の男に胸を触らせた、先生が。


 そりゃ、先生は自分の彼女でもなんでもない、でも、何もほかの男に。

「なんで、どこのやつですか、なんで先生はそんな奴と」

 つい声に出してしまった。







  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る