第7話 デートしたいよ〜。

放課後になる。

俺は心臓があり得ないぐらいにバクバクしていた。

口から心臓でも吐いてしまいそうなぐらい。


それもそうだ。

何故なら俺は今。

凪宮さんの家の前に居る。


放課後に下駄箱で交換し合った住所に呼ばれたのだ。

でも何だろうか。

俺みたいなのが良いのか?、と思う。

凪宮さんの家なんかに近付いて.....しまって、だ。

というかまあ俺が凪宮さんを俺の家に呼んでいるので何とも言えないけど。


でも今回は次元が違う。

女子の家にお邪魔するのだ俺が。

俺なんかが。

だから次元が違いすぎると思う。

考えながら俺は凪宮さんの家を見上げたまま居ると。


「何しているの〜!?」


バラバラに帰った為もあるが。

凪宮さんは自宅から俺に手を振っていた。

気付かれてしまった様だ。

俺は赤くなりながら、う、うん。ゴメン。ちょっと緊張して、と言う。

すると凪宮さんは、そっか。今から鍵開けるね!、と笑顔で俺を見てくる。


そしてガチャッとカギが開く音がする。

それから凪宮さんがドアを開けて飛び出して来てから門に手を掛けた。

よくぞ来てくれましたな、とふざけた様な言葉で言ってくる。

俺は、う、うん、とだけ返事をした。

凪宮さんは、もー。緊張し過ぎ、と苦笑する。


「そんなに緊張するもんなの?逆に不思議」


「.....だって.....女子の家って.....初めてだし.....」


「そうなの?アハハ。そうなんだ。じゃあ緊張するよね。あ。えっとね。今日はウチに誰も居ないから」


「.....家に誰も居ない?」


「そうそう。フリーだから。まあまあ入って」


「ちょ!?それってアリなの!?」


アリって何が?あ。家族が居ない事?

良いの良いの!、と笑顔になりながら俺に笑みを浮かべる凪宮さん。

そして、この家は自由奔放なの、と苦笑い。

俺は!?と思いながら、ああ。だから鍵を掛けていたのか、と思う。

一応はセキュリティ面はしっかりしないといけないだろうし。


「.....でも仮にも俺は男なんだけど.....良いの?」


「カレピーだからねぇ」


「そ、そっか。じゃあお邪魔します」


家の中は普通の感じだった。

普通の一軒家だ。

しかし俺には次元を全て超越して見える。

ここが.....凪宮さんの家、か、と。

明らかに俺は変態ですよね?


「こっちだよ!早速部屋に行こう!」


「え!?あ、う、うん」


「どうぞどうぞ!」


それからそのまま部屋に案内される。

凪宮さんにしてはちょっと白な感じのシンプルな部屋だった。

だけどぬいぐるみ、化粧品などは置かれている。

まさにギャルの部屋だった.....が。

これが.....女子の部屋か!


「ねえねえ。どう?私の部屋。貴方に見せたいものがいっぱいあるから」


「そ、そうなの?」


「そう。あ。小説も買ったんだ。実は」


「へ!?」


ベッド下から10冊ぐらいのラノベが出てきた。

この部屋には似合わない本。

でも凪宮さんは全く抵抗無しにパラパラとページを捲る。

それから、この子可愛いよね。栗宮シズルっていう子だけど知ってる?、と俺に柔和になって聞いてくる。


「.....う、うん。この子は.....恋ラノ(恋は常に崖っぷちだけどラブコメします)のヒロインだよね?」


「わ!やっぱり知ってた!嬉しいな。流石はラノベ博士!アハハ!.....あ。お茶持ってくるね。紅茶とか切らしてて。ゴメン」


「う、うん」


そのまま俺は取り残されるが。

え?凪宮さんの部屋の何処に座れば良いのだろうか俺?

まさかベッドに?

そんな訳にはいかないだろうしな。

こんな俺だから。


「.....ライトノベルでも立ったまま読むか」


俺は納得する。

このまま下手な動きをしたら嫌われる。

部屋の香りも良すぎて卒倒しそうだし.....。

凪宮さんに申し訳ないけど。

折れ目がつかない様に几帳面に読んで、と思ったら。

熱中し過ぎた。



「面白い?」


暫くしてから俺はそんな声にハッとする。

それから顔を上げた。

青ざめる俺。


しまった。

オタクのサガだ。

つい熱中してしまった!!!!!

声も入らないぐらいに!

俺はぎこちない態度で見るとラノベを膝に置きながらニコーッとしている凪宮さんが視界に入った。


「ご、ごめ。せっかくのデートなのに.....」


「デート?何が?これ?.....違うよ〜。デートって言わないよこんなの」


「え!?これデートって言わないの!?」


「デートっていうか遊びに来ているだけじゃん」


すると、うん?そういえば確かにデートってそれらしいのしてないよね、と俺を見てからニヤーとしてくる凪宮さん。

俺はしっかり青ざめた。

そして、な、凪宮さん?、と聞いてみる。


「今度の土曜日はデートだね」


「.....え!?」


「だって私とリューキは付き合い始めて一度もデートしてない」


「.....そ、そうだけどそんないきなり!?」


「私はデートがしたい」


「.....!」


凪宮さんはジッと真剣な顔で俺を見てくる。

そして笑みを浮かべてくる。

可愛らしい上目遣いの。

俺はその姿を見ながらラノベを置く。

それから、う、うーん、と悩む。


「リューキの行きたい所に行きたいな」


「た、楽しくないと思う。.....あ。こ、今回は凪宮さんが行きたい場所に行こう!け、計画が立ってないし」


「.....え?私.....」


「.....そう。凪宮さんの行きたい所」


「え?私に付き合ってくれる.....の?」


不思議そうな顔をする凪宮さん。

え?、と思いながら俺は目をパチクリする。

それから凪宮さんを見る。

凪宮さんは、そんな人は初めてだね、とニコッとした。


「.....でもそれだったら最後にアニメショップにも行きたい。絶対に」


「.....え!!!!?何で!?」


「いやいや。私のメイク用品とか服を買うのに付き合ってもリューキがつまらないでしょ?ダメダメ。それは絶対にデートとは言わない」


「.....!」


「.....私もリューキが好きなラブコメアニメの事とか。もっと知りたいし。これ.....なんて言うんだっけ?ウィン.....何たらだよ」


「.....」


凪宮さんはまたVサインを指でした。

そして俺を見てくる。

俺は赤くなりながらもその可愛らしい笑顔に。

押されてしまい、分かった、としか言いようがなかった。


そして.....何というか。

結果デートはアニメショップとかにも行く事になった。

良いのかこれ.....?

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それでも地球は廻る。恋を乗せて アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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