第2話

買ってきた惣菜をチンしてそのまま食卓に並べる。ホットケーキも並べた。気づくかな??私のお誕生日。気づかなくても、もういいの。何気ない会話をしながらご飯を食べた。幸次は珍しく出掛けず、スマホのゲームをしながら寝落ちしていた。


会社の帰り、気づいたら駅前のスナックの前に立っていた。いつから貼られているのか、古ぼけた従業員募集の貼り紙を見つめていた。きれいなキャバ嬢にはなれないけど、スナックでママの手伝いは出来ると思う。ドアがすごく重く感じたけど、私変わるの。コロンコローン、ドアに取り付けられた渋い鈴がなる。今日はまだお客さんがいないみたいで、ママらしき人がこちらをみて「いらっしゃい」と声をかけてくれた。「従業員募集してますか??」「働きたいの?訳あり?」訳ありに見えるのだろうか??何て答えていいのかわからなかったけど「働かせてください」と千と千尋の神隠しバリに答えた。「いいわよ、今日から働ける??」「はい!!」これまた千と千尋の神隠しバリに答えた。


「山倉さん、エッチ~」田舎のスナックに来る下品なおじさん達はところ構わずそこらじゅう触ろうとする。チップだと言って万札を下着に挟みたいとせがむ。お店違うよ。手で受けとる。「美奈子ちゃん、さっぱりしてるな」さっぱりじゃない、嫌なだけだ。適当に避けながら、今日のお仕事は終わった。ママは今日の日給と言ってはだかでお金をくれた。「来られる日に来てくれればいいよ。最近の子はね、シフトとか決めると、休みたい日に電話してくれなくて突然来なくなっちゃったり、こっちがショックを受けちゃうのよ。だから、来られる日に来てくれればいいから。その日その日でお金払うから。今は私以外誰もいないから出来るだけ来てくれると助かる」


私変わるの。

毎日スナックで働こうと決めた。


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