第16話 当たりはハズレ?
次の日。
朝起きるといつもの景色が広がっている。
「おはよぉ……」
「お、おう。おはよう。三日目か」
目の下にクマが凄いシホヒメが首を縦に動かす。
「まあ、今日こそはしっかりガチャを回して枕を手に入れよう。朝食の準備するから待っててくれ」
リビングに出て朝食を準備する。
ん? 三人前作ったはずなんだけど、全部食べてる。余程お腹が空いてたのかも知れない。
簡単に朝食を食べて、寝不足三日目のシホヒメと共にダンジョンに向かう。
「シホヒメ。そろそろ同じ階層で狩ろうか」
「あい……」
朝食を食べたあと、集めた魔石をもらったけど、とんでもない量だった。
今日は二十連を回せられそうだ。
《配信が開始されます。》
『今日はホワイトナイトくんはいないのか』
『昨日ニュースになっていたぞww』
『そりゃ……殺人未遂だからな。普通に』
「昨日は通報してくれたリスナーありがとうな」
『おうよ。リン様に感謝しろよ』
「ははっ! ありがとうございます。リン様~!」
何故かシホヒメも一緒に跪く。
少し空気を読むようになったのか?
『残念美女のクマやべ~』
「今日三日目だからな。今日こそはガチャを回して枕を出そう」
『頑張れよ~!』
『残念美女のために働け~!』
『リン様☆彡 リン様☆彡』
それにしてもリスナーの数がとんでもないことになっている。
《視聴者数:1,091》
開始の時点で四桁人数なんて、一体何が起きたんだ……。
『主の頭の上に乗っているのがブラックスライムか』
『めちゃ柔らかそうなんだけどw』
『可愛い~!』
お、おう……コメントの雰囲気がまた変わったな。
新規リスナーが増えるのはありがたいことだけど、急すぎて俺の気持ちの整理が追いつかない。
ええい……! なるようになれ! 別に新規が入ってきたとて俺の色を変えるつもりはないしな。
「リン。今日もよろしくな」
「あいっ~」
今日もダークラビットに向かって、リンの棘が伸び始める。
伸びる速度も一瞬で十メートル先の魔物ですら、一瞬で刺して倒す。
『リン様も慣れてきたな。棘が目で追えないや』
『あの棘に刺さると麻痺るらしい』
『ああ。ホワイトナイトくんが一瞬で麻痺ってた』
『エム氏、ホワイトナイトくんの麻痺した写真も出回ってるぞ~』
『最強護衛従魔ブラックスライムのリン様☆彡』
すっかり人気者だな。
コメントが盛り上がりながら一時間狩りをして、魔石ポイントを二千まで貯めることができた。
「さて、そろそろガチャを回しておこう」
「!?」
シホヒメが目覚まし時計みたいに反応して跳ね上がる。
人間って嬉しい時ってああ飛ぶんだな。子供がよくやるよな。
《10+1連を回す》
早速ボタンを押し込んでガチャを回す。
二度目の十連ガチャは、やはり、白い筐体が現れた。R以上確定だな。
ハンドルが時計回りに回ると、口からガチャカプセルが落ちて来る。
黒、黒、黒、白、黒、黒、黒、黒、黒、白。
『お~! Rが二つも落ちたぞ!』
『十連いいな!』
「枕! 枕! ま! く! ら!」
カプセルが開いて、中から野菜やら缶ジュースが現れる。
一つ目の白いカプセルからは、虹色の光に包まれた白い大きな羽根が一枚だった。
二つ目の白いカプセルからは、立派な瓶が一つ現れた。
『今回は変なのが出たな。瓶は酒っぽいな』
「う~ん。ラベルにはワインって書かれているな。アルコール15%としか書かれてないな」
『ワインは銘柄がないと高く売れないぞ~』
『でもガチャから出た食品って美味しいんだよな?』
「一応野菜とかジュースとか凄く美味しいな」
『Rから出たんだからめちゃくちゃ美味いワインかも知れん』
「それならお客様用に取っておくか」
『羽根は?』
今度は羽根を手に取る。
触り心地は非常にいい。
《帰還の羽根:ダンジョン内部でのみ使用可。パーティー全員でダンジョン外に転移する。一回使うと消える》
「帰還の羽根というアイテムで、使うと一瞬でダンジョンから脱出できるらしい。使い捨てだけど」
『めちゃレアじゃん!』
『ダンジョンからいつでも逃げれるってめちゃ高く売れそう』
『上位探索者に売りつけようぜ!』
「ま、まあ……一応売るのも視野に入れておくか」
羽根をしまうと、うずくまって地面に指でツンツンと押し込んでいるシホヒメが見える。
「シホヒメ。二回目の十連ガチャを回すぞ」
「!? はい~!」
二度目の十連を回す。
黒、黒、黒、黒…………黒、赤。
あっ…………。
文字通り膝から崩れ落ちるシホヒメ。
枕が出るのは白いカプセルだけ。黒からは出ないし、今回最後に出たのは白でもなく赤色だ。
『赤キタァァァァァ!』
『また上のレアリティか? 最近エム氏の運気が上がってきたな』
「十連を回すと確率が少し上がる気がする。まあ、ボーナスがNじゃなくなるだけでも十分凄いけどね」
黒いカプセルの中からはいつもの野菜やお肉、スリッパなどが溢れ出る。
最後の赤い色はRの次のランクである、
中から飛び出したのは――――青色の腕輪だった。
《魔法耐性腕輪:魔法に対する耐性を得る》
「魔法耐性腕輪……? これは強いのか?」
『すげぇのキタァァァァ!』
『魔法耐性腕輪とか絶対大当たりじゃん』
『今調べているけど、そもそも装備品で効果があるものは稀で、ドロップ品も武器と鎧しかないから相当高額品になりそうだぞ』
『底辺探索者が持っていい品じゃねぇぞ!』
「そんなことはどうでもいいいいいいい!」
急にシホヒメが大きな声をあげた。
「お願い! 枕を! エムくん!」
飛んできたシホヒメが俺の足に抱き着く。
「お、おいやめろ! ズボンが脱げちゃうだろ!」
「お願い! もう私はエムくんのあれじゃないと無理なの! 寝れないよ!」
「また変な言い方すんなああああ!」
『エム氏のあれ』
『ギルティ』
『残念美女必死☆彡』
シホヒメが俺に向かって全力になる中、俺達の前に二人の人影が現れた。
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