パートタイム異世界転生-余談

伊都海月

女王殿下へのプレゼント

 異世界ダイアリーを開くとレイからの相談が書いてあった。王女様にプレゼントとして渡しても怪しまれず、通信機能や護衛機能を付けられるようなものが何かないかと言う内容。


たしか王女様は、12歳で小柄な少女のはずだ。そして、銀の物質をクリエートすることができるんだよね。攻撃魔術はまだ身に着けてないから護衛機能を付けたいわけだ。


ド〇〇〇んみたいな便利ロボットなんて実現出来たらいいんだろうけどさすがにな…。


 通信魔術なんてもんレイも精錬してないから魔術では難しいのか…。まあ、こっちの携帯電話やトランシーバーは半導体がたくさん使ってあるからコピーも精錬もできない。携帯電話は運営会社が必要だから、概念として伝えるならトランシーバーだな。


 少女に送っても怪しまれないプレゼントって言うと何だろう…。しかも護衛機能か…。ますます、ド〇〇〇んか…。ね〇型にしないで他の動物のぬいぐるみにしたらかわいい護衛ができるかもしれないな。


何の動物にしたらいいか母さんにでも相談してみようかな。


 15歳にもなって母さんに相談って変?まあ、しようがないよね。つい最近まで入院してて家族の他に僕の状態を理解している人っていないから…。


アイテムボックスって言うスキルを持ってて、アイテムボックスの中で科学精錬をしたり、回復薬を作ったり、エアカッターなんていう魔術まで作れるなんて誰も信じてくれないよね。


なんでも相談できる友だちってみんないるのかな。みんなと違うってやっぱりみんな受け入れがたいことなのかな。退院して学校に通い出して、クラスの中に話せる友だちもできた。


話すことと言えば、みんなと話すことと言えばゲームのことテレビの番組のことユー〇〇ー〇の登録チャンネルのこと。


僕は知ってるくらいで話が盛り上がることがない。頷いてみんなの話を聞いて時々笑うくらい。これから半年くらいで友だちができるのかな。少し不安だ。


「ただいまー!」


「お帰り。」父さんが帰って来た。


「今日は、早かったんだね。」


「おう、一緒に飯でも作るか?」


「いいねぇ。何作れるの?」


「何でも作れるさ。でも、やっぱりカレーが良いか?キーマカレーなんてどうだ?それとも餃子がいいか?」


「餃子がいいな。作れる?」


「作れるさ。じゃあ作るぞ。」


 材料は冷蔵庫に入っていた。餃子の皮は、僕が作った。精錬魔法便利。前作ったから作ることができた。誰にもない僕の力だ。



「じゃあ、具を包むぞ。手伝ってくれ。」


僕たちは、話をしながら餃子を包んだ。


「父さん。12歳の女の子に送るプレゼントで怪しまれないものって何かある?」


「12歳か…。微妙な年齢だな。思春期に入っている子もいるしな…。んー、ぬいぐるみか、クマのぬいぐるみ何てどうだ。こっちの世界かあっちなのか?」


「あっち。」


「あっちか…。あっちの世界のクマは可愛いのか?スゲー怖かったらダメだろうな…。どうせならこっちの世界にもいないキャラクターを提案するのはどうだ?ミ〇〇〇ーとか玲が考えたものとかな。」


「僕もぬいぐるみ考えたんだよね。可愛いの定義がこっちとあっちで違うかもしれないからどうしようかと悩んでいるんだ。」


「話をしながらで良いから手を動かすぞ。後20個は作るからな。」


「三人で100個?そんなに食べれる?」


「食べれるさ。もうすぐ母さんがビールを買って帰ってくる。」


「母さんにもプレゼントの話聞いてみるんだろ?」


「うん。」


 じきに母さんが帰って来て餃子パーティーが始まった。


母さんにプレゼントのことを聞くと

「パンダのぬいぐるみ。」

の一言で終わった。


 次の日小さめのパンダのぬいぐるみを買って来て精錬コピーしてアイテムボックスホームスペースに登録した。


もう一つ声を伝える簡単な道具として糸電話を作って精錬コピーしてホームスペースに登録した。


アイテムボックスの熟練度が上がって、ディメンジョンボックススキルを手に入れてからアイテムボックスを複数次元持つことができるようになったんだが、ホームスペースに精錬術式をコピーすると向こうの世界でも作ることができるようになる共有できる。


ヒールやエアカッターなんかは、向こうでレイが精錬してくれたから僕が作って使えるようになった魔術だ。


異世界ダイアリーにぬいぐるみのことパンダと言うこっちで一番かわいいと思える動物のぬいぐるみを精錬できるようにしたことと、通信方法としてトランシーバーと言うものがあるが今のところ精錬できないこと、トランシーバーでできることとスイッチやスピーカーの構造と役割なんかを図解付きで書いておいた。


糸電話を使う時の注意点、糸をしっかり張っておかないといけないことも書いた。後は、向こうのレイたちの工夫と向こうの道具を応用してくれると信じよう。


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ダイアリーを開くと玲からの情報が届いていた。ヌイグルミ。布や毛布生地で綿をくるんだもので動物の形にしてあるのか。白と黒の柔らかい毛でおおわれた可愛い動物を模した物だな。


そしてトランシーバーと言う道具か…。二つで一組になっていて一方に向かって話したことを遠くにあるもう一方が声にする。声にするのはこのスピーカーと言う部品か。


同じような仕組みの部品で声を電気信号と言うのに変えるのか…。声は振動なのか。糸電話を精錬して取り出し、試してみた。


 一方をミラ姉に渡して小さな声で話す。


「ミラ姉、聞こえる?」


ミラ姉の方を見るとミラ姉も糸電話に話しかけていた。


「ミラ姉、僕から話すから耳の方に当ててみて。」


 もう一度、小さな声で話す。


「ミラ姉、聞こえる?」


 僕が糸電話を耳に当てると

「聞こえるわよ。これ面白い。」


「ねえ、ロジャー僕たちが話していた声聞こえた?」


「まあ、ぼそぼそとは聞こえたけど、声が小さかったから何を言っていたのか分からなかった。」


「そうか。声が糸を伝わって聞こえるのか。これ糸無しで声を伝える方法何かないかな。それをヌイグルミの中に仕込んでおく。護衛機能はどうしよう。どの位の大きさにしたらいい?」


「レイ、そのパンダのぬいぐるみって言うのこの位(40cm程)の大きさで作ってみてよ。まず、可愛いかどうか見てあげる。」


「作ってみるね。」


毛は短毛密でふわふわにして、芯はミスリルを発砲させて丈夫で軽くしたうえでゴーレムコアをつける。


「アンディ―、魔石を混ぜた発砲ミスリルブロックを作るからさ、クリエートでゴーレムの芯を作ってよ。火の魔石と氷の魔石の両方を混ぜ込んでおくから均一になるように人形の芯を作ってね。」


僕が、人形の芯を図解にした物をアンディ―に見せるとイメージ通りのゴーレム芯を作ってくれた。


アイテムボックスの中に入れて周りをフワフワの綿でくるんで短毛フワフワの白黒ツートンカラーのパンダにした。


「かっ可愛い…。」


ミラ姉絶賛。


「おいで。」


ミラ姉が手招きするが、動かない。だってゴーレムコアには魔力を込めていないから。


「ミラ姉、ここから魔力を充填してみて。」


僕は、背中のひもを緩めて綿をよけゴーレムコアを出した。


「ここから魔力を込めたらいいのね。」


ミラ姉コアに手を当て魔力を流し込んだ。


 僕は、コアの周りの綿をきれいに慣らして背中のひもを締めた。次からは、背中に手を当てれば魔力充填はできるはずだ。


「これで、ミラ姉の言うことを聞くはずだよ。」


「本当!じゃあ、呼んでみる。おいで。」


 白と黒のぬいぐるみはトコトコとミラ姉の方に歩いて行った。


 ぬいぐるみを抱き上げるミラ姉。


「かっ可愛い…。あなたに名前を付けてあげる。あなたは…、キラね。白と黒の両方の意味。キラ、ピョンピョンして」


 その場でピョンピョンと小さくジャンプするキラ。可愛い。


「おいで、抱っこしてあげる。」


手を伸ばして近寄ってくるキラを抱き上げるミラ姉。キラもミラ姉も可愛い。


「ああっ。フワフワして温かくて気持ちいい。この子、癒される。素敵」


うっとりとした目でキラを抱きしめるミラ姉。

「今日から私、この子とずっと一緒よ。」


「ちょっと待って、キラをコピーさせて、ミーシャ様にあげるぬいぐるみの原型にするからお願い。」


ミラ姉は、キラを渋々貸してくれた。


(良かった…。)


「アルケミー・キラ」


キラがもう一体出来た。


ミラ姉の魔力登録をしているキラは直ぐにミラ姉に返したよ。ミラ姉は、直ぐにキラを抱えるともう絶対離さないなんて言いながら部屋に戻って行った。


 それから僕たちが考えたのか護衛機能。この大きさのゴーレムだとコアを二つ使うと素早さと力は普通の人間の5倍くらいの出力は出すことができる。ただ、体重が軽すぎるから破壊力はない。


だから基本は頭突きだ。そうすると白いからだが血に染まってしまいかねない。じゃあ、頭突きをするときは、汚れないようにするためには頭からすっぽり何かの中に入っていればいい。


それでぬいぐるみがすっぽり入れる先が尖った樽のようなものを作る。樽と言ってもミスリル性だ。先が尖ったミスリル性のたるをかぶって敵に頭突きをする。


ぶつかっていく先が見えるようにとがった先は透明にしておく。透明ミスリル。水晶とミスリルを魔術精錬して作ったもの。かなりの魔力が使って先端のほんの少しだけを透明にできた。


ぬいぐるみのお腹の部分にマジックバッグを入れて頭突きヘルムを収納した。これで護衛機能はクリアだ。


 最後まで何とかならないのが通信機能だ。糸電話の糸無しに話ができるようにしたい。糸電話よりもずっと遠くにいても話ができるようにするにはどうしたら良い?


糸の代わりに魔力を使う。離れたところで魔力を伝えることができるのは何だ。離れた場所でも魔力で情報のやり取りをしているのはゴーレム。ゴーレムは声を出さないけど作戦を立てて遂行する。


複数ゴーレムでも魔力で情報のやり取りをしているのなら一つのゴーレムコアを二つに分けた時情報の共有ができないかな。もう一度すぴーかーとまいくの仕組みを見てみる。音の圧力が強いとたくさんの電気が流れてそれを送る。沢山の電気が送られてくるとスピーカーの紙がたくさんひかれて大きな音になるんだ。でもこの世界では電気はうまく使えない。うまく使えるのは魔力だ。


 ゴーレムコアは、様々な物を魔力の変化で感じている。魔力登録をしたマスターの命令を理解できるのも、マスターから発せられる命令を魔力の変化として感じているからだ。言葉、つまり、音に反応しているわけではない。だから、ゴーレムは話すことができない。魔力による情報交換はしているのにだ。逆に言えば、音を魔力の変化に帰ることができれば、ゴーレムは、情報を共有することができるということになる。


 ここからが、課題になる。玲の世界では、電気の流れの強弱を信号にすることで音を再現していた。一つ目の課題は、魔力の強弱を作る方法だ。しかも、音に反応して強弱を作らないといけない。


 電気の場合は、粉にした伝導体を筒の中に入れることで、粉が押し付けられるとつまり、音の圧力が高いと電気をよく流し、音圧が低いと少ししか電気が流れないようになっていた。音圧が高いとゴーレムコアに魔力が沢山流れて、低いと少ししか流れないような仕組みを作れば、ゴーレムコアは、音を魔力に変換して共有することができるんじゃないか。この仮説で実験を組み立ててみる。


 まず、魔力を通しにくいアダマンタイトで作りたいところだが、高価だし、手元にないので、次に魔力を通しにくい銅で筒を作り中に魔石の粉を入れる。銅の筒の一方は、ライトバットのはねの被膜だ。丈夫で、薄く、弾力があり、魔力を貯めることができる。もう一方は、魔力の通りがいいミスリルで閉じてある。こうすれば、音が大きい時は、音圧で被膜が押し付けられ、強い魔力が流れ、小さい時は、少しの魔力しか流れないようになったはずだ。


もう一方、魔力を受け取る方は、魔力を振動に変えないといけない。振動する物質は何でもいいはずだ。魔力が大きい時にたくさん前に出て小さい時に少しだけ前に出る。柔軟性があって複雑な動きに対応できないといけない。しかも、魔力に反応する物質って何がある?魔力に反応して動くもの…。それってゴーレムそのものじゃないか?


僕は、ため込んでいるゴーレム素材からなるべく柔軟性が高く加工しやすそうな物、やっぱりミスリルを選んで薄いミスリル泊に加工すると、筒の一番コア側に着けて振動するための空間をとってコアと接合させた。コアに対する指示は、受け取った魔力の強弱に合わせてミスリル泊を動かすことだ。


「ロジャーできた。」


 魔石とコアに魔力を充填すると部屋の外に持って行ってもらう。話すのは僕からと決めている。


 「聞こえるかいロジャー。」


僕が尋ねると直ぐに返事が返って来た。


「聞こえるぞレイ。成功だ。」


「一度戻ってきて。」


 僕はロジャーにお願いした。


「村の外まで出ていたけどとってもきれいに聞こえたぞ。後は、王都からここまで届くかと、魔力がどのくらいもつかを試さないといけないな。」


「それで試したいんだが、ロジャー、この魔石の粉とゴーレムコアに魔力を充填することができるか?」


「やってみた。魔石には充填できたが、コアには無理だ。このコアはレイがマスターだからな。」


「やっぱりか。じゃあ、僕の魔力を充填した魔石でコアと魔石に魔力充填できるか試してみて。」


「魔石でどうやったら魔力を充填できるんだ?」


「分からない。ロジャーならできるでしょ。」


 しばらくの間いろいろやっていたが…。


「できた。魔石をコアと魔石の粉が入った筒に当てて魔石の後ろから俺の魔力を入れていくと入りきれなくなった魔力がコアと粉に移動していく。」


「流石ロジャー!」


 これで魔石に僕の魔力をいれてぬいぐるみのアイテムバッグの中に保存すればかなりの間使用できる。


 スピーカーとマイクをヌイグルミの顔の所に埋め込んでみる。スピーカーの前面には軽くて丈夫なミスリル網で保護しておいて、触った感じがゴツゴツならないように綿を均一にしかも厚くなって音が伝わらないことがないように包まないといけない。


 次は、通信装置の魔力充填装置を考えないといけないる。頭の中にスピーカー兼マイクを埋め込んだため魔石をコアと魔石の粉に押し当てることができなくなった。それでミスリルの導線を魔石が入った筒とコアからパンダの鼻の所につなぐ。鼻に魔石を押し当ててロジャーがやった方法で魔力を押し出す。魔力が、コアと魔石の粉の入った筒に移動していったのが確認できた。


 ほんの少ししか移動しなかったけど減っていないからしょうがない。これでかなりの時間会話しても一月位持つんじゃないかな…。まあ、魔石はたくさん入れているから当分魔力切れの心配はない。


 もう一つのスピーカーマイクは持ち運びしやすい大きさにしないといけない。スピーカーはできるだけ大きくするが片手で持てる大きさにしたい。形は持ち心地が良いように角を取った薄めの長方形のボックスにした。


「じゃあ、実験だ。ロジャーこの持ち運び用の通信装置をもって町まで走ってみて。着いたこの通信ボックスで着いたって教えてよ。アンディ―も一緒について行って。護衛だよ。」


「了解。」


 10分ほどしてクマのぬいぐるみからロジャーの声が聞こえてきた。


「着いた。これからどうしたら良い?」


「今から王都方面に向かって明るいうちに着くかな?」


「王都か…。着くとは思うけどな。」


「やっぱり、ダメ。一度村に戻って来て」


「どうしてだ?」


「いろいろ持って行ってもらうものがある。どうせ王都に行くなら、うまくいった時はそのままプレゼントしてきて欲しいから。」


 「そうか。じゃあ、村に戻る。」


10分くらいでロジャーたちが戻って来た。


「じゃあ、僕の魔力を充填した魔石を20個ぬいぐるみのポケットに入れておくからね。ロジャー王女殿下に魔力充填の仕方教えて来てね。それから、この回復ポーションは4本ずつ渡しておくね。1本で十分って言ってたけど念のためね。後、お金は、大丈夫?」


「お金は大丈夫だ。宿代くらいは余裕で持っているし、いざとなったら薬師ギルドにこの上級ポーションを2本ずつ売れば金貨20枚以上になる。だから大丈夫。」


「じゃあ、行ってくる。」


 ロジャーたちが出て行って7時間位たったかな。僕は、持ち運び用の通信装置を手に持ってそわそわしていた。


「着いたぞ。」


 突然ロジャーの声がした。なんか対策採らないと突然声がするとびっくりする。さしあたり通信の時間を決めるかな…。


「聞こえるよ。ロジャー。実験成功だ。じゃあ、王宮に連絡を取って王女陛下に会えるようにして。アンディーの名前を出せは確実にあってくれると思うから。王宮への連絡は調剤ギルドにお願いしたら良いよ。以上。ロジャー返事どうぞ。」


「了解した。今から調剤ギルドに行って連絡を頼んでくる。以上通信を終わる。」


 王女陛下への護衛と通信機能付きのプレゼントはうまくいった。王族の国民への挨拶の時王女殿下がパンダのぬいぐるみを抱いてしたことでぬいぐるみの大ブームが王都に訪れた。


 ちらっと見せただけなのにたくさんのコピー商品が出回ったのだが王女殿下が持っていたようなモフモフフワフワのぬいぐるみを製作できた商会は一つもなかった。しかも夜会で王女殿下の後ろをトコトコとついて歩くぬいぐるみを見た貴族のご令嬢たちは絶叫したらしい。


 それから数週間後、王女殿下のぬいぐるみと同じようにトコトコ歩くぬいぐるみがフォレストメロウの町で目撃されたという噂が王都に流れ、たくさんの怪しい者たちが町で見られるようになった。


 ぬいぐるみの情報を掴み一攫千金を狙うやつらだ。そのぬいぐるみはキラ。ミラ姉は、キラと離れたがらない町に行く時は、どうにか我慢させているがぬいぐるみをアイテムバッグの中に入れているだけだ。いつキラともどもさらわれるかわからない。


「アンディ―、王都に何個かゴーレム芯のぬいぐるみを下ろそうと思うんだけど手伝ってくれない?」


 僕はアンディーに相談した。二人で作った方が作り主がばれにくいし、複製が難しくなるみたいなのだ。


「俺が、芯を作って、レイが外側を作るんだな。アイテムバッグと温か機能は無しだよな。」


「そう。ゴーレムコアも一番小さい奴で十分だろう。可愛くて一緒に散歩したり遊んだりしてくれれば大丈夫だと思う。」


「いくつ作る?」


「ミスリルじゃなくて発砲アルミでつくってくれる?アルミならたくさんあるからいくつでも作れるんだけど…。50個くらい作ろうかな。」


「了解だ。発砲アルミとやらを出してくれ。」


 僕は発砲アルミを10kgほどアンディーの前に出した。一体分の発砲アルミは200g程度それに綿とフワフワモフモフの短毛の外皮を付けて出来上がりだ。あっと言う間に50個の動くぬいぐるみを作り、ロジャーとアンディ―に王都の商会まで運んでもらう。


 王都の商会にぬいぐるみを持ち込むと商会長と言う人が現れて一体魔力登録をして試したかと思うとすべて買い取ってくれた。一体金貨200枚。全部で金貨1万枚だ。


 これは冒険者を一生しても簡単に稼げる金額ではない。10年は贅沢して暮らせる額だ。その上、もう200体も注文してきたらしいが、納品にしばらくかかると返答して帰って来たと言っていた。金貨4万枚の取引なんて怖くてできない。金貨一万枚は、薬師ギルドのカードに入れてもらった。


 王都に動くぬいぐるみが出回ったという噂はあっと言う間に広がりフォレストメロウの町に怪しい奴らの姿を見ることはなくなった。よかった。


 王女殿下にぬいぐるみが手渡されたことで殿下はたくさんの冒険を行い、ぬいぐるみは様々な都市伝説を残すことになるのだがそれはまた別の話。本編で確認していただければ幸いです。


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