旧約聖書やイスラエル王国のような世界になりたっている作品ですが、その世界観の描写が素晴らしく統一感があり美しいです。
よく見る西洋的ファンタジーや和風ファンタジー、中華ファンタジーとは全く違う空気感で物語が展開されるので、慣れるまでは取っつきにくさも感じましたが、自分が読むのに慣れてくるとその新しい感覚が癖になっていきました。
ストーリー構成とキャラクターの配置も精緻で、読み進めるほどにのめり込める作品だと思います。
砂漠、神と人の関係、宝石と散りばめられた描写が作品のテーマとキャラクターをよく支えていて、完成度をとても高めています。
作者が古代イスラエル世界について豊富な知識を持ち、好意を抱いてよく理解されていると伺えます。
文芸として価値の高い作品とは、このような作品のことだと思います。