5話目
「さ、始めましょうか!」
「おうよ」
場所は空き教室。机を数個並べ、その上に百枚のトランプが並べられている 。
「順番どうする?」
「なんでもいいわよ」
「普通にじゃんけんでいいんじゃねぇの?」
「オーケー。それじゃあ、じゃんけん ポン」
「ポン」
そうしてそれぞれ出したのは、黒神がチョキ、雅空がパー、四宮がパー、夜桜はパー だった。
「ちぇ、黒神のラッキー勝ちかよ」
「へ、負け犬の遠吠えだな」
「はやく始めましょ」
いつまでたっても冷静な夜桜がいい始まっていく。
「じゃ、時計回りな」
最終的な順番は、黒神、夜桜、雅空、四宮となった。
時は過ぎ
2枚1組と考え、いまの合計は黒神は9枚、四宮は11枚、雅空は9枚、夜桜13枚。机の上にある枚数は12枚。腐っても天才たち、なかなかに接戦である。しかし、やはり一番は夜桜であった。
「あら、あんなに大口叩いたわりには追い込まれていあるわね、黒神くん?」
余裕綽綽といったように四宮が黒神のことを煽っていく。それに対して黒神は
「うっせ、まだ逆転できるだろうが」
と苦しい言い返ししかできない。そんな黒神に次の番が回ってくる。
(ここを逃すと負けは確実になる。なんとしても5組はとらないといけねぇ)
まだめくられていないカードは4枚。5組とるとしたらそれこそ運ゲーとなる。ここできめられるかは日頃の行いできまるといってもいいだろう。
(日頃運をつかっていないから引ける!いざ!)
・・・・・・・・
放課後
「まけた~~~~」
「は、やっぱり最下位はお前じゃねぇか、黒神~」
ニタニタと満面の笑みで黒神のほうに向きなおる雅空。
「だまれよ、遼の情けで3位になったくせに」
「はいはい、すねない、すねない。やっぱり強いわね、夜桜さん。」
「あれぐらい当たり前よ」
今の会話からもわかるように、最終的な成績は黒神は9枚、雅空は10枚、四宮が13枚、夜桜は15枚という形になり、 順位は夜桜、四宮、雅空、黒神となった。
100枚神経衰弱が終わると同時に昼休みの終わる5分前のチャイムがなってしまったため、四人全員で急いで片付けたため、こうして100枚神経衰弱の結果について話すのは放課後の今となったわけだ。
「で、夜桜さん黒神に下す罰ゲームは何にするんだ?」
黒神の悔しがる姿に満足したのか罰ゲームなどという後出しのルールを持ち出し、夜桜はと問う。
「はぁ?罰ゲームだぁ?そんなもん聞いてねぇぞ!」
「当たり前だろ、言ってないだからな。それに、お前も俺が最下位だったらそうしてただろ?」
「ぐっ!」
図星である。
「そうね。何にしようかしら?」
いつもならこんな話にはのってこない夜桜だが今回ばかりはなぜか乗り気である。
「夜桜様ぁ、どうかがご慈悲をぉ~」
どうにかこうにか罰ゲームをなくそうと必死に夜桜の足元で土下座をしてる黒神
「それなら、休日私の専属執事でもなってもらおうかしら?当然、執事服きて」
「はぁ?お前に専属執事なんていらねぇだろ!」
と、夜桜が言い出したことに素でツッコんでしまう黒神。しかし、黒神のいうことも間違いではなく、実際夜桜の家には従者が存在するため夜桜専用の執事なんてものは必要ないのだ。
「あははは!それいいじゃねぇか!それにしようぜ!」
「いいわね、私も見てみたいわ。楽しみね」
黒神のツッコミも無視され、もともと罰ゲームに乗り気だった雅空に加え、興味本位で賛成してくる四宮。こうなってしまったら世界の理と言ってもよい多数決により、黒神の罰ゲームがきまってしまう。
「くそがぁー!!お前ら覚えておけよ!」
「なぁ、夜桜さん。その日夜桜さんの家いったらダメかな?どうしても見てみたいんだ」
「私もお願いしますわ」
「別にいいわよ?」
「やったぜ」
「ありがとうございます、夜桜さん」
「遼まで悪乗りしやがって」
そんなこんなでこの日、黒神は一日限定の夜桜の専属執事になることが決まったのであった。
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