3話目
【遅刻でここまで言われるのは納得いかない】
P.M.9時26分
冬の寒さはなくなりやっとの思いであたたかな日差しと鳥の声が聞こえてくる季節。黒神は寝ていた。
学校は10時である。いつもは起きている。しかし、やつはまだ寝ているのである。
......
時はすこし過ぎ
P.M.9時51分
まだやつは寝ている。冬の朝の寒さがなくなったというのにまだ布団の中で夢を見ている。黒神の家から聖爛中高学園まで8分あったら着くのだが着替えてる時間を考えると起きないとまずいのである。しかし、もう一度言うがやつは寝ている。
......
それから数分が過ぎ
P.M.9時54分
やつはついに起きた。
「んぁ~~~~。良い朝だ」
時計を見る、目を擦る、しかし時計は54分を指したままだ。より詳しく言うのなら黒神が目を擦っている間にもときは進み、たった今55分になった。
起きたばっかりの覚醒していない黒神の頭ではそれを理解するのにまだ数秒必要だった。そして
「、、、、、、やべーーーー!!!」
ことの重大さに気が付きベッドから跳ね起きる。布団なんてかまっている暇など今の黒神にはない。
(これはマジでやべえ!!こんなこと四宮にばれたら殺される!いろんな意味で! )
黒神は、まずパジャマを脱ぎ捨て制服に着替える。そのあと、顔を洗い、歯磨きを咥え、授業の教科書などリュックに入れていく。
(くそ、今回は用意してないのが裏目に出た!)
用意をいつもしているように言っているが残念なこと今までに一度もしたことがないから、裏目もくそもないのである。そんなことを考えることもできないほど黒神は追い込まれている。なんやかんやで56分に準備がおわり、家をでる。もちろん朝ごはんは食べていない。
「行ってきまーーす」
誰もいない家に声を残しながら自転車を出し跨る。学生用自転車にあるペダルの硬さを調節するメモリは当然最大の3。朝から全速力である。
「くそがぁー!!なんでこんなに学園はこんなに朝早いんだよー!!」
いや、早くはない。どちらかというと世間一般からすれば遅いほうだ。
一方その頃、教室では
「なぁ、四宮。今日、黒神遅くね?」
「そうね、確かに遅いわね。まだ、寝ているんじゃない?ふふ」
「かもな。はは」
和やかな会話をしている。
雅空のちょっとした笑い声と同時に教室のドアが開かれる。
しかし、そんな二人の予想とは裏腹に黒神は必至にペダルを漕いでいる。
現在58分。学園までの距離はあと少し。校門を抜け駐輪場に学校の入り口に一番近い自転車庫に自転車をおき、学園に入る。今黒神が置いた自転車庫の場所は本来は3年生が使用するはずのものだけど、そんな細かいことなど気にするはずもなく階段を駆け上がる。現在59分24秒。教室の扉まであとすこし。42秒。扉に手をかける。57秒。
(間に合えーーーー!!!!!!! )
《ガララララ!!》
思いっきり扉を開き教室の中へと入る。 そして
「しゃーーーーーーー!!!間に合った!!!」
ガッツポーズをする、黒神。そこに担任は
「アウト。指導室来い」
「そんな馬鹿な!!時間は10時まで!!おれは間に合ったはず!!ですよ!!」
担任の顔をみて思い出したがごとく敬語を最後に付け足す。
担任は腕時計を見ながら
「そうだな。でも、時間は10時ぴったしだ。しかし、お前が入ってきたのは10時2秒だ。だからアウトだ」
「そんな~~」
肩を落とす黒神。
そんなやり取りをみたクラスは
「「「あぁ、こいつは馬鹿だ」」」
そんなクラスの気持ちなんて知らず、黒神は敗北感に襲われていた。
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