《絡まれる》

パーティーを結成してから俺たちは依頼を着々こなしていっていた。そして俺はCランクとなった。エルクもCランクだったらしく「追いつかれたー!」と叫んでいた。

そんなある日のことだった。

「おい!カイ=ミナトガワぁあ!」

なんだよ!

「決闘だ!お前んとこの女2人をかけてだ!」

は!?

「何言ってんだ!?お前!」

エルクが唖然とした表情でいう。

「俺はリーダーじゃない。」

ギルドではパーティー同士の決闘はリーダーに申し込むことが決められている。

「嘘つけ!お前以外にリーダーいるか!」

エルクなんだけど...

「オレがリーダーだ。」

エルクが名乗り出る。

「こんな冴えない地味男なわけないだろ!」

エルクまあまあ顔整ってる気がするんだけど?この世界基準だとそういう部類に入るのか?

「あのー、なんで受ける前提なってるんですか?こっちは拒否権ありますよ。」

スフウがかなりキレ気味で返した。確かに自分達が賭け対象になってたら不快な気持ちにもなると思う。

「...」

あっ黙った。やっぱり勢いだけで決闘申し込んだのか。

「く、くそ!」

踵を返し、向かった先は...

ガシャーン

後ろで大きな物音がした。そういや、もう一人いた!?

「返して!」

ミズキが焦った様子で追いかける。なにがあった?

「あいつら、ミズキが大切にしてるものを!」

スフウが普通にキレた。

というか周りは突如起こった出来事に唖然としている。

俺とエルクはなにがなんだか分からずそのままミズキを追いかけることにした。


ー路地裏ー

「はぁはぁ。どうしよう。」

ミズキが泣きそうな顔で立ち尽くしてるのを見つけた。

「ミズキ、どうした?」

「盗られた...」

「ミズキ大丈夫!?」

スフウが追いついた。

「なにを取られたんだ?」

エルクが訊く。

「御守り。」

御守り?紐にみどりの石がついてるやつ?

「うん、大切な人からもらったやつなのに...」

「エルクさん、あのクソ野郎達の決闘受けましょう。こっちが勝ったあかつきには謝罪と...」

スフウのあの男達の呼称がだんだん悪くなっている気がする。それと普通に目がマジで怖い。

「あ、うん。分かった。」

エルクもおんなじことを思ってたのか

「受ける、けど!お前が一番落ち着け!」

半ばヤケクソで叫んだ。


ーギルドー

「おい、さっきのやつら!決闘受けるぞ!」

エルクが声を上げる。

周りにいた人たちは

「受けるのか!?」

「あいつら、いろいろあくどいことしてるぞ!」

めっちゃ心配してきた。

「ありがとうございます。絶対に潰してくるので。」

最後物騒なことを言うスフウだった。できればほどほどにな。

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