《いざ契約》

「俺、かいは汝としんなを交換し、ここに縁を築く。」

呪文を唱えた瞬間、視界がぐにゃりと曲がった。

ーーーーーーーーーー

「ねえ、ねえ。」

ここどこだ?

「えっと、さっきのグリフォンか?」

しゃべってる!そのことに普通に感動を覚えた。

「そうだよ。僕の真名しんなは【ウィング】。」

「翼?」

「うん、グリフォンの言葉で“大空を駆ける者”っていう意味もあるんだ。」

そうなのか。あっ、俺の真名しんなわかんねえ。聞いときゃよかった。分からなかったらどうするか。ふと、小さい頃よく遊んでいた女の子が言っていたあだ名を思い出す。


うみ』と...


なんかこっちの方がしっくりきた。

「俺の真名しんなうみだ。よろしく。」

「せっかくだから名前つけて欲しいな。」

「名前あるだろ?」

「あっちは真名しんなだから違う名前持ってた方が都合がいいんだ。」

そういうものなのか?

「分かった。じゃあ、お前のこと“フェザー”って呼ぶよ。俺の地元と交流している国の言語で翼や羽を意味するんだ。」

「へぇ〜、いい名前だね。ありがとう。」

気に入ってもらえて何よりだ

「あっそういえば、何て呼んだらいい?」

なんでもいいんだけど。

「カイさんって呼ぶね。これからもよろしくお願いします。カイさん。」

「あぁ、こっちこそよろしく。フェザー。」

そう言った瞬間また視界がぐにゃりと曲がった。

ーーーーーーーーーー

「海くん、紋章早く決めた方がいいよ。」

狐耳少女の確かミズキだっけ、そう言った。あれっ?名前教えたっけ?けど紋章か、えーとどうしよう?あっ、あの日本の伝統紋違い鷹の羽を使わせて貰おう!

ー 5分後 ー

我ながらうまくできたと思う。

「すごいねー。」

「すごいですね。」

すごい言われた。すると見守っていたアルフレッドさんが

「おい、カイ。」

「はい、何ですか?」

「お前パーティー組んでみないか?」

えっ?誰と?

「俺の従兄弟に斥候スカウト職業ジョブを持ってるやつがいるんだよ。」

従兄弟か。男子だったらいいな。女子だと気まずいし。

「そういえば、ミズキの嬢ちゃんパーティーメンバー探してたよな?」

「探してますけど、なんでそんなことを?」

「それが何ですか?」

スフウって子言い方に棘あるな。アルフレッドさん嫌いなの?

「まぁ、若い子で親交深めてくれってことだよ。とりあえず、パーティー申請書は出しておいたから。」

あとは、がんばれと言わんばかりに手を振って去っていたのだった。俺らはこの意味を理解した途端

「「「えーーーーーーーーーーーー?!」」」

と叫んでいたのだった。

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