第9話父親との邂逅

佐渡島から愛知県名古屋市に戻った椿と鹿波さんは、高速道路に乗って津ICを走り、三重県殿村にやってきた。探偵からの情報によると、鹿波さんの父親はここで一人暮らしをしているという。

「ここが父親の家か・・・」

そこはなんの変哲もない平屋の一軒家だ、表札には西平と書いてある。

「ここにお父さんが・・」

鹿波さんは手に汗握り緊張した表情になった、そして意を決してインターホンを押した。

ピンポーンという音と緊張が響く、そして玄関のドアが合いた。

「はい、どなたでしょうか?」

初老の男がドアを開けてでてきた、鹿波さんは咄嗟に質問した。

「あの、加藤英輔さんですか?」

「はい、そうですが」

「・・・娘の鹿波です。」

鹿波は静かな声で言った、英輔はキョトンとすると何かを思い出したかのように言った。

「もしかして・・・、鹿波なのか?」

「はい、そうです・・・」

お互い黙り込んだまま、沈黙の時間が過ぎていったが、やがて英輔が口を開いた。

「すみません、また話がしたいので一旦出直してくれませんか?今は心の整理がつかなくて、話ができません・・・」

「わかりました、それではまた翌日ここに伺います。」

椿と鹿波は一旦、英輔の家から離れることにした。

「父さんに会えてよかった・・・」

鹿波は少し嬉しそうにつぶやいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る