第7話阿部さん(2)
カスミさんの失踪と関係のある謎の集団、その正体をつきとめるべく我々は、阿部さんへ取材を続けていく。
「それで、あなたはどのような手引きをしたのですか?」
「病院の裏口のカギを開けて、非常階段から奴らを侵入するように手助けしました。それとこれはカスミの戦略というものだけど、カスミの病室を変えさせました。」
「それはどういった意味が?」
「患者が少ない階に移動させたんです、そうすることで見つかる可能性を減らしたのです。」
「なるほど、それで彼らはどうやってカスミさんを運んだのですか?」
「カスミさんの両肩を二人でもって、慎重に歩かせました。」
「なるほど・・・、事件が発覚した時あなたは警察には何か聞かれましたか?」
「ええ、夜中に怪しい人を見なかったか、もしくは歩いているカスミさんを見なかったか、何度も聞かれました。その度に私は見ていませんと言っていました。」
すると阿部さんは、すすり泣きながら鹿波さんへの謝罪の言葉を述べた。
「鹿波さん、あなたには本当に酷いことをしたわ・・。あの時、カスミさんを引き止めることができたら・・・。でも、もう取り返しがつかないことをした・・・、もうごめんなさいしか言えません」
「そんな、こうして協力してくれるだけでありがたいことです!顔を上げてください」
何とも言えない懺悔の光景に我々は、ただ見ていることしかできなかった。
阿部さんの気持ちが落ち着いたところで、椿が最後に質問する。
「では、カスミさんが今どこにいるのか解りますか?」
「・・・わかりませんが、心当たりがあります。失踪する前に、ここに住んでみたいと何度も言っていました・・・」
その場所は、新潟県の佐渡島だった。一体、なぜカスミさんはここに行きたいと言い出したのだろうか?
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