第6話阿部さん
我々は加藤さんと一緒に、阿部さんに会って取材することになった。阿部さんは雷羽さんよりも少し若いご婦人だった。
「今回はよろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「では取材の前にお聞きします、以前の取材で雷羽福実さんという方からあなたの名前を聞きましたが、ご存知ですか?」
「はい、大学病院で働いていた時の先輩です。」
「そうですか、それで加藤さんとはどうして知り合ったのですか?」
「あたしとカスミさんは、小さい頃から友だちで、カスミさんが失踪するまでは付き合いがありました。鹿波という名前もあたしとカスミさんで話し合って決めたんです。」
「そうだったんだ・・・」
鹿波さんは少し驚いた表情になった。
「それでは、当時カスミさんが行方不明になったことについて、どう思いますか?」
すると阿部さんが突然すすり泣きだした、我々と鹿波さんがなだめると彼女は語りだした。
「実は・・・、あたしが手引きをしたんです。彼女を失踪させるための・・・」
椿と鹿波さんの目付きが変わった。
「それはどういうことですか?」
その先が気になる椿が聞くと、阿部さんは驚愕の顛末を語った。
「入院する二ヶ月前だった、カスミさんがあたしに相談されたのです。出産したら、あたし姿を消すつもりでいるって・・・。理由を聞こうとしたけど、話してもらえませんでした。でも友だちとしての付き合いから、あたしは手を貸すことにしたんです。」
どうやらカスミさんは、何か事件に巻き込まれてしまっている可能性があるらしく、身を隠すために協力を求めたようだ。
「それで、あなたは何をしたのですか?」
「カスミさんをここから逃がすために、病院内を通れるようにしてほしいのと、病院内に人が少ない日にちを教えてほしいというものです。あたしは当時夜勤で、当日はあたしだけというシフトだったので彼らを部屋に通すことができました。」
カスミさんを逃がすために病院に来た彼らとは一体何者たちなのか・・・?
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