第4話助産師
我々は助産師の
雷羽さんはふくよかな六十代の女性、午後七時に自宅に伺い取材した。
「あー、二十五年前のあの件なら今でもハッキリと覚えているわよ。本当にあれは異常なことだと今でも思うわ。加藤カスミさん、出産予定日を三日も前倒しして、お産になったのね。もう、担当医も看護師も急なことで驚いていたわ。旦那さんも慌てて病院に来て赤ちゃんを見ていたわ。それでお産になって一日たったころかしら、病室から加藤さんがいなくなっていたの。退院の日はまだ先だし、出産後の体で自発的に病室を抜け出すのは不可能よ。」
「当時、加藤さんを見つける手がかりはありませんでしたか?」
「無いわね。警察も捜索していたけど、当時は病院に防犯カメラが無かったから。ただ、病室に置き手紙があったのよ。」
「置き手紙・・・?」
「赤ちゃんのこと、ごめんなさいって書いてあったわ」
病室に置き手紙を残して失踪した、加藤カスミさん。彼女はなぜそのようなことをしたのだろうか・・・?
「それで他にカスミさんについて、知っていることはありませんか?」
「ごめんなさい、これ以上は知らないわ」
「では、カスミさんが失踪してから何か身の回りで変わったことはありませんか?」
雷羽さんは考えるしぐさをすると、ふと思い出したように言った。
「そういえば、担当していた看護師が一人辞めたわ。名前は・・・
「お話を聞かせていただき、ありがとうございました。」
その後、我々は阿部さんに話を伺うことにした。果たして阿部さんは何を知っているのだろうか?
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