第2話取材

我々はメールを送った加藤さんと連絡を取り、会って話を聞くことになった。

午前十一時、加藤さんがスタッフルームにやってきた。ディレクターの椿とフリーレポーターの朝美が取材を受けた。

「初めまして、加藤鹿波です。」

「初めまして、椿です。こちらはレポーターの朝美です」

そして取材が始まった。

「あなたの母親を捜してほしいと送ってきたそうですが、どういう経緯なのか教えて下さい。」

「・・・あたしには生き別れた母親がいるのです。母親はあたしを生んですぐに病院からいなくなり、加藤家に引き取られることになりました。母親のことを知ったのは小学五年生の時、育ての親から聞かされました。」

重苦しく口を開く彼女の話は続く・・・。

「母親は私を出産すると、なぜか突然病院からいなくなってそのまま行方不明になったんです。しかも父親も一緒に行方不明になってしまって・・・、そこで父親の友人である今の育ての親が私を育ててくれたのです。」

「父親まで・・・、それはさぞかし辛い思いをしたのでしょうね・・・」

朝美が優しく言うと、加藤の目から涙が一粒滴り落ちた。

「わかりました、それであなたの両親の身分がわかるものというのはありますか?」

「はい、こちらに。これは市役所から取り寄せた戸籍謄本の写しです。」

加藤は持ってきたA4サイズの封筒を椿に渡した。

こうして我々は、加藤さんの母親を捜索しはじめたのだった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る