第37話「サイコパスチビ ~中編~」

「ハァ……ハァ……

とりあえず……ここまで来れば

ひとまず安心だろ……」


秀吉達の襲撃を回避した木河は

現在自宅から10km程離れた

神社の中にいた。


「さて……どうしようか……」


本殿の近くに座りながら

今後どうするかを考える木河。


ガサガサガサ


「ドチビ~どこ行ったんだ~?」


「!!!」


突如近くの茂みから秀吉の声。

木河は慌てて本殿の中に身を隠した。


ガサガサガサ


「あっちぃな~

はよ見つかれやあのカス」


「喉渇いたな~」


「鶴瓶麦茶が飲みてぇ」


茂みの中から出てきたのは

3人の秀吉だった。


(3人か……

このままここで気付かれないよう

やり過ごすか……)


木河が本殿の扉の隙間から

秀吉達を観察しながら

そう考えていた矢先。


「ピロリン!メールが届いたにゅ!」


木河の携帯から

突然萌え声着信音。


(げっ!!??)


「むっ!?そこに誰かいるな!?」


「木河か!?」


着信音に気付いた秀吉達。

そして音の聞こえた本殿の方へと

ゆっくりと近づいて行く。


(くっ……!!

強行突破するしかないか……!!)


バァンッ!!!


木河は勢いよく本殿の扉を開け

そのまま神社の出口に向かって

ダッシュした。


「やっぱりお前か!!」


「やっと見つけたぞチビ!!」


「大人しくお縄につけや!!」


木河を必死に追いかける秀吉達。


「クソカス共が!!!

これでも喰らってろ!!!」


ポイッ


木河は追ってくる秀吉達に

手榴弾を投げつけた。


「「「げっ!!!」」」


チュドオオオオオンッ


「「「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」」」


爆発で秀吉達は吹き飛んだ。


「ぐっ……!!ドチビがぁぁ……!!」


「味なマネを……!!」


「メーデー!!メーデー!!

こちらA班!!

◯△神社にて目標を発見!!

現在目標は神社近くの

市街地に向かって逃走中!!」


3人の内の1人が

本部へ無線連絡を入れた。






タッタッタッタッ


「ハァ……!!ハァ……!!」


市街地を走っていた木河。


「ハァ……!!ハァ……!!

……ん!?」


木河は走っている最中

電柱に張り付けられていた

ある紙に目を止めた。


「な……何だこれは……!?」


張られていたのは

自身の指名手配書であった。


内容⬇️


懸賞金500万円

生け捕りのみ可

引き渡し場所、◯△公園

捕まえた場合は下記に連絡をください

080-◯◯◯-◯◯◯



「……徳川の仕業か……!!」


「あの~、ちょっといいですか?」


「ん!?」


突然後ろから

何者かに声をかけられた木河。

振り返るとそこには

40代くらいのババアが立っていた。

そしてババアは

木河の顔を見るなり言った。


「あ~!ビンゴ!」


「ああ!?何言ってんだババア!?」


「チェストォォォォォォ!!!!!」


ガンッ


「がっ……!!??」


ババアは突然木河の頭を

ズボンのポケットから出したレンチで殴った。


「な、何しやがる!?」


「あなたを捕獲して

幸せゲットよ~!!!」


「……ッッ!!

懸賞金目当てかババア!!!」


「そうよ~!!!

推しのホストに貢ぐの~!!!」


「哀れなババアめ!!!」


ザシュッ


「こっ……!!??」


木河は胸元にぶら下げていた

ナイフを手に取り

ババアの喉元を切った。


ドサッ


ババアは地面に倒れた。

そして木河はその隙に

その場から走り去った。


タッタッタッタッ


(くっ……!!マズイな!!

敵は徳川だけじゃないって事か!!)


ブオオオオオオオ


ドガァッ


「がっ……!!」


ズシャアッ


走っていた木河は

十字路に入った所で

右から来た車にはねられた。

そして車から北斗の拳に出てくる様な

モヒカンの男が降りてきた。


「ヤッベ!!人はねちまった!!

……ん?」


男は道路に倒れている木河を凝視する。


「コイツ……手配書の奴やんけ!!!

ラッキー!!!500万ゲッチュー!!!

あれ……ちょっと待てよ………

確か生け捕りじゃなきゃダメだったよな?」


モヒカン男は木河に近づき脈拍を測る。


「………よし!!生きてる!!

ラリホ~!!!ボンバへッ!!!」


生存を確認しウキウキとしながら

手配書に書かれていた連絡先に

電話をかけるモヒカン男。


「……ぬううううう!!!!」


ザシュッ


「がはっ!?」


倒れていた木河は突然起き上がり

モヒカン男の胸元にナイフを突き刺した。


「ふううううう!!!!

ぬううううううん!!!!」


ザシュッザシュッザシュッ

ザシュッザシュッザシュッ


「かふっ!!こほっ!!けほっ!!」


木河は何度も何度も

胸元を刺した。

そしてモヒカン男は絶命。


「ハァ……ハァ……

車は頂いていくぜ……」


そう言って木河は

モヒカン男の車に乗り込み

どこかへと向かって走り去って行った。

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