第28話「長部」

ある日の放課後。


「マイボ!マイボ!マイボ!」


「ナイッシュー!!!」


グラウンドで

弱小玉転がし軍団(サッカー部)が

来週の試合に向けて

無駄な努力をしていた。

そしてその中には

今は亡き雑魚田の元取り巻き

長部翔、中村雄精の姿もあった。


「……玉転がしやってる奴って

どいつもこいつも

知能指数低そうな顔してやがるな」


練習風景を校舎4階廊下の窓から

眺めながらそう呟く秀吉。


「さてさてアイツら2人には

どんな事してやろうかね~……」


秀吉は長部と中村に対して

復讐を企てていた。

ちなみに復讐理由は以下の通りである。


長部


・授業中に後ろの席から

秀吉に向かって

消しカスを投げつけてきた。


・秀吉の髪の毛に

口から吐き出したガムを

くっつけてきた。


中村


・ある日の昼休みに

教室にある缶を捨てるゴミ箱に

間違えてビンを捨ててしまった

秀吉を見て

わざとらしくデカイ声で

「いけないんだ~!!」と言ってきた。

そのせいで教室にいた他の生徒達から

注目を浴び恥ずかしい思いを

する事となった。


・秀吉の机の中に

アオダイショウを仕込んだ。

そのせいで朝学校に来て

席に着いた瞬間に中から出てきて

手を噛まれた。



(ああ……思い出しただけで

腸が煮え反ってくるぜ……!!)


怒りでその場で

体をプルプルと震わせる秀吉。

そしてそんな秀吉の近くを

とある女子生徒2人が

偶然通りかかる。


「プッwww見て!!

狸猿がプルプル震えてる!!」


「尿意ですか~?

我慢はいけませんよ~

膀胱炎になりますよ~

チ◯カスベイベー」


女子達はそう言って去って行った。

これらの発言にイラッときた秀吉は

2人を全裸にひんむいて

プールに沈めてやろうかと思ったが

今は長部と中村に集中である。


「いくぜ……まずはあの

クソボケ長部からだ……

チートON"転送"」


「マイボ!マイボ!マイボ……

あれ……?ボールどこいった?」


練習中に突然サッカーボールが消え

戸惑うサッカー部員達。


「ぎゃああああああああああああ

あああああああああああああああ

あああああああああああああああ

ああああああああああああああ!!!!」


「「「!?」」」


部員全員がキョロキョロと

ボールを探している中

長部が急に地面に倒れ込んで

悲鳴をあげだした。


「ど、どうした長部……げっ!?」


部員達は長部の股関が

異様に膨らんでいるのに気付いた。


「お、長部!?

何だよその膨らみは!?」


「ああああああ~!!!!

痛い痛い痛い痛い!!!!」


「お、おい長部!!

ちょっと下下ろすぞ!?」


そう言って部員の1人が

長部のズボンとパンツを下ろす。


ズルッ


「「「!?」」」


その場にいた部員達は

長部の下半身を見て驚愕した。

なんと長部の金玉袋が

スイカサイズに膨らんでいたのだ。


「お……おい……!!

まさか……これって……!!」


「サッカー………ボール………!?」


その通り。

秀吉は先程チートを使って

サッカーボールを長部の金玉袋内に

転送したのだ。


「ああああああああああ!!!!

痛い痛い痛い痛い痛い!!!!

取って!!!これ取って!!!」


部員達に訴え叫ぶ長部。


「と、取れって言われても……!!

俺達にはどうする事も……!!

お、おい救急車!!

誰か救急車呼んでやれ!!!」


「あ、ああ!!

今電話してくる!!」


その後部員の連絡で

すぐに救急車が到着し

長部は病院へと搬送された。


~病院~


ある一室で長部母と医者が

会話をしていた。


「先生!息子は!?

息子の容態は!?」


「今はとりあえず麻酔が効いて

ぐっすり眠っています」


「そ、そうですか………!!

それで、サッカーボールは!?

金玉に入ってるサッカーボールは

手術で取れるんですよね!?」


「……残念ですが……不可能です」


「!?な、なぜ!?」


「……これを見てください」


医者はある写真を

長部母の前に出した。


「こ……これは!?」


「息子さんの金玉MRI画像です」


「それが何だって言うんですか!?」


「ここを見てください」


医者は画像のある部分を指差す。


「……つ……繋がってる………!?」


「そうです、サッカーボールが

金玉神経と繋がってしまっているのです

サッカーボールを取るには

金玉神経を切る必要があるんです」


実は秀吉はボールを

金玉袋に転送するだけでなく

神経とボールを繋げさせていたのだ。


「し、神経を切ったらどうなって

しまうんですか!?」


「死にます」


「死ぬ!?」


「ええ、金玉は男の

第2の心臓と呼ばれるくらい

重要かつデリケートな臓器なんです

なので少しでも内部を傷付けてしまうと

急性金玉ショックを起こして

命を落としてしまうんです」


「そ……そんな……!!

それじゃあの子に………

あんな膨れあがったデカ金玉のまま

この先生きてけって言うんですか!?

何とか……!!何とか

神経を切らないで取り出す方法は

ないんですか!?」


「残念ですが……現代の医学では

どうする事も………」


「う……うう~………!!

あんまりだわ~……!!」


その場で泣き崩れる長部母。

そしてその様子を部屋の扉の

隙間から覗いていた秀吉。


(復讐完了……次は中村……

お前の番だ……!!)

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