第26話「素人狩りYouTuber」

~東京ドーム~


秀吉、寧々、茶々の3人は

カニを食べた後に

総合格闘技の観戦に来ていた。


「シュッ!」


バキィッ!!


ドサッ


リング内で戦っていた選手Aが

選手Bの頭にハイキックを浴びせ

選手Bはマットに沈む。


「ストーップ!!」


カンカンカンカンカン


「勝者、濱崎順平!!」


試合続行は不可能だと判断した

レフェリーがストップをかけ

試合終了のゴングが鳴り

勝利した選手の名前がアナウンスされる。


「ワアアアアアアア!!!」


そしてその後に湧き上がる観客達。


「秀吉様、クッソつまんないですね」


「ああ、ホントだね」


「眠くなってきた……」


観客達が大歓声を上げてる中

3人は冷めた感じでいた。

なぜなら3人は別に格闘技は

好きではなかったからである。

じゃあ何で観に来たんだよって

話である。


「秀吉様、あと何試合あるんですか?」


「次で最後かな」


「やっと終わりか………」


3人がそんな話をしていると

リングアナウンサーが

次の試合のアナウンスを流した。


「え~、続きまして本日の最終試合

フライ級タイトルマッチ

里画故座vs今川義元の試合を

行いたいと思います

それではまず今川選手の入場です」


アナウンサーがそう言うと

場内が暗転し入場曲が流れ出し

坊主頭の覇気のないヒョロガリが

リングへと向かって歩いてくる。


「うわ!見てください秀吉様!

アイツ見るからに弱そうですよ!」


「ああ、俺並みにヒョロヒョロだ」


「秀吉、今ネットで調べたけど

アイツ総合格闘技歴半年だって」


「マジかよ!?

よくそんなほぼ素人人間

タイトル戦に組み込んだな!!」


3人でそんな会話をしている内に

ヒョロガリの入場が終わり

次の選手、里画の入場が始まる。


「「ワアアアアアアア!!!」


先程のヒョロガリが入場した時とは

うってかわって

里画という選手が入場を始めると

観客達が一斉に湧き出した。


「な、何だぁ?」


「あ!秀吉様!

アイツって最近話題になってる

YouTuberじゃないですか?」


「YouTuber?」


「ほら!

秀吉様がこの前

大っ嫌いだ~とか話してた奴ですよ!

先週アサナンデスにも出てた!」


「………ああ!!」


秀吉は寧々の発言により

あの男の事を思い出した。

里画故座(りが こざ)。

最近世間で大人気になっている

YouTuber兼総合格闘家である。


「そうだそうだ

すっかり忘れてたぜ

あの素人狩り芸人」


「素人狩り?」


「ああ、茶々は知らないか

アイツってさ

普段YouTubeに喧嘩自慢という名の

自分よりも体格の劣る素人を

痛め付ける動画をアップして

俺TUEEEアピールしてんだよ」


「うわ、何それダッサ」


「だよな~

現役のプロの所業とは

思えないよな~

しかもそんなクズが

人類最強だの格闘技界のカリスマだの

謳ってるからな」


「秀吉様、噂によるとアイツって

俺はどんな奴の挑戦でも受けるとか

普段から抜かしてるくせに

海外の強豪選手からの対戦オファーは

ことごとく断ってるらしいですよ」


「まぁそりゃ断るだろうな

アイツが世間であんなに

人気になってるのって

"無敗"というブランドのおかげだかんな

もし下手に強い奴と戦って

負けたりでもして雑魚なのがバレたら

自身のYouTube動画の

再生数の低下に繋がるもんな」


「………なるほどね~……

じゃあ今日のあの対戦相手は

アイツのために運営が用意した

かませ犬ってワケね」


「ああ、だろうな……

にしても………」


秀吉はチラッと周りを見る。


「里画~!!!」


「故座~!!!かっこいい~!!!」


「お前こそが最強だ~!!!」


目の前に映るのは

里画に熱い声援を送る人々。


(あんな素人狩って

イキり散らしてるブサイクYouTuberに

声援送るとかコイツらマジに低能だな)


秀吉がそう考えてると

隣にいた寧々が

ある提案を出してきた。


「そうだ秀吉様!チートを使って

里画に赤っ恥かかせてやりましょう!」


「え?どうやって?」


「憑依するんですよ!」


「憑依?」


「はい!

チートで身体能力強化中の秀吉様が

今川に憑依して

あの素人狩り野郎を大勢の観客達の前で

ボコボコにしてやるんですよ!」


「なるほど

それで信者共がアイツに抱いてる

最強幻想をぶち壊してやろうってか」


「Exactly (その通り)です!」


「よし!いっちょやってみっか!

チートON"憑依"」


秀吉の体からスーッと

魂が抜けて出てきて

それがリングの端に立って

里画の入場を待っている今川の元へと

向かって行く。


(今川さ~ん、体お借りしまね~)


キュポン


「はうっ!」


今川の体に秀吉の魂が入り込む。


「………………憑依完了」


憑依するとほぼ同時に

里画がリング内へと入ってきた。

そしてリングアナウンサーが両選手の

紹介を始める。


「え~、これより本日の

メインイベントを行いたいと思います

それでは先に選手の紹介をします

まずは青コーナー、162cm、56kg

いまがわぁぁぁぁぁよしもとぉぉぉぉぉ!!」


シーン………


今川の紹介に観客は大して反応なし。


「続いて赤コーナー、170cm、56kg

DOUTEI初代フライ級チャンピオン

りがぁぁぁぁぁこざぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「「「うおおおおおおお!!!」」」


「いけ~!!!里画~!!!」


「故座~!!!勝って~!!!」


今川の時と違い

大声援を送る観客達。


(やれやれ……完全にアウェーだねこりゃ)


そう思う今川こと秀吉。

そしてその後に

レフェリーの指示で

近くで向かい合う両選手。


(うわ、コイツ近くで見ると

中々エグい顔面だな)


里画の顔を

至近距離で見た秀吉はそう思った。

その後レフェリーから頭突きはダメだの

金的はダメだの説明を受けた後に

再び自身のコーナー側に戻る両選手。

さぁ、いよいよ試合開始の時だ。


「レディ~~……ゴー!!!」


カァン!


レフェリーが開始の合図を出して

ゴングが鳴り、試合が始まる。


「ホラホラホラホラホラホラホラ

ホラホラホラホラホラホラホラ

ホラホラホラホラホラホラホラ」


試合開始と同時に両拳で

ホラホララッシュを

里画に浴びせる秀吉。


「がっ……!!ごっ……!!がっ……!!」


人外レベルの速すぎるラッシュに

何も出来ない里画。


「おおおおお!?」


どよめく会場内の里画の信者達。


「いっけ~!!秀吉様~!!

素人狩り野郎に報いを!!」


「ぶちかませ秀吉~!!」


否定に声援を送る寧々と茶々。


(よし!!そろそろ決めるぜ!!!)


彼女達の

声援に応えるかの様に

秀吉はトドメの右ストレートを

里画の心臓に放つ。


「眠りな!!素人狩りゆうちゅうばぁ!!」


ドゴォンッ!!


「ゴハァ!!!」


口から血を吐き出し

マットに沈む里画。


「これで終わりと思うなよ!!

いくぜダメ押し!!

せいやぁぁぁぁぁ!!!」


ズルンッ


秀吉は里画の試合用パンツを脱がした。

それにより露になる短小チ◯コ。


「ちっちゃ!!!

ポークビッツやんけ!!!」


「スト~~ップ!!!」


カンカンカンカンカン


「勝者、今川義元!!」


パンツを脱がした所で

レフェリーストップが入り

試合が終了した。

そしてそのタイミングで

秀吉は今川に入っている自身の魂を

元の体へと戻した。


「………あれ………?

俺………何してたんだっけ………?」


意識を取り戻す今川。

そしてそれと同じく

観客席に座って

抜け殻状態になってた秀吉も

魂が戻った事により意識を取り戻した。


「お帰りなさい秀吉様!」


「お帰り秀吉!」


「ああ、ただいま!

さ!2人共!

素人狩り野郎に赤っ恥かかせて

満足した事だしそろそろ帰ろうか!」


「「は~い!」」


その後3人は会場を後にした。


余談であるが

かませ相手に無惨に負け

その後にフルチンを晒した里画は

この日を持って格闘技界から引退をした。

アーメン。

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