第17話「テコ入れ」

長野を凄惨な目にあわせてから

数時間が過ぎた。

現時刻は12時40分、昼休みの時間だ。

そんな時に俺はというと屋上にいた。

理由は教室が臭すぎるから。


(さて、次は"田中"と"玉木"に復讐か……)


"田中"……田中俊彦(たなか としひこ)。

1年A組、22番、サッカー部所属。


特徴:チビ(170cm)、デカイ顔。

凶悪犯罪者の如くツリ上がった目。

口癖は「意味が分かりませ~ん」。


復讐動機:日頃から俺の事を馬鹿にしてる。

廊下ですれ違いざまに舌打ちしてきた。

俺の教科書に落書きした。


"玉木"……玉木建人(たまき けんと)。

1年A組、23番、サッカー部所属。


特徴:チビ(169cm)、鼻の穴デカイ。

両頬に尋常じゃないくらいのニキビ跡。


復讐動機:田中と一緒。


「う~~~~ん…………どうしよ………」


俺は非常に悩んでいた。

この2人にどうやって復讐するかを。

これまでを振り返れば俺の復讐って

単調な暴力ばっかりなのだ。

なのでここらで心機一転して

読者を楽しませられる様な

斬新な復讐方法を見つけたいと考えていた。


「あ~!ダメだ!

全然思い付かないな~!

復讐って難しいな~!」


「随分悩んでるみたいですね」


「ああ……って、ええ!?」


俺の横には寧々がいた。


「寧々!?いつの間に!?」


「ちょうど今です!」


「というか……その格好……」


「えへへ!似合います?」


寧々はウチの高校の制服を着ていた。


「に、似合うけど……

一体どこで手に入れたんだそれ?」


「その辺歩いてた女子をボコって

かっぱらってきました!」


「ワイルドだなぁ~……」


「ところで秀吉様

一体何にそんな悩んでるんですか?」


「実はさ……」


俺は寧々に詳しい事情を話した。


「なるほど……復讐方法がワンパターンで

マンネリ化してきたから

新しいやり方を考えたいと……」


「そうなんだよ~

俺の復讐方法って大体さ

"ハゲさして全裸にして大根で殴る"だろ?

だからさ……もっとこう……

読者全員を笑顔にできる様なユーモア満載の

復讐をしたいんだよ俺は」


「ふむふむ……なるほど

まぁとりあえずチートリスト

見てみましょうよ」


「そうだな

チートリストオープン」


ブオンッ


「何か寧々のおすすめとかある?」


「そうですねぇ~……

これなんかどうです?"洗脳"」


「洗脳?」


「選択した相手を意のままに操れるんですよ

例えばこれを使って嫌いな奴に 

ソイツ自身の親や兄弟を

殺させたりできるんですよ」


「ほ~……よし、ちょっと玉木で試してみるか

とりあえず奴をここに転送してっと……

チートON"転送"」


ブオンッ


転送されてきた玉木。


「あ、あれ?俺今購買に?」


「チートON"洗脳"」


「はうっ!」


「よし、洗脳完了」


「秀吉様、コイツに何をさせるんですか?」


「ん~?へへ、まぁ見てなって……」



~校舎裏~


「玉木の奴遅くね」


「購買行ってそのまま

便所でも行ってんじゃね」


玉木の帰りを待つ

田中とその他の

陰険サッカー部軍団。

そして噂をすれば玉木が帰って来る。


「おせーよ

お前どこ行ってたん?」


玉木に質問する親友の田中。


「は?うるせえよカス

俺がどこ行こうが勝手だろうが」


「え?」


「あとさ、前から言おうと

思ってたんだけどさ

お前顔デカすぎだろ」


「なっ……!」


「あとそれから

チビ、チビチビチビ!

お前170cm自称してるけど

本当は2cmサバ読んでるの

俺は知ってるからな

そういうの見苦しいから

やめろよホビット」


「てめぇ!!!」


田中は玉木の

胸ぐらを掴む。


「お、おい!やめろよ!」


田中を制止させる

他のサッカー部仲間達。

そしてさらに田中を煽る玉木。


「田中~!!お前の母ちゃん

マジヤ◯マン!!

今度俺に抱かせてくれや!!」


「~ッ!!!」


バキィ!


田中は玉木の顔をおもいっきり殴った。


「いったいのぉ~!!

今のくらいでキレんなyo!!

顔デカイのに器は小せぇなー!!

あ!チ◯コも小さいんだっけか!?」


「ざけんなぁ!!!!」


さらに殴ろうとする田中。


「お、おい!!落ち着け田中!!

これ以上やったらお前退学になんぞ!!」


田中を必死に抑える仲間達。

そしてそれを陰から見ていた秀吉。


(フフフ……この辺で一旦解除すっか

チートOFF)


「…………あれ?

俺………何してたんだっけ?」


正気に戻る玉木。

目の前にはいつもつるんでる

仲間達の姿。


「おうお前ら!何してんだよ」


田中を含めた仲間達は

玉木に一切返答せず

玉木を冷たい目で見つめている。


「………え……?

な……何だよ……みんなして

怖い顔で俺の事見て………」


玉木の発言に仲間の1人が言う。


「玉木………お前最低だな……

悪いけど俺ら当分お前から

距離置くわ………」


「え……?ちょ、ちょっと待ってくれよ!

何言ってんだよ!

みんなどうしたんだよ!?」


去ろうとする仲間達を

止めようとする玉木。


「来んなよ!!」


バシィッ


玉木をはじき返す田中。


「………!!」


親友にはじかれ

ショックを受けるアホ。

そしてそんなアホには構わず

仲間達はその場から去って行った。


「ど……どうなってんだよ……

俺が……何したってんだよ……」


(チートON)


「はうっ!」




~3階廊下~


「ねぇ聞いた?

由美、D組の中村君と二股してるって」


「マジ?ちょーヤバくないそれ?」


他愛もない世間話をして

廊下を歩いている

女子生徒2人の前に玉木出現。


「あれ?A組の玉木じゃん

うちらに何か用?」


「オフタガタ、チョ、イイスカ?」


そう言って玉木は

2人の胸を鷲掴みにする。


「「いやあああああああ!!!!」」


悲鳴をあげる女子2人。

そしてそんなものお構いなしに

胸を揉みしだく玉木。


モミモミモミモミ

モミモミモミモミ


「イヤ~、イイッスワ~

コレゾ女体ノ感覚」


「ッッざっけんな!!!

この変態野郎!!!」


バキィ!!


ガンッ!!


1人の女子に蹴られて吹き飛び

近くの消火器に

頭を強打した玉木。


「マジ何なのコイツ!?

ちょーキモいんだけど!!!

いこ!!真由!!」


その場から去って行く女子2人。


(チートOFF)


「………あれ……?

俺何して………また記憶が………

ていうか頭いってぇ~……!

なんでぇ?」


(フフフ……馬鹿が………)


~1年A組教室~


ヒソヒソヒソ


「ねぇ聞いた?玉木の奴

田中君達と何か揉めたらしいよ」


「何でも田中にいきなり顔デカだの

チビだの母親はヤ◯マンだの

言い出したらしいぜ」


「母親侮辱はイカンでしょ………」


「というかチビってなんだし

お前もチビじゃんって思わない?」


「それだけじゃないって

何か廊下を歩いてたE組の女子2人の胸

急に揉み出したらしいよ」


「やだ~!ちょーキモい!」


玉木の奇行の件は

すっかりクラス中の耳に入っていた。


ガラガラガラ


噂をすれば玉木が教室に入ってきた。


「う~っす!

みんな何話してんだよ!」


「「「………………」」」


(な、何だ………?)


クラスメイト達のいつもと違う反応に

戸惑う低能。


「な、なぁ……月岡」


「……来んなよ……」


「え……?

………な、なぁ山崎………」


「……来ないで……」


「…………な……何だよみんな………」


(チートON)


「はうっ!」


玉木は突然

目の前にいた女子(山崎)の股に

顔を突っ込んだ。


「きゃあああああああ!!!」


「ん~!!汚れを知らぬ芳醇な香り!!

これぞJKの真骨頂!!」


「やめろよ!!」


バッ


玉木は近くにいた

クラスのリーダー各の男子(月岡)に

山崎から引き離される。


(チートOFF)


「あ……あれ?

また記憶が飛んで………」


「うう………ぐす………」


「え……?

ど……どうした山崎?

何で泣いてるんだ?」


「お前ホント死ねよ!!」


「え?」


突然月岡に怒鳴られる玉木。


「お前さ!!マジで何なの!?

ウケ狙いか何なのか知らねぇけど

笑えねぇんだよ!!ガチでキモいんだよ!!」

どっか失せろ!!


「え……!?い、一体何の話……」


「みんな行こうぜ……

今後コイツには近づかない方がいい

そしてお前も俺達に

今後は近づいて来んじゃねぇぞ」


月岡がそう言うと

その場にいた全員が

玉木から離れていった。


「………………ど……どうなってんだよ……!?

今日何か……おかしいぞ………!!」


床にへたれ込む絶望顔の玉木。

そしてそれを教室の外から

覗いてた俺秀吉。


「くっくっく……ハッハッハッハッハ!!

いや~愉快痛快!!

たった1時間もしない間に一気に

嫌われ者になっちゃたっねぇ~!!

ニキビ大魔神の玉木く~ん!!

今後彼はどうなって

しまうんでしょうかねぇ~!?

中退?引きこもり?自殺?」


「ナイス復讐です秀吉様!」


「へへ!ありがとう!」


「秀吉様!今後はこういう路線で

復讐していきしょうよ!」


「そうだな……もう暴力路線はやめとくか……!

あとは下ネタ路線も!」


「お~~!!

あ、それから秀吉様!

もう一ついいですか?」


「ん?」


「これからは学校の連中を

凄惨な目にあわせるだけじゃなくて

学校外にいる調子に乗った連中にも

凄惨な目にあわせるのはどうですか?

例えばこの前の岸奨吾みたいに」


「お~!!

それは面白くなりそうだな!!」


「でしょでしょ!?」


「うっし!明日からは

学校外のカスどもにもチート使って

凄惨な目にあわせてやるぜ!」


「盛り上がっとるのう」


「ええ、盛り上がってます……って

うわぁ!?」


俺の横に競泳用のブーメランパンツを履いた

白髪の老人が立っていた。


「きょ……競パン仙人………」


「お久しぶりじゃのう」


「え、ええ……どうもご無沙汰です」


「どうじゃ?あれから復讐の方は

上手くいってるかの?」


「ええ、そりゃあもう」


「そうかそうか!

それはよかった!」


「……あの~、ところで仙人?

今日は一体何の用で?」


「お!そうじゃった忘れとったわ!

今日ワシが来たのは

新ヒロイン投入のためじゃよ」


「新ヒロイン?」


「そうじゃ、今回はテコ入れじゃろう?

ちょうどいい機会じゃと思ったんじゃ

この作品はハーレムタグがついてるのに

ヒロインが1人しかいないのは

如何なものかと前から思ってての~」


「は……はぁ……」


「というワケで

これが新ヒロインじゃあ!!」


仙人はその場で魔方陣の様なものを描き

そこから赤髪セミロングヘアの巨乳巨尻で

きわいどい服を着た少女が出てきた。


「彼女の名前は"茶々"

彼女も寧々と同様お主の事を一途に愛し

一生懸命サポートしてくれるぞい!

ただ性格の方は寧々と比べると

ちょっと癖があるかの~?」


「は……はぁ……」


「まぁそういうワケじゃから

これから2名の美女との

ハーレムライフを存分に楽しんでくれい!

バ~イ!」


そう言って仙人はどこかへ消えていった。


「………………………」


「あ……あの~……俺、徳川秀吉……

よろしくね」


俺はその場に立って黙っている

彼女に手を差し出す。

すると彼女は俺の顔は見ずに

横を見ながら手を差し出した。


(人見知り……?ツンデレ……?)


俺がそう考えていると

その様子を見ていた寧々が

突然彼女にキレ出した。


「ちょっとアンタ!何その態度!?

よろしくお願いしますくらい

言えないの!?

秀吉様に失礼じゃん!」


「………うるせぇ黒髪ブス」


「なっ!?ブ……ブス!?」


「言っとくけど……

アンタみたいなブスなんかより

私の方が秀吉の事を愛してるから………」


「………はぁ!?何寝言言ってんの!?

シリコン巨乳の赤髪ブス!!」


「……………殺す……」


2人はその場で取っ組み合いになる。


「ちょっ……!!やめろ2人とも!!」


俺は必死に仲裁に入る。


「ハァ……ハァ……秀吉様……

この女は危険です

近い将来秀吉様に

多大な悪影響を及ぼすと思います」


「………秀吉………この女は危険……

とっとと捨てた方がいい……

私の第六感がそう言ってる………」


「………ま、まぁまぁ2人とも………

とりあえず……今日は家に帰ろう

んで、お茶会でもしよう

親睦を深めるためにさ」


「ええ!いいですね!

私と秀吉様はアールグレイ!

このブスには

米のとぎ汁でも出してやりましょう!」


「秀吉………私がとびっきり美味しい

ダージリンティー入れてあげる………

で、この売女にはトイレの水でも

出してあげるわ………」


「ハ……ハハハ……」




さてさて、ここで新たに

新ヒロインの茶々が加わったワケだが

これから先どうなってしまうのだろうか。

彼女は寧々とは今後

上手くやっていけるのだろうか。

その結末は神のみぞ知る。

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