蚊に刺されるロボット
小さな頃に家にいたD型子守りロボは、あまりロボットらしくなかった。
見た目は人間とは異なり丸っこい形だったけど、ご飯もたべるし怒ったり泣いたりもする。そして蚊に刺されて痒がったりもしたのだ。
子守りをしてる子供に蚊が寄ってこないように自分に引き付けてるのかとも思ったけど、そうでもなく一緒にいると僕も刺された。それに、蚊を寄せ付けないようにする方法はいくらでもある。
「情操教育の為かな。あとは自己学習での共感性を高める為か。」
ロボット工学の道に進んだ友人に子供の頃の疑問を聞いてみたら、そんなことを説明してくれた。
一つ目は人間の成長の為で、自分と同じように生活するロボットの方が人間関係を学ぶのに優れているようだ。確かに人間同士でも、一緒にご飯を食べることで仲良くなったりすることはある。
「でも蚊に刺されたり、痒がったりするのはやりすぎでは。」
と聞くと。
「そうかもしれないけど、自分が蚊に刺されてるときに相手だけ何ともなかったら少しムッとしたりするじゃないか。」
と答えが返ってきた。まあズルいとは思うかも。
二つ目はロボットが自己学習するときに、なるべく人間に近い方がいいということらしい。たとえば呼吸する必要がないロボットは、人間が溺れてることに気が付きにくくなってしまうことがあったりもするとのこと。もちろんあらかじめプログラムしておくことで安全性は確保できるのだけど、柔軟な対応はできない。
蚊に刺されるような危険性の低いことに対応するには、自身も蚊に刺されて痒くなるロボが自己学習する方が効率的だということらしい。
「ぼくぐらい高級なロボットになると、カがさすんだよ。」
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