第21話「クトゥルフの妹」
「…ごちそうさまでした」
「ええ。今日も頑張ってね」
奈美はクティーラが作った料理をたくさん食べて仕事に向かう予定だ
この仕事というのもすっかり馴染んでいて女王としての品格があるような気がしてきた。多分
これからまた神話生物達と一緒に動く。そういえばこの星、たくさんの神話生物がいる
ニャルラトホテプやクトゥルフ、ハスターやクティーラ。そんな中心の神話生物がここにいるのだから
今日は何もないだろうか。それとも神話生物が来るだろうか?すっかりワクワクしてしまった奈美であった
グレードオールドワン。外なる神。そして旧き神…。様々な神話生物がここへ来ている
一口で言えば邪神達だが、そんな邪神というイメージは全く無かった。むしろ良い神話生物が多い
きっとみんな若い?ころは人間に被害を及ぼすことしたんだなあ。と、過去にハスターと一緒にお風呂に入って会話をしたことを思い出す
でも今は違う。私を中心に動く、そんな忠義ある邪神達だらけだ
第2の人生として、奈美はこれからもこの惑星と邪神を取りまとめる、そんな女王として存在する
奈美は食器を片付けると早速王座へ行く。今日もあるからね
~
奈美は王座に座り、なにかあるか確認をする
その横にはこれまたおなじみのニャルラトホテプ、クトゥルフ、ハスターがいた。みんな奈美のことを信用する神話生物だ
「…なんだかたくさんの邪神達がいて、嬉しいね」
「そうだな。これもお前がいるからだ。だから大丈夫なんだ」
クトゥルフは触手を動かして言う
「わたし、奈美と一緒にいて嬉しいことだらけだよ」
ハスターは笑顔で言う。彼女、笑顔が素敵である
「ありがとうクトゥルフ、ハスター。今日は誰も来ないのかな?」
「そう頻繁に来るわけでは無い。来ないときは来ないだろう」
ニャルラトホテプは腕を組んで言う
「まあ…くるなら部下達とイグぐらいかな?」
建設業のことで来るときがあるだろう。そう思った奈美だ
「奈美。俺は一応様々な星、銀河にこの星を伝えている。多分だがここへ来てくれることがあるだろう」
さすがニャルラトホテプ。仕事がとても良い
「だがクトゥルー。お前の息子達は来ないのか?」
「うん?確かに俺の子供達は今、奥さんの星にいるが、どうだろうな?」
まだいたのか…奈美はそう思った
「子供達って誰?」
「ゾスオムオグとユトグタだ。あいつらは母思いだし、そう簡単には来ないだろうな」
そう言うとクトゥルフはすっと上を見上げた
「だが…イシスがいるし、病弱だが、検査しつつ暮らせるかも…しれないな…」
クトゥルフも希望を持って言った
「おーい!おーい!女王ー!」
王座の向こう、入口付近に誰か来た。それは一つ目神話生物、シアエガだった
「シアエガ!どうしたの?」
シアエガは浮遊しつつ奈美の前まで来た
「なんか…入口にいるんだけど、奈美に会いたいっていう神話生物がいるよ。あとクトゥルフにも会いたいって」
「そうなの!?もしかして、クトゥルフの息子?」
「いや…違うね。女性神話生物だよ。人間の形してて、どこか普通の人間では無かったよ」
一体誰だろう?もしかして前に言った夫婦だろうか?
「わかった。連れてきて」
シアエガは言われると入口付近まで浮遊して行く
シアエガが案内すると、その人の姿が見えた。その姿はなんだかいびつであった
水色のロングヘア。重ね着であろう服。腰にどくろを吊り下げていた。全く予想だにしない姿であった
クトゥルフははっとする。それは、クトゥルフにとって重要な神話生物だからだ
「…カソ―グタ!!」
「カソ―グタ?確かお前の…」
彼女が名前を聞くと口を開いた
「…うふふ…兄さん、会いたかったわぁ…!もう…アタシを忘れて、どこ行ってたのよぉ…!」
なんだその名前と人物は。奈美は全然わからない神話生物を見ることになる
「え?クトゥルフの妹ってこと?」
「一応…な。カソ―グタ。お前は木星にいたのに、ここへ来たのか」
「当然よぉ…!兄さんに会いたいのよぉ…!あと…奈美っていう女王がどんなものか…訪ねたのよぉ…!」
どこか気が触れているような口調。ニャルラトホテプ、クトゥルフは怖くないがこのカソークダ、どこか怖い気がする
「…ところでお前はここへ来て何をする気だ?」
ニャルラトホテプは冷静にカソーグタに言う
「アタシはぁ…つかれた神話生物を癒やしてあげることができるわ…」
しかしそのどくろがやけに怖いし癒やしがあるのか?と奈美は思った
「わかったカソーグタ。だったら私のそばにいて」
「奈美止めておけ。こいつは怖いぞ」
奈美は少々怖いが王座から立ち上がり、そして彼女のそばまで来た
「大丈夫だよクトゥルフ。仲良くしようねカソーグタ」
「ありがとう女王…!これからよろしくねぇ…!」
いきなり現れてクトゥルフの妹だと言われてびっくりしたが、一応悪くは無さそうだ
「大丈夫かよ…」
クトゥルフは聞こえない程度の声をぼそっと言う
~
「…へえ。妹のカソーグタ来たんだ」
「ええ。今後は奈美のそばにいるらしいわ」
ここは農場。シュブニグラスとクトゥグアが喋っていた
「彼女は確か…木星にいたって聞いたけどね」
「ニャルラトホテプが色々な星や銀河にメッセンジャーをおくったから来たんじゃないかしら」
そう言って耕すことをするシュブニグラス
「そうだ。太陽光発電がかなり順調に蓄電されているよ。これなら都市一角を補えることができるよ」
「まあそうなの。さすが火のグレードオールドワンね」
クトゥグアは空を見上げた
「…相変わらずニャルラトホテプにはちょっと嫌われているけどね」
「仕方ないわ。でもいつか本当に仲良くなれると思うわ」
空を見上げるのを止めてシュブニグラスを見るクトゥグア
「でもさ…ここ、あまり娯楽が無いじゃないか?例えば誰かアイドルみたいな子が来ればいいとは思うけど」
「…そうねえ。確かに娯楽があまりないわね。アイドルはいるかしら?」
娯楽。確かに無い状態であった
「うってつけの神話生物、いないか?」
「私はわからないわねえ…」
「一応、色々と送ってみるよ。ニャルラトホテプと一緒にさ」
「ええ。そうしてちょうだい」
シュブニグラスが言うとクトゥグアは微笑んだ
カソーグタの到来
奈美に何をしてあげるだろうか?
転生女王~なんも取り柄が無い死んだ私が邪神を部下にする女王になった!~ 緑樹ユグ @yugu1120
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