第18話「旧き神イシス」

…ふわあああ


奈美は起きた。目覚めは良い。とても良い朝だった


本当にここへ来て色々な経験をしている。どう考えてもニャルラトホテプが誘ってくれたので様々な経験をしていた


女王になってまだまだ日にちは経っていない。色々な部下もいる。それだけでも十分に幸せなことだった


第2の人生。とても充実した日々を送っている。こんなファンタジーなこと、経験なんてしたことない


奈美は早速起きようとした。もしかしてまた隣に寝ている人いないよな。そう思ったら…


「…く、クトゥグア!」


ハスターとは違う。シュブニグラスとは違う。いつの間にかクトゥグアが寝ていた。あれ?またどうなってるんだ


そう思ってるとクトゥグアは目覚める。姉御肌とは言えど、寝ている姿はとても美しい


「…やあ、女王。おはよう」


クトゥグアは笑顔で言う。ハスターやシュブニグラスと違ってクトゥグアはとても良い顔をしている


ハスターも美人だしシュブニグラスだって美人だが、クトゥグアはそれを超える美人。なんていうのか


でもこれはまたまずい。クティーラが来たら何言われるかわからない。それは言える話


クトゥグアがゆっくりと起き上がる。奈美は更に恥ずかしいことになった。クトゥグアの服装が下着姿だったからだ


「え!?ちょっと…どうしてそんな姿に…!」


「何言ってんのさ。同じ女性同士だから恥ずかしいことはないだろ?」


だが下着姿とはさすがに恥ずかしい


スタイルの良いクトゥグアなのでそれはそれで十分に恥ずかしいことだった


ハスターといいシュブニグラスといい、どうして奈美の周りには女性が集まってくるのだろうか


もしかしたらクティーラもそうなるのか?なぜここでラブコメっぽいのが始まってるのか


「と、とりあえず着替えて!」


「んー。わかった」


本当にこの邪神たちはフリーダムである



王の間。ここにはニャルラトホテプとハスターがいた。クトゥグアは相変わらず太陽光発電の場所へと行ってた


今日は何かあるだろうか?王の間にいる奈美はワクワクもあればドキドキもあった


しかし女王として冷静にはならないといけないなあとは思っている


お?早速女王の座っている王座の向こう側から誰か来た。もう顔なじみ、建築家イグであった


イグは女王の王座の前まで来て言う


「女王。新たな建築を作ったぞ」


「ありがとう。家なのかな?」


「違うぞ。ちょっとした病院だ」


病院?その言葉で奈美とニャルラトホテプとハスターが反応する


「お前、そんなのを作ったのか」


ニャルラトホテプの声はどこか和らいだ声だった


「早速行ってみようよ」


ハスターの声で奈美は立ち上がり、移動する



「…へえ、規模としてはまあまああるね」


病院を建てたという場所まで行く。そこはまるで町中の診療所というイメージのある病院だった


家とは違ってどこか角張った建物だった。これで診療してくれるのだろう


「なるほど。これはありがたいかもしれない」


奈美は言うとイグが言う


「だが…誰を主治医にするか決まっていない。部下ならいくらでもいるが先生がいないんだ」


うーん。確かにいないのは困る。箱だけ作りましたでは許されないとは思う


「というか…この邪神の中で誰かいるの?医療の詳しい邪神なんて聞いてことないよ」


奈美は周りを見ながらそう言った。ニャルラトホテプもハスターもイグも困っていた


「一応俺は様々な術や呪文を知ってるが」


「でもニャルラトホテプがそこにいたら奈美をどうするつもりなの?」


ハスターが言うとニャルラトホテプは腕を組み、悩む


「うーむ。どうするべきか」


全員が悩んでしまった。医学に詳しい邪神なんて聞いたことがない。ニャルラトホテプでも難しい


旧き神なら…?そう思った奈美だった


「ねえ、旧き神だったらどうなの?」


そう言うとみんながはっとする


「そういえば…誰か医学に詳しい旧き神がいたって聞いたことあるね」


ハスターは奈美に向けて言う


「イシスのことか?あいつは確か普通の人間に近いから地球にいると聞いたが」


イグが言う。地球では遠い。やっぱりだめか


4人は思ってるとどこからか声がした。この声、クトゥルフだった


「おーいみんな。奈美、ニャルラトホテプ、ハスター、イグ」


クトゥルフは4人の側に行く。その隣にはとても美人な人間がいた


顔も美人できれいな服装をしている。水色髪ロングで蒼い瞳をしていた。これはいったい?


「クトゥルフ。どこに行ってた?」


イグが言うとクトゥルフは言う


「実はな。地球に軽く行ってこの惑星の病気を治せそうな人を探したんだ。そしたら快くお願いしてくれてここへ来た。イシスだ」


イシス!クトゥルフはとてもタイミングの良いことをしてくれる


「はじめまして。私はイシス。旧き神よ。元々ノーデンスの部下だけど許可をとってここへ来たわ」


なんと。簡単な理由で来てくれた。奈美は嬉しそうに言う


「私は奈美。この惑星の女王だよ。イシスさん、ここへ来てくれてありがとう」


「ううん。別にいいわ。地球の暮らしに飽きたところだったからちょうど良かったわね」


イシスは笑顔で対応した。この美人の人が先生かあ


「イシス。お前はノーデンスの部下。だから変な扱いはしない。これからこの惑星の医療従事者になってくれ」


「もちろんよ~!もうノーデンス関係無いから安心してちょうだい。女王の部下としてここへいるわ」


「よろしくね!イシス!」


こうして旧き神のイシスがここへ来た


これからきっと活躍してくれるだろう。この惑星の最初の旧き神はイシスだった



旧き神、イシスを惑星案内する


ちょうど湖のほうまで来た。イシスはどこかワクワクした感じな態度をとる。それもそうだろう


すると、誰か湖にいた。グラーキがいた。奈美は挨拶する


「グラーキ!」


「…やあ女王。私だ…」


いつも奥深くにいるグラーキがここへ浮上するとは一体なんだろうか


「どうしたのグラーキ?」


「…水質汚染を防ぐためにここにいるが…とてもきれいになった…。ここなら魚を持ってきても悪くないだろう…」


なるほど。確かにきれいになっている。グラーキの姿がはっきり見えるし水の底が見えそうなほどきれいだ


「なら、お魚持ってこようか!」


「奈美。それなら俺に任せろ。俺、クトゥルフは魚も持っていけるぞ」


クトゥルフは胸をどんと叩いていた


「クトゥルフ…よろしく頼むぞ…私はまた深く潜る…」


そう言うとグラーキは再び水中に潜る


イシスはその光景に驚くそぶりを見せる。なぜならここにいるグラーキを初めて会うからだ


「グラーキなんているのね」


「そうだ。こいつのおかげできれいな湖になってるんだ」


グラーキが奥深く沈んだのを見ていた




新しい旧き神のイシス


これで何かあっても安心だろう



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