第16話「偵察と農業」

…宇宙空間


人間で生身ではいられないこの空間をイクナグンニスススズは浮遊していた。目的は周りの監視


元々邪神であり神話生物でもあるこのイクナグンニスススズは特別何も無く浮遊して見ていた


前にニャルラトホテプに話した各勢力の動き。あれは見逃せない。なぜなら支配をするであろう種族もいるからだ


ティンダロスの猟犬たち。タゴンとハイドラの住人。そしてチョーチョー人の軍勢…


色々といる。こういうやつらが宇宙を汚していく、悪いやつらであった。イクナグンニスススズでもそれは嫌な気持ちである


いつか女王の住む場所へ侵略して来ないかとても心配だった。アザトース自身が向かえばそんな問題は無いだろうが


しかしアザトースは動かない神格。だからこそ色々な神格の力が必要だった。彼はそう思った


まずはノーデンスの船に行き侵略を食い止める方法でも探してみるか。そう考えたイクナグンニスススズ


一応アザトース宮殿の周りを探ってみたが特別何もなかった。ほっと一安心する


あの副王、ヨグソトースは今どこにいるのだろう?まだこの銀河系にいたら接触はできるが、一体どこにいる?


ヨグソトースの親戚、ヤードサダジでもいい。彼もヨグソトースと同じ神格を持つ旧き神。ノーデンスと一緒なのだ


ヨグソトースとは違って情け深い姿のヤードサダジ。やはりノーデンスの船に行くべきだろうか?


そういえば情け深いで思い出したがクタニドも一応クトゥルフの弟でノーデンスの側にいる腹心であった


ここまで考えてイクナグンニスススズはそろそろ宮殿に戻ろうとした。この宇宙空間、広すぎて生身ひとつでは周回に限界はある


「…副王様。ヤードサダジ殿。あなたたちは今、どこにいるのだろうか…」



一方奈美のいる惑星。今日も朝からクティーラに作ってもらった朝ごはんを食べていた


まるでお母さんのようなクティーラの存在。それでもこれはクティーラの母、イダヤーから教わったのだから


お母さんと呼べる人はこのクティーラっぽいイメージはある。そしてシュブニグラスも当然それっぽい


ハスターあたりだとなんだか頼れるお姉さんみたいな感じだ。お父さんはクトゥルフだが


頼れる神格。そして神話生物。地球で人間としていた奈美にとってはとても充実した第2の人生を送っていた


そんなこと思ってたら朝食はすぐに完食。美味しかった


「ごちそうさまクティーラ」


奈美は側にいるクティーラに向けて笑顔で言った


「ええ。今日も頑張ってね」



そして奈美は王座に座る。横には相変わらずのメンバー、ニャルラトホテプ、ハスター、クトゥルフだ


しばらく、というかいつもこの4人…いやクティーラも含めて5人でいた。だからこそ安心できる


色々な神話生物に会ったが、次は一体誰が来るのだろう?奈美はワクワクするしかなかった


とおもったら早速王の間に到着してこちらに向かう人がいた。顔なじみの神話生物だった


「おはようシュブニグラス、クトゥグア」


豊穣の神、シュブニグラスと太陽の神格、クトゥグアだった


「奈美。今日も元気そうね。まずは…、クトゥグアから言う?」


「そうだね。アタシから言うわ」


まずはクトゥグアが女王奈美に報告をする


「女王。太陽光発電のことだけど、順調にエネルギーを溜めているよ。これなら都市一角なら電気が備わるよ」


もうそんなエネルギー?が溜まっていたのか。本当にクトゥグアの火の玉はとても良いエネルギーだ


「ありがとうクトゥグア。ほら、ニャルラトホテプも言って?」


「お、おう…ありがとな」


ニャルラトホテプに言われてクトゥグアは微笑んだ。敵対関係の2人がすっかり同盟関係になったのは嬉しいものだ


「…で、シュブニグラスのほうは?」


「言うわね。実は地球の日本の食事に米ってあるじゃない?それを作るために田んぼを用意したいのよ」


ああ~。たしかに地球の米は美味しい。そしたらここで田んぼを作り稲から育てて米を作るのはとても良いことだろう


「わかった!じゃあイグに相談してみるね」


…でもいつも朝食べてるクティーラが用意してくれるごはんはどうしてここにあるのだろうか?


もしかしてニャルラトホテプが現地に行って調達してるのだろうか?


まあいいや考えなくて。これからこの惑星で米が採れるというなら美味しいお米が食べられるだろう


「これからますます農業が盛んになるね!」


「そうだな。シュブニグラスのこともあるからしっかりできるぞ」


奈美は笑い、ニャルラトホテプはどこか和みのある声で言った



…ざくざく


というわけで建築の間をぬって始まった田んぼの整地


これもシュブニグラスが担当することになる。豊穣の神とは色々な農業ができる力を持つ邪神だからだ


「んー…」


奈美、イグ、シュブニグラスといてイグは思ったことがあった


「どうしたのイグ?」


「いや…畑を耕してくれるのがほしいなあとは思ってんだ」


畑を耕してくれるのかあ。そんな神話生物聞いたことがない


「誰か神話生物か神格でいるかなあ?」


「なら安心して。私の能力で黒い仔山羊を用意してあげるから。それを使って耕しておきましょう」


その案に賛成だ。イグはシュブニグラスを見て言う


「わかった。更に農業と畜産がこの惑星で豊富になるぞ。楽しみにしよう」


イグはそう言った。奈美も惑星での食べ物ができることを期待した



でもまだまだ神話生物がいるのだろう…


奈美はしみじみとそう感じた



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