第15話「一つ目神話生物シアエガ」

…今日も奈美は王座にいた。相変わらず報告を受けるだけの仕事だった


元々ニャルラトホテプに選ばれし者。そんな女王を部下たちはとても慎重に扱っている


ニャルラトホテプはどちらかというと上司なのだが奈美となると女王なので上下関係なさそうな雰囲気をしている


報告としては家がちまちまと完成。様々な神話生物が暮らせそうな土地を作ったとのこと


また、土地として樹木を切って平地にしてそこで建物を作るという作業もしてるらしい


奈美は当然その行動には全然否定はしなかった。なぜならこれから神話生物たちと暮らすとなると土地は必要になるだろう


きっとみんな…神話生物と暮らしたいんだなと思った。その時点で女王である奈美はワクワクするしかなかった


「…じゃあ引き続き土地開発をよろしくね」


「ははー!女王様!」


部下が去っていった。奈美の隣にいるニャルラトホテプは言う


「だんだんこの惑星としては建築物が多くなってきた。イグの指揮もかなり効いている」


「他に誰かモンストロルムが来ないかな?」


うーん。誰を誘うか。ニャルラトホテプは少し考えて言う


「監視…なんてどうだ。この宮殿の見張りみたいなやつはいるだろう」


監視なんて言われた。部下のことではなく宮殿の見張りとは


「うってつけな神話生物いるの?」


「いる。シアエガというやつだ。目と触手しかない、変わったグレードオールドワンだ」


へえ。まるでRPGに出てきそうな神話生物。奈美はイメージするとだいたいわかった


「そのシアエガは…性別ってあるの?」


「いや何も無いが一応男だということはわかっている」


「ふーん?じゃあ呼ぼうよ!」


呼ぶか…変わった姿をしているから奈美には少々キツイかもしれないが…


ニャルラトホテプはその場でスマホを取り出し、電話をする。電話でOKなんだ…と横で見てた奈美は思った


「…もしもし俺だ。シアエガ、いるか?…そいつを今惑星にいるのだが派遣してもらいたい。…わかったありがとう」


あまり会話をせずに終わった。来るのだろうか?


「シアエガ、来るの?」


「俺の特権だ。そんな時間かからないうちに来るだろう」


「派遣、って聞いたけど?」


奈美が言うとニャルラトホテプはすぐに答える


「監視事務所。いわゆる警備隊派遣のようなものだ。だがシアエガは一体しかいない。他にも下級神話生物がいるがな」


宇宙にもそんな場所があったなんて。やはりこの宇宙、広いものである


「そんな時間はかからない。気長に待ってることにしよう」


「うん」


そう言うと2人は待つことにした



シアエガが来るであろう時間帯になった


夕方。夜になれば建築は終わりだ。後はそれぞれの時間になる


ニャルラトホテプは待っていた。おそらくもう来るだろう。これは邪神ならではのテレパシーを感じる行動であった


宮殿の玄関で待つ。するとシアエガとは違う邪神が来た。クトゥルフにハスターだった


「あれニャルラトホテプ?どうしてここにいるの?」


「俺が派遣を待ってるからだ」


そう言うとクトゥルフは言う


「派遣?誰のことだ?」


「シアエガだ」


彼がそう言うとクトゥルフとハスターはわかっていた


「あの神話生物呼ぶんだね?わたしあの人とはあまり会ったことないよ」


「あいつかあ。もしかして監視が必要なのか?」


2人が言うとニャルラトホテプは言う


「そうだ。いつ何か来るかわからない。だからこそ宮殿の入口に必要なんだ」


宮殿の入口に置くのか。それは良い案かと思った2人だった


「しかしそんなことするなんて。何か必要なことはあったの?」


「ああ。実はな…」


それを言うとニャルラトホテプは上を見上げる。すると何かが飛んでくるのがわかった


ふよふよと飛行してこちらへやってくる。その姿はあまりにも歪な姿だった


触手の中心に目があり、丸い緑色のした瞳の色、その触手も色々ぐちゃぐちゃとある、そんな神話生物だった


あいつだ。その神話生物の名を言う


「シアエガ!」


ニャルラトホテプが言うとクトゥルフとハスターは上を見上げる。シアエガであった


シアエガは3人の上を上空にいて、そして喋る


「やあやあニャルラトホテプさん。遅れて申し訳ないね。僕はシアエガ。グレードオールドワン。よろしくね」


そう言うとふよふよと3人の目線に合わすように高度を下げた


「おお、シアエガ」


「シアエガくんだあ」


「こんにちはクトゥルフさん、ハスターさん。これから僕はこの惑星にいることにしたよ」


触手と目だけだが好印象の気持ちになれそうだ


「お前の任務は監視だ。宮殿の入口で監視をして、たまに内部の監視もしろ。よろしくな」


ニャルラトホテプは命令をした。シアエガはわかった


「了解~。けど内部の案内してくれると助かるな」


「それじゃあ行こう。ついでに女王も会っていくか」


3人と1匹は宮殿の内部へと向かう



「…へえ!この神話生物がシアエガっていうの!」


部屋の前にいた奈美とクティーラはシアエガを見ていた。当然奈美は全然驚いてない。そこが女王の素質なのだろう


「そうです。これから監視をします。どうぞよろしくお願いします」


「うんよろしくねシアエガ」


「あなた割りと怖い姿してるわね。こんなの夜に来たらたまったもんじゃないわ」


奈美は挨拶を。クティーラは感想を述べた


「よし。女王に挨拶は済んだな。これから監視を中心に行動しろ。何かあったらテレパシーで俺に伝えろ」


「了解!今から監視を始めるよ~」


このシアエガという神話生物、怖い姿をしているがあまり怖くはない


挨拶を終えるとニャルラトホテプとシアエガはまたどこかへ行くことになった


「…だんだん神話生物がたくさん来るの、嬉しくなっちゃうね」


「そうね。これも奈美のために行く神話生物が多いからよ」



シアエガという神話生物


これでまた賑やかになったことだろう




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