第10話「建築家イグ」
…かんかん とんとん うぃぃん
建築ラッシュが進むこの惑星にて様々な建物が作られていた。本当にアザトースの配下は働き者だ
様々な音が聞こえる。それも建物を作るという音が聞こえる。奈美はとても面白いと思った
ここは建築ラッシュが進む広い場所。まだまだ完成には至ってない建物もあるが、見えてくるのは人間世界と同じ建物だった
奈美、ニャルラトホテプ、ハスターはその場所で見ていた。彼らは間近で見ている
「…私が来てからそこまで経ってないのにもうこんなに建物が作られているんだね」
奈美は建物を見て思った
「だが、俺が一応現場監督になってるが…俺は建築の知識があまりないんだ」
ニャルラトホテプが急にそんなこと言い始める。え?そうなの?
「ニャルラトホテプ。そういえば建築に詳しい邪神、いたよね?」
建築に詳しい邪神?奈美はハスターの言ったことに疑問を感じる
「ああ。イグか。あいつは元々地球にいたやつ。人間の姿をしているが本当は蛇の人間。そんなやついたな」
イグ。そんな人…いや神話生物いたのか。意外と広いね神話生物
「そのイグさんって、今どこに?」
「…アザトースの宮殿にいるのが最後の情報だったな」
アザトースさんの宮殿かあ。でも地球にいないのは不思議だ。そう思うとハスターが言う
「…イグ、頼りがいのあるグレードオールドワンなんだけど、ちょっと傷つきやすい性格してるからね」
「大丈夫なのその人?」
奈美が疑問に思うと、ニャルラトホテプは何もない表情で言う
「俺が誘えば大丈夫だろう。よし、あまりアザトースには会いたくないが行くか」
そう言うとニャルラトホテプはふわっと空に浮かんだ
「すぐ帰ってくる」
彼は宙を飛び、やがてアザトースのいる宮殿へと向かっていった
「…大丈夫かな」
「わたしイグとはあまり会ったことないんだ」
奈美とハスターは空を見ていた
~
アザトースの宮殿
ここは様々な配下と邪神がいる星の彼方にある場所。ここにニャルラトホテプは久しぶりでもないがたどり着く
宮殿の入口に来た。イグがいるはずだ。だがここに来たらまずはアザトースに挨拶しなくてはならない
ニャルラトホテプは早速イグではなくアザトースに挨拶をしようとした
アザトースの間に行く。配下が踊っている。これはアザトースの配下の踊りであった。あまり気にはしない
アザトースがニャルラトホテプを見ると、大きい声で言う
「ニャルラトホテプ!どうだ?女王と上手くいってるか?」
「ああ大丈夫だ。アザトース、どこも行ってないよな」
ニャルラトホテプの言葉ですぐに返事を返すアザトース
「我は何もしてないぞ!あっはっは!」
やかましい笑い声が聞こえた。これがなきゃなあ。ニャルラトホテプは何ごともなく言う
「アザトース。イグはいるか?」
そう言うとアザトースはすぐに返事をする
「いるぞ!我の宮殿にいるぞ!もしかして必要か?」
「現時点で必要だ。だからイグを借りるぞ」
「よかろう!今すぐ行け!」
相変わらずでかい声で言う。こんなのが惑星に降り立ったら洒落にならない。絶対来ないように願ったニャルラトホテプだった
~
宮殿内を歩く。イグのいる部屋へ行く
ニャルラトホテプは気を感じるのかイグがいるというのをわかっていた。その場所へ着いた
コンコン。ドアをノックする。がちゃ…そこには蛇の人間がいた
「イグ!」
「…ああ。ニャルラトホテプか。久しぶりだな」
神話生物特有の元気さが感じられない。きっと何かあったのだろう
「…どうしてここにいる?」
彼が言うとイグは落ち込む様子で言う
「俺、ちょっと人間の世界で上手く行かなくってな。現場監督としていたんだが、首になったんだ。それでもうやけくそになった」
…たとえ神話生物とは言えど心をもつ神格が多い。だからこの蛇の人間は傷ついてしまったのだろう
「イグ。お前はまだこれからだ。俺はお前を招待したい。女王の住む、惑星の現場監督になってほしい」
ニャルラトホテプは鼓舞しながらイグを誘った
「…俺が、女王の住む…惑星に?」
ニャルラトホテプは説明をした。女王の奈美のことと、今いる邪神のことを
「…そうなのか。女王は会わないといけないが…あいつら、良いやつらだからな。俺はもう一度、できそうな予感がする」
「お前を求めている。だから来てくれないか?アザトースにも許可は取ってある」
イグは喜ぶ顔をした。また俺の知識が生かせるなんて
「わかった。そこへ行こう」
少しの会話でイグは行く決心をした。ニャルラトホテプは良かったと思った
イグは部屋の外に出た。するとアザトースの声がした
「イグ!お前の働き!期待してるぞ!」
アザトースの声がした方向に向き、イグは言う
「ありがとうございます魔王!行ってきます!」
~
「…というわけでニャルラトホテプ、イグのとこに行ったけど時間かかりそうだね」
王の間にいた奈美。側にいるハスターとクトゥルフがいた
「でもここから魔王の宮殿にはそんな時間かからないよ」
「あいつどうして魔王の宮殿に行ってんだ?他にも惑星があるのに」
そういう会話をしてると王の間の入口から誰か人影が見えた
間違いなくニャルラトホテプとイグであろう人物だった。蛇の人間。確かにその通りの神話生物だった
「ニャルラトホテプ!」
「よお奈美。イグを連れてきたぞ」
奈美のいる王座の前まで来て、イグはお辞儀した
「女王。俺はイグ。今日からここで現場監督として働く意思を持った。どうかよろしく」
「イグ!私は奈美だよ。イグを期待してるからね」
ニャルラトホテプ、クトゥルフと筋肉質な神格だが、イグも負けないぐらい筋肉質だった
「おう!」
「じゃあ早速現場に行こう。お前を期待するからな」
こうしてイグはこの惑星にいることになった
建築がよくなるだろう。奈美は嬉しそうに思った
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