第9話「ガタノゾーア」

「うーん…」


奈美は目覚めた。神話生物でもないので当たり前のように寝て、起きる


昨日は…ああそうだハスターと一緒にお風呂に入ったんだ。そしてそのまま寝たんだった


なんだかいつもどおりの朝だなあ。地球とはあまり変わらない、そんな日々を送ってた


…ん?隣に誰かいるような。クティーラだろうか?…そうではなかった


「…ハスター?」


あれ?なんでハスターがいるんだ?しかも寝心地良い感じに寝てた


え?私何か言ったっけ?ハスターの側にいてほしいなんて言ってないような気がする


そう思っているとハスターも目覚めた。ベッドで横になって、そして奈美を見た


「…おはよう奈美」


「う、うんおはよう」


ハスターも女性だ。しかもスタイルの良い女性なのだ。こんな素晴らしい女性の側にいるとなんだか恥ずかしい


ハスターの寝顔でドキッとしたし、目覚めた姿はなんとも可愛らしい。これでも邪神、グレードオールドワンなのだ


彼女はゆっくりと起きる。眠る時用の姿をしていた。いわゆるパジャマだろう。邪神がパジャマを着るとはね


「今日も一日よろしくね」


彼女は笑顔で言う。その笑顔に何度も可愛らしいと思ったか


「うん。よろしくね」


そう言うとドアが開いた。あっ!クティーラ!


「奈美!そろそろ朝ごはんの支度ができt…あー!ハスター!」


ハスターの姿を見るとクティーラはびっくりした顔と声がした


「やっほクティーラ。わたしと奈美は一緒に寝たんだよ」


「な、何言ってるの!なんで添い寝してるの!ハスター!貴女はもっと邪神としての自覚を持って!」


何度も言うがハスターは邪神の中でも位が高く、化身も持ってるグレードオールドワンだ


「落ち着いてクティーラ!」


「いやあ…わたしは思ったけど奈美の寝顔がとっても可愛かったよ」


ハスターは本音を言うとクティーラがますます慌てている


「と、とにかく!早く奈美から離れなさい!」


「うーん。もうちょっとだけ奈美といたいな」


「ハスター!もういいから!」


そんな朝から騒動があって奈美は困っていた



…というわけで王の間に着いた奈美


すでにいたニャルラトホテプとクトゥルフがいた。今日は一体何があるのだろうか


王の間に行くとなにやら鏡っぽいものが置かれてあった。なんだろうこれは


「これ…何?」


「これはワープできる鏡だ。普段はただの鏡だが、念じれば惑星をひとっ飛びできる鏡。今から俺の息子に会ってくる」


なるほどそんな鏡があるとは。息子というと一体誰だろうか?


「息子さんって誰?」


「ガタノゾーアだ。あいつ、海に面した惑星にいるらしい。大丈夫だ許可は取ってあるからすぐに呼べるぞ」


ガタノゾーア。どんな神話生物だろうか。奈美も行きたくなった


「私も行くよ!」


「だめだ。お前のような生身に近い人間が行くと姿を見ただけで呪いが始める。そうなるとお前死ぬぞ」


の、呪い?見ただけで呪いがあるのか


「俺が行くからここで待ってろ。呪いにかかって死にたくないだろ?」


「わ、わかった」


呪いがあるのなら止めておこう。なんていう怖い息子なんだ


鏡の前でクトゥルフは念じる。そしたら鏡がピカッと光って通れるようになった


「それじゃあ。会ってくるな」


そう言うとクトゥルフは鏡の中に入り、そして消えた


「…大丈夫かな」


「大丈夫だ。グレードオールドワン同士だからな」


奈美とニャルラトホテプは黙って待っていた



鏡からガタノゾーアがいる惑星に行く。すっと降りた


この鏡が無いと戻れないのでそのまま放置。クトゥルフは歩いた


洞窟内となっており静かに様々なものがたたずんでいる。彼は相変わらずだなと思った


しばらく歩くと行き止まりになった。いや、行き止まりでは無い。ガタノゾーアの住む住処へとたどり着いたのだ


クトゥルフの目の先には空洞が広がっており、そこにいるに違いない。クトゥルフは大きい声で言う


「ガタノゾーア!我が息子よ!」


彼がそう言うと地響きのような音が聞こえた。そしてあまりにも大きい、神話生物が登場した


形がはっきりしない。触手があり、鱗で覆われて、うねうねして、あまりにも大きい。そんな神話生物がいた


彼、ガタノゾーアがクトゥルフを発見すると声が来た


「…父ちゃん!」


ガタノゾーアが最初に言った言葉は父、クトゥルフのことだった


「ガタノゾーア!俺だ!元気か?」


元々クトゥルフは大きい神話生物だが、今は奈美を思って人間と同じぐらいの大きさになっている


「父ちゃん!俺っち、聞いたぜ!父ちゃんと姉ちゃんが新しい女王の側にいるってな!」


すでにクティーラからガタノゾーアへ伝わっている。どう伝わっているのかはあまりよくわからないが


「そうだ。これからお前も女王のいる惑星へと誘導しようと思う」


「俺っちが?いいよ!けど俺っち、小さいとあまり意味をなさない体になるからなあ」


ガタノゾーアが言うとクトゥルフはうんうんとうなずいた


「そうだそれでいい。惑星に行ったら大きくなればいい。まずは小さいままで女王に挨拶しろ」


「わかった!じゃあ俺っち小さくなるな」


ガタノゾーアが言うとガタノゾーアの体から光が包み込む。そして光が終わると小さい姿になった


まるで未確認生物だ。目の無い頭。体に鱗が覆われた姿。触手が手足の役割となっている


「よし。じゃあ行こう」


クトゥルフはガタノゾーアを連れて鏡へ戻っていった



…ぴかー!


鏡が光に覆われた。帰ってくるのだろう。待っていた奈美とニャルラトホテプが鏡を見る


そこに登場したのはクトゥルフが先に出てきて、小さい姿になったガタノゾーアがいた


「あれがガタノゾーア…!」


2人が出ると役目を終えたのか鏡は光が消えた


「あなたがガタノゾーアっていうんだね」


「おお!なんだかとっても良い女王!うっす!俺っちガタノゾーア!クトゥルフ父ちゃんの息子だ!クティーラ姉ちゃんの弟でもあるぞ!」


なるほど。クティーラの弟なのか。つまりクティーラは長女ということが判明した


「これからガタノゾーアは山で待機してもらう形になる」


「俺っち、小さい姿だとだめだからな。何かあったら呼んでくれよ女王!」


そう言うと奈美は立ち上がり、ガタノゾーアの側まで来た


「私、これからこの惑星をよくするから…応援、よろしくね」


「もちろんだぜ!」



ガタノゾーア新しく入った


クトゥルフもどこか喜んだ顔をしていた





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