第7話「風の魔神イタクァ」
今日も一日が始まる
クティーラに用意してもらった朝ごはんを食べながら奈美は思った。人生、充実してんなと
死んだ後、本当なら天国に行くのだろうか、私は違った。邪神を配下にする女王になったのだから
…というかこんなファンタジーな出来事が起きてどうしたらいいのか。全然わからん
生前、クトゥルフ神話のことも当然知ってたが…まさか実在してなおかつ様々な神話生物に会ってるしなんだこれ
わからんしなんだこれ。私はやっぱり死んでしまったほうがよかったのか…
…ううん。マイナスに考えてはだめ。せっかく第2の人生を選ばしてくれた。それだけでもニャルラトホテプに感謝しないといけない
ポジティブに。マイナスに考えない。そんなことを思っていた。それにクティーラなんていう仲良くできそうな人もいるのだから
今のところニャルラトホテプ、クトゥルフ、ハスター、クティーラ、シュブニグラスと出会った
まだまだいるだろう。絶対まだたくさんいる。奈美はそう思っていた。次に来るのは誰だろうか
…そんなこと、色々と考えたら朝ごはんは食べ終えていた。テーブルに座っていた奈美はクティーラを見る
「食べ終えたの?後は私がやるからね」
「うん。クティーラ」
食べ終えた奈美はそろそろ王の間に行こうとした
~
王の間で奈美は王座に座り、部下たちの報告を聞いた。様々な報告だった
建築がそろそろ完成するのがほとんどだった。もしかしたらこれで邪神たちを集めるのだろうか?
だが、ただの家ではなく施設も作るらしい。それはまだ時間がかかるとのことだった
「…わかった。引き続き、安全に建築を進めることにしてね」
「ははー!女王様!」
そう言うと部下が去っていく
横にいたニャルラトホテプとクトゥルフは言う
「奈美。お前はなかなか女王としての立場がわかってるみたいだな」
「元人間とは思えないぜ」
ニャルラトホテプとクトゥルフに褒められた。いやー…元一般人なのにこんなことになったのは今でも信じられないんだけどねー
でも、不思議と嫌じゃなかった。それだけであった
そう思っていると王の間の向こう側から誰か来たのがわかった。誰だろう?
黄色い服を着てるのはハスターだからわかるが、横の黒ずくめの人は一体なんだ?
奈美は思っていると気の所為か風が吹き抜ける感覚があった。これは一体?
ハスターと神話生物が近寄ると神話生物のほうはすっと座り女王に向けて挨拶を言う
「…はじめまして。女王様。お初でございます」
全体が黒く、髪だかなんだかよくわからないものがそよそよと舞っていた。彼を見るとニャルラトホテプが言った
「…イタクァ!」
その名前を聞くと、奈美は思った。イタクァってあの風の魔神…!
「おお。イタクァじゃねえか。もしかしてハスターと待ち合わせしたのか」
クトゥルフが言うとハスターは言う
「うん。わたしとイタクァはお友達だし、ここへ来てって言ったら来てくれたんだよ」
「いえいえ。ハスターちゃんに言われてここへ来ました。女王様。僕は来ました」
なんだか丁寧そうなイメージだ。奈美は黒ずくめなイタクァに言う。男性の声をしているのだからきっと男性だろう
「イタクァ。よくここまで来たね。私、奈美っていうの。…常時風が吹き抜けてるけど、イタクァなの?」
そうだ。この王の間自体に風が舞っている。風のグレードオールドワンだからだろう
「はい。僕の素質は風。だから僕の周りには風が吹き抜ける感じになっています」
なるほどなあ。だがそよ風なのでそこまで大したことないと思うが
「こいつ凄いんだぞ。敵を強風でふっ飛ばしていたり掴んでポイする怖い存在なんだぞ」
クトゥルフは少し笑いながら言う。奈美はやっぱり怖いなとは思った
「イタクァ。あなたに質問があるよ」
「ははっ!なんでしょうか!」
奈美は前から気になったことを言う
「ヨグソトース、会ったことある?」
そう言うとイタクァは少々戸惑いながら言った
「副王様ですか…副王様は本当にどこにいるかわからない…魔王様の場所にも行かない、そんな人なんです」
やはりあの副王というのは気まぐれで宇宙を旅してるのだろう。奈美が思ったらイタクァは付け足しで更に言う
「ただ…ノーデンス様の船に行ったという情報がありましたね…。確かではないのですが、僕が貰った情報です」
ノーデンス?あの旧き神のリーダー?
「そうなのか。あいつ、ノーデンスの船に行って何してたんだ?」
クトゥルフは言うとイタクァは困惑してしまう
「あくまでもそういう情報です…。僕には詳しくはわかりません」
「ねえニャルラトホテプ。ノーデンスって…旧き神の人だよね」
座っている奈美が言う。ニャルラトホテプは言う
「ああそうだ。最初は俺たちとは仲悪かったが、今は普通に仲良くやってる。ダオロス。という外なる神もいるからな」
どんな人だろうか。奈美は思っているとクトゥルフが言う
「おう。ノーデンスの船にクタニドっていう俺の弟がいるんだ。あいつは忠義ある神話生物だ。きっと活躍してるだろう」
クトゥルフに弟?それは知らなかった
「色々といるんだねえ…」
「女王様。みんなと仲良くして神話生物の皆さんを知るのもきっと、女王様の仕事だと思います」
そうだろう。奈美は決心を胸にそう思った
「うん!私、神話生物のみんなに会う!」
ニャルラトホテプは奈美を見て、クトゥルフはどこか笑顔でいて、ハスターはにこやかだった
~
「…もう行ってしまうの?」
宮殿の玄関でハスターとイタクァはいた
「はい。僕は次の場所にいかないと。ハスターちゃん、あの女王様とは仲良くしてください」
「うん。わたし、このままこの惑星にいるからね」
ハスターが言うとイタクァは宙を飛ぶ。そろそろお別れだ
「ハスターちゃん!いずれまた会いましょう!」
そう言うとイタクァは体が分裂して辺り一帯が強風が巻き込んだ。そして、一瞬の出来事だったのか。消えた
消えた後、ハスターは空を見上げた。おそらく、また宇宙に行ったのだろう
シュブニグラスと同じぐらい信頼してるイタクァの存在。また会える。宇宙は広いが、きっと会える
ハスターはいつまでも空を眺めていた
イタクァの情報は本当だろうか
まだよくわからないヨグソトースのことは謎のままである
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます