第32話 家族というものへの執着
「所詮他人。上手く居候出来なかったのは、彼らが準備を怠ったから、または居候先を選び誤ったからではないですか」
「冷たいね、コスモスは。僕にとって同郷のみんなは家族。血が繋がってたり、一緒に生きてたりするわけじゃない。ただ同郷ってだけだけど…それだけで僕は暖かい気持ちになれた」
二人のエイリアンがテーブル越しに睨み合っている緊張状態の中、蝶々さんが「ふふ」と笑った。
「なんで笑うのさ蝶々」
フラフが頬を膨らませて蝶々に視線を向けると、蝶々さんはにこにこしながらその理由を口にする。
「だって、フラフ君はコスモスのことを家族だって言ってるんでしょ?。もしかしたら、コスモスの反応があったから居候先を地球に決めたんじゃないかしら」
図星だったのか、何も言わずに俯いてしまうフラフ。顔を盗み見れば、顔が真っ赤だ。
蝶々さんは優雅に紅茶を飲むと、何故か次に僕へ質問してきた。
「岳春君は一人暮らし?」
「いえ実家暮らしです。母と姉が全権力を握っている賑やかな家ですよ」
「そうなのね。私の家と近いかしら」
「ええ、まあ電車で30分くらいですかね」
「やっぱり。フラフ君コスモスのいる場所から近い場所で、沢山家族のいる人の元へ居候したかったんじゃない?」
押し黙っているフラフの頭を、蝶々さんは優しく見据える。
「家族というものに執着があるようですね。面倒な感情は早めに捨てるべきですよ」
すまし顔でコスモスさんがそう言うと、蝶々さんは思いっきり彼の肩をどついた。
「ちょっと、何よそれ。面倒な感情なんかじゃないわ。コスモスの冷血漢!」
「冷血漢!」
フラフもここぞとばかりにコスモスさんに反発。
ちょっと蝶々さんとフラフ、似てるかも。家族というワードに引っ張られている気はするけど、コスモスさんと蝶々さんが両親でフラフが二人の子ども、みたいな…。
「岳春さん、フラフが子どもだなんて冗談やめてください」
蝶々さんと夫婦って思われるのはいいんだ。
「僕が蝶々の旦那さんがいいっ」
「?」
蝶々さんは俺と同じ人間だから心は読めない。だから俺の考えたことも、それに大してコスモスさんやフラフが言ってることも理解出来てないのだろう。頭の上に疑問符が沢山浮かんでいる
というか…。
「心読むの止めない?」
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