第24話 質問してもいいかな?
「質問してもいいかな」
「嫌だよ」
弟が出来たと思えばいいとか言ったけど、考えを改めた方がいいかもしれない。 家族には愛嬌振りまいて可愛がられてるけど、俺は騙されないぞ。
「騙されかけたくせに。弟だと思えばいいかなんて呑気なこと考えてたじゃん」
「…お前心が読めるのか?」
「うん」
うん、じゃねえよ。怖いよ。こいつ早く追い出さなきゃ…
「無理だよ。お前の家族はもう僕の可愛さに堕落し始めてる」
「どういうことだよ」
「言ってなかったけど、僕は居候型地球外生命体なんだよね。自分の星が消滅する運命にあってね、だから他の惑星に居候するんだ」
話によれば居候する為の手段はエイリアンの個体によって違うらしいけど、こいつは愛嬌が武器らしい。可愛いと思わせて、何かしてあげたいって思わせる。そうすることで居候を続けるらしい。
「なんで俺ん家なんだよ…。あーくそ、警察にエイリアンに居候されてるなんて相談しても、頭のおかしいやつだと思われるだろうし…」
「ふーん、お前は家族に下に見られてるみたいだけど、お前は家族が大事なんだな」
「まあな。てか、お前は?この後家族も居候させてもらうとか言い出したら流石に俺も黙って───」
「いないよ。僕ひとり」
少し寂しげな表情をするエイリアンに何か聞くことも言うことも出来なかった。
「…なあ名前は?」
「嘘かもしれないのに、そんなすぐにエイリアンに同情していいの?」
悪戯な笑みを浮かべたけど、寂しさを上手に隠しているようにも見えた。
「呼ぶ時困るじゃん。俺は
「僕はお前の母親をママ、父親をパパ、姉をおねえちゃん、お前をお前って呼んでるから別に困らないけどね。まあ知りたいなら教えてあげるよ、僕はフラフ」
「フラフ?」
「タンポポの綿毛のこと、ダンデライオンフラフ」
俺の大学のノートに、よりにもよってボールペンで「Dandelionfluff」と大きく書かれた。
「明日僕出かけるから」
「あっそ」
「あっそじゃないよ。岳春には荷物係でついてきてもらうから」
名前で呼んでもらえたことにくすぐったさを覚えながらも、荷物持ちか…とため息を吐く。
「何買うの?」
「子ども服。自分の惑星からあんまり荷物持って来られないんだ。だから新天地で調達しようと思って」
「おい待て。その金は誰が出すんだ?」
「え?おねえちゃんが買ってくれるって言ってくれたよ」
ねえちゃん、俺に何かを買ってくれたことなんてないのに……。くそ、フラフめ。
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