第23話 エイリアンだぞ?

蝶々が大根をすりおろしている頃、某別宅では────



「楽しそうじゃない、いいわよ?」



もうこうなったら変に嘘をつかずに本当のことを言おうと思い、先程この生意気そうなエイリアンがうちに住まわせろと脅迫してきたことを話した。



「え、まじ?」



母さんは二つ返事でオーケーしてくれた。



「あたしも別にいいよ。可愛い妹みたいで」


「それを言うなら弟じゃない?」



エイリアンはそう言いながら、炬燵に入ってちゃっかりみかんを食っている。そんなやつの頬を、怖いもの知らずな姉ちゃんがつんつんして和んでいる。



「でも父さんがなんて言うか…」



テレビで将棋を見ていた父さんに、みかんを頬張っていたやつがてくてくと近づいて「お世話になります」と猫を被ったように告げると、「うむ」みたいな感じで簡単に頷いてしまう。

おいおいいいのか父さん、こいつエイリアンだぞ?



「お前、人に好かれる能力的なの使ってない?」


「使ってないぞ、失礼な。あるとしたら愛嬌だな」



と可愛らしい笑顔で言ってくるのが腹立たしい。



「てかあんた、今日試験どうだったの?」



ぎくり。



「あんまし…」



母さんと姉が全権力を握ってるこの家で、父さんが俺を助けてくれるとは思えない。大学とバイトで忙しい上に、多分こいつの面倒を見るのは俺になるんだよなぁ。



「ってことで、よろしくな」


「最悪……大学にはついてくるなよ」


「うんっ」



なんかちょっと鼻につくけど、まあめんどくさい弟が出来たと思えばいいか…。

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