第22話 斬新な雑談

夕食を作る時間になったようで、コスモスは録画していたドラマを途中で止めて立ち上がった。キッチンへ向かうと冷蔵庫を開けて大きなため息をこぼして、申し訳なさそうに振り返って私を見る。



「私としたことが買い物の際玉ねぎ忘れたようなので、今から買って来ます。お願いなんですが蝶々さん、先に大根をすりおろしておいてもらえませんか?」



今から買い物となると、夕食は一時間ほど遅くなるということだ。それで申し訳なさそうにしているのか。それとも申し訳なさそうにしているようにみせかけて、実は「蝶々さんに大根をすりおろすことは果たして出来るんでしょうか?」っていう不安からくる表情?

 後者なら失礼しちゃう。大根くらいすれるわよ(たぶん)。



「いいわよ…あっ」


「なにかありましたか?」


「今日のAGEHAの放送内容決まってなかったから、大根をすりおろしながら雑談にすることに決めたわ。コスモスナイスよ」


「斬新ですね、わかりました。帰宅したら物音を立てないように部屋に入りますね」


「そんなに長く放送しない予定だからいいわよ。けど、あなたの物音立てないは本当に無音だから急に視界にあなたがいると驚くのよね」


「そんな幽霊みたいに言わなくても…わかりました。今度から物音なし気配ありにします」


「そうして」



AGEHAの放送でも男友達と同居していると既に話しているので、別にコスモスの声が放送中に入ってしまってもいいのだけれど、きっと嫌がるファンの子もいるからそこら辺は配慮している。

 ああ、それにしても夕食はハンバーグか。数日前に買った新米の大盛と食べたいわ。

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