第21話 大根おろしとポン酢のハンバーグ
よく考えるのよ蝶々。コスモスの同郷のエイリアンが地球に来たからって私に直接関係あるわけじゃないし…あ、でも
「コスモスの家族なら挨拶くらいはしといた方がいいわよね、お宅の息子さん養ってますって」
「それなら私も蝶々さんのご両親に娘さんと同居してる上にお世話もしてますって挨拶しないといけないことになりますけど?」
「あなたの言い方には明らかに悪意があるわよね?」
「ふふ、蝶々さんの反応が見たくてつい」
悪趣味な男だなと思いながらも、コスモスと同じように窓の外に顔を向ける。
コスモスは地球に一人で来たのだ。いくらもおういい大人だとは言っても、別の惑星に一人でやって来ることは色々苦労があっただろう。自分の星が恋しかったりするのかな。
「会いたいの?、同郷のエイリアンに」
「まっっっっっっっっっっっっっっっったく?」
「あ、あら、そうなのね」
「むしろ会ったら面倒ですよ。同じ地球に寄生するエイリアンなんですから、快適な居場所を奪い合う敵と思っても差し支えない」
「自分の星が恋しくなったりは?」
「一ミリも思い出なんてないですよ。ただそこで生まれて育って、他惑星に移り住むためのスキルを身につけられるまで過ごしてたってだけですから」
どうやら違ったようだ。凄く嫌な顔で否定されたし、嘘じゃないみたいだし。
コスモスの心配はなくなっても、彼と同じなら、新しく地球へやって来たエイリアンも人の家に居候するエイリアンのはず。居候先に選ばれた人間は困ってるに決まってるわよね…。まずエイリアンの存在を頭に理解させることが大変なんだから。
「今日はハンバーグにしますけど、大根おろしとポン酢で食べます?。それともデミグラスソースですか?」
「おろぽんがいいーっ」
蝶々の思考は他エイリアンに侵略された人間よりも今夜の夕食に奪われたのだった。
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