第16話 まるで本物の蝶のように

「今日はあなたの部屋の家具を見に行きましょう。構わない?」


「そんなに気を遣っていたがかなくても…」


「遣わせて。ふふ、引っ越しの時って家具とか買うのワクワクするわよね」



なんだか蝶々さんが楽しそうなので、お言葉に甘えて遅めの朝食を食べた後二人で有名な家具屋へ向かった。



「この紫色のソファもいいわね」


「こんなに大きいとベッドとこれで私の部屋埋まりませんか」


「うーん、言われて見ればそうね。残念。あら、これは?」



私の買い物であるはずなのに、蝶々さんは本物の蝶のように好みの家具から家具へと移動しては「ねえ、コスモス見て」とこちらを笑顔で振り返った。

 可愛い人だな。


 購入したのはベッド、本棚、机、今のところその三点のみだ。かけ布団は蝶々さんのご両親が蝶々さんにとくださったものをそのまま使わせていただけるとのことで、代わりに机を購入させてもらった。



「あの一人がけのソファ、しばらく見てたわよね。買わなくてよかったの?」

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