第14話 居候生活晴れてスタート!
差し込む光に照らされる洗面台には、黄色い歯ブラシともう一本。緑色の歯ブラシが仲良く立てかけられている。
蝶々さんの月曜日の朝は早い。
土、日曜日の起床時間が嘘のような時間に自力で起きてから四十分以内には朝食や支度を終えて家を出て行かれる。
そんな蝶々さんのために、朝食は簡単に食べられる物を作ることにしました。
最近春なるものがやってきて日差しが暖かくなるもまだ風が吹いていて肌寒いとのことなので、体を芯から温める野菜スープを作りました。
それから、本当にもうギリギリすぎる賞味期限のパンでホットサンドを作り三角形になるように二等分に切ってからお出ししました。
最後に珈琲を食卓に並べれば、匂いに釣られてテーブルについた蝶々さんと手を合わせ朝食を頂きました。
「何かあったら連絡してね」
「かしこまりました。いってらっしゃいませ」
彼女を玄関先で見送ってからは掃除洗濯と部屋中をぐるぐると回ります。
自分のための昼食を作っている際、蝶々さんにお弁当はいらなかったのかと思い至りまして。彼女が帰宅したら尋ねればいいと思い直し、野菜炒めの味見をする。
買い物を終えすることもなくなった午後は、落ち着かないので台所で気になっていたコンロの汚れを掃除し、残りの時間は夕食のカレーを煮込みながら蝶々さんが帰宅するのを待った。
「ただいま」
「おかえりなさい、蝶々さん」
台所の片付き具合に腰を抜かすほど喜んで頂けて、お掃除好き冥利につきます。
朝と同様、テーブルを挟んで向かい合うように席につく。昨日の要望させて頂いた通り、今日明日の夕食はカレーです。明日は出汁やネギなんかを加えてカレーうどんでもいいかもしれません。
「今日は何をしてたの?」
得体の知れない地球外生命体が自分の家の中で何をしていたのか気になるといった訝しむような問いではなく、単に私が一日何をしていたのかのか興味があるご様子。
この人間、もっと警戒心持った方がいいんじゃないですか?。
蝶々さんはあくまでラッキーだっただけだというのに…。
素直に答えれば、呆れを通り越して心配されてしまいました。
「何もすることがなくて落ち着かないならテレビでも見たら?」
「テレビですか」
「あなた地球にはまださほど詳しくないようだし、見聞を広げるためにもニュースとか…後は」
蝶々さんは過去に録画したドラマやアニメについて教えてくれる。
「それは面白そうですね。検討してみます」
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