第22話



「こんばんわ、藤沢遼太郎です」


「知らないわ、そんな人。帰ってくださいませんか」


「おーい、藤沢だよ、藤沢! 肉食系吸血鬼の藤沢だよ!」


「帰ってください」


「ほう、そうくるか。ならば強行手段しかあるまい」


 藤沢がそう言った後に、乙女の部屋が揺れ、電灯が瞬き、再び明かりが灯されたと同時に、タキシードを着た藤沢が現れる。


「あのー、どうせ勝手に入って来るんですから、最初からそうすれば良いのではないですか?」


「あはははは、藤沢、参上」


 顔にはニンニク臭を避けるためにガスマスクを着けてある。


「付き合ってた時、こんなに面倒臭い人だったかしら?」


 その時、突然、乙女の後ろで声がする。


「あはははは、ロマン、惨状、ではなくてですね、参上です!」


「あら、こっちも結構面倒臭かったわ」


「では、屋上へ参りますか? 草食系吸血鬼さん?」


「お付き合いさせていただきましょう」


 またもや一匹のコウモリと蚊が夜空へ飛翔して行った。

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