第21話
旅人よ、
あなたは知っている、
永遠ほど儚いものはないことを。
永遠などを求めれば、
既に何もないことを知るだけ。
宇宙を見よ。
星でさえ破壊と再生を繰り返しているではないか。
破壊は再生であり、
新生は滅びゆく刹那。
与えられた空間を受け入れる者よ。
旅を続けるが良い。
今度はいつやって来るかも分からない。
致命傷といえば乙女のニンニク プラス オニオン攻撃だけであったのだから。
今夜やって来ても不思議ではないくらいである。
そんな中
呑気に二人が会話をしている。
「ねぇ、蚊、になるってどんな気分なの?」
「そうですね、今生きている事とほとんど変わりありませんよ」
「そうなんだ、じゃぁ、もう一つ聞いてもいいですか?」
「ええ、何でも」
「肉食系は血と魂を吸い取ることで仲間を増やすんですよね? しかも、操り人形みたいな?」
「ええ、そうですよ」
「じゃぁさぁ、草食系は、どうやって仲間を増やすんですか?」
「私達は血の交換をするんです。人間の血を吸った分だけ、私達の血を与えます。血液には魂が宿っています。だから、魂の交換ともいえますね。また、血液には白血球という成分があり、ってこれはご存知ですよね?」
「うん、知ってる」
「で、その白血球には遺伝子が組み込まれています。遺伝子にはエクソンと呼ばれるものとイントロンと呼ばれるものがあります。エクソンは翻訳領域として遺伝が受け継がれていきます。一方、イントロンは非翻訳領域と呼ばれていて、直接的に遺伝には関わっていません。このイントロンの部分に私達草食系吸血鬼の遺伝子を入れます。血の交換をした人は、自分自身と吸血鬼の遺伝子の両方持つことになります。思考は個人のままで、能力は吸血鬼のものが受け継がれます。私もそうやって生まれました」
「難しいお話ですね。吸血鬼かぁ、何だかそれもいいなぁ」
「え?」
「あ、うん、何でもない」
その時、乙女の部屋に繋がる呼び鈴が鳴った。
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