第8話
(美男子系)草食系吸血鬼は最近までのことを話し出す。
が、最近と言ったらどれくらいの時間なのであろう?
彼は吸血鬼なのだ。
吸血鬼の生命の時間と人間の時間が噛み合うのか?
「初めまして」
「え、はい、初めまして、って言うか今頃?」
「はい、こんばんは、しか言っていなかったように思いますので。あ、それとも、おはようございます、でしょうか」
「もう、どっちでもいいわ」
「では、初めまして、私は、ロマン・フォン・ヘッセ、と言います」
「知ってる」
「ロマン、と呼んでくださっていいですよ」
「聞いた」
「ここへ来るまでの事を聞いてくれますか?」
「それ、私が質問したこと」
「私は、あなたの言った通り、いろーんな国を旅して来ました。そして日本にいます。その前は中国にいました。中国は知っていますか?」
「知ってる」
「中国で、蚊の姿で、花の蜜を吸って、お腹いっぱいになって、あ、鼻じゃないですよ、花ですよ」
「鼻から蜜が出るか?」
「その日は昼寝をしておりました。昼寝をすると夜に目が冴えてくるものです。あなたもそうですか?」
「どうでもいいから、話を進めてくれませんか」
「私は目が冴えて来たので、中国の森の中を散歩することにしました。小さな蚊のままで空中を飛翔していたのです。そしたらなんと・・・!」
「なんと?」
「・・・・・・・・。」
「おい、そこ、溜めるところか?」
「なんとコウモリが出て来たのです。オオコウモリです。中国にはオオコウモリが生息していたのです。オオコウモリは蚊を食べるのです。中には人間の血を吸うコウモリ族の吸血鬼もいるのです。肉食系吸血鬼です。私たち蚊族の天敵です。家族ではありません、蚊族です。ファミリーではなくモスキートです」
「説明は要らんから話を続けろ」
「そして、中国人は、そのコウモリのうん○を食べます」
「げ、○んこ」
「いえ、う○こをそのまま食べるのではなく、その中に混じっているもの、そう、消化しきれずに残った蚊の目玉をスープにして飲むのです。乙女さん、私の目玉をスープにして飲もうと思いますか?」
「要るか! そんなもん」
「あなたは思った通りの良い人です」
「え? 私を選んでここに来たの?」
「いえ、偶然です」
「もういい、黙れ」
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