第7話



 彼女は服を着替え直すと落ち着く為に何回も深呼吸をする。

呼吸が整ったところで、


「たくさん聞きたいことがあるの、草食系吸血鬼さん」


「ロマンで良いですよ」


「はいはい、ロマンさん」


ロマンって、そんな恥ずかしい呼び名で呼べるか!

と彼女は思っている。


「では、第一の質問。どうしてタキシードなの? いや、それはいい。それよりも何処から来たの?」


「ああ、私は、たくさんの国を回って来ました。そして、日本にたどり着いた」


「あのね、草食系吸血鬼さん?」


「ロマンで良いですよ」


「あー、はいはい、ロマンさん。あなた変身したところで、蚊、でしょ? どうやっていろーんな国を回ることができるんですか?」


「私は、飛行機にも乗りましたし、船にも乗りました、そしてこの部屋に辿り着くのにエレベータにも乗りました」


「その姿でですか!」


「いえ。蚊、です」


「はぁ、何が何だか分からなくなってきたわ」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る