第22話 なんで俺は勝てないんだ!!! side ゴウマン

「……パーハラ将軍、また負けたのか。しかも無能結界師に」

 

 謁見の間で、パーハラ将軍がブルブル震えている。

 パーハラ将軍は、エルフの村から逃げ帰ってきた。

 こいつは負けたのだ。無能結界師を相手に何もできず、無様に戦場を逃げ出した。


「この恥さらしがあああ!!! 貴様はクビだあああ!!!」

「どうか、どうか……クビだけは許してください……」

「貴様は俺の顔に泥を塗った……絶対に許さん」

「人間軍をクビになれば、私は路頭に迷うことに……」

「知ったことか! さっさと出て行け!」


 俺は衛兵に合図した。


「いやだあああああああああああああああああああああ!!!」


 パーハラ将軍は汚い叫び声を上げて、衛兵に引きずられて行った。

 最後まで無様な男だった……

 はあ……無能な部下のせいでストレスが溜まるぜ。頭が痛い。


「これでおわかりになったでしょう。アルクさんに戻ってきてもらうのです」


 人間軍の聖女、レティシアが部屋に入って来た。

 とても険しい顔をしている。

 またうざいことを言いそうだ。めんどくせえ。


「無能結界師に戻って来てもらうだと……? 絶対にありえん! あいつは裏切り者だ。殺してやる」

「アルクさんは帝都を結界で守ったり、将軍補佐として人間軍を影で支えてきました。そんな人間軍に貢献してきたアルクさんを殺すなんて……正気ですか?」


 また、だ。

 ずっとあいつの名前ばかり。無能結界師の名前——アルク、アルク、アルク、アルク、アルク……

 もしかしてレティシア、アルクのことが好きなのか?

 ……クソッ! 俺はレティシアのこと、ちょっといいなと思っていたのに。

 あんな人類の裏切り者がいいだなんて、ビッチだ!

 ビッチ! ビッチ! ビッチ!

 

「……レティシア、お前はアルクが好きなのか?」

「は? 今はそういう話では——」

「このビッチ聖女が! 裏切り者が好きなど恥を知れ!」


 レティシアは冷めた目で俺を見ていた。


「……わかりました。私は出ていきます」

「何?」

「自らの間違いを認められない方に、帝国を治める資格はありません。私はもうお仕えできません」

「お前も人間軍を裏切るのか……」

「裏切るのではありません。見限るのです。アルクさんが戻ってこないなら、いずれ魔王軍に負けるでしょう」

「あんな奴がいなくても、俺は勝てるのだ!!」


 俺は拳をギリギリと握りしめた。

 無能結界師がいなくても、俺は魔王軍に勝てる。

 俺が直接出て行けば、すぐにアルクなど倒せるに違いない。……違いない!!


「はあ……現実が見えていない人が上に立つと、下の者が苦しみます。では、さよなら」


 レティシアは振り返ることなく、謁見の間から出て行った。    



________________________________________

【★あとがき】


モチベになりますので、


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結界魔法しか使えない無能と蔑まれ、人間軍をクビにされた結界師の俺、闇堕ちして魔王軍の守護神となる。結界は永続じゃないから、メンテはそちらでよろしく〜 くまちゃん @saikyojoker

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