第21話 パーハラ将軍、クビになる
「死ねえええええ!!」
雷撃と砲弾が俺に飛んでくる。
だが——
「止まった……だと?」
空中で雷撃と砲弾がピタリと止まった。
「パーハラ将軍。あんたのバカな判断のせいで、兵士たちが死ぬのは忍びない。早く部隊を撤退させてくれ」
「バカを言うな! この俺が、無能結界師を相手に撤退なんてあり得ない……」
相変わらず、部下のことをまったく考えない上司だ。
自分のプライドを守るために、部下を犠牲にする。
糞上司すぎる……
「……撤退はしないんだな?」
「撤退などするものか!」
無能な上司のせいで、末端の兵士を死なせるわけにはいかない。
東の方に山が見える。
……そうだ。あの山を消し飛ばせば、兵士たちは逃げ出すに違いない。
俺は山の方を指差した。
「ははは! ついに狂ったか!」
パーハラ将軍はまだ現実が見えていないようだ。
今までパーハラ将軍が撤退のタイミングを間違えて、何人の兵士が死んだだろう。
クビになったほうが、人間軍のためになる。
「よく見てろ」
「はあ?」
俺は指を弾いた。
空中で止まっていた雷撃と砲弾が、山へ降り注ぐ。
ドオオオオオオオオオオオオオン!!
岩が砕け散る音が聞こえた。
「山が……吹き飛んだ」
山が跡形もなく消し飛んだ。
さすがのパーハラ将軍も、驚いて呆然している。
「さあ、撤退しろ! お前たちも消し飛びたいのか?」
俺はパーハラ将軍の後ろにいる兵士に叫ぶ。
「あいつやべえよ……」
「強すぎる」
「勝てるわけねえ」
兵士たちは次々と逃げ出した。
「おい! 逃げるな! 逃げずに戦え!」
パーハラ将軍の声も虚しく、兵士たちはドンドン逃げて行く。
「待ってくれ! 俺を置いていくなー!」
パーハラ将軍は兵士たちを追いかけて行く。
「アルク・バリアード! まだ負けてないからな! 次こそこの村を滅ぼしてやる!」
モブの悪党みたいな捨て台詞を吐いて、パーハラ将軍は逃げて言った。
次はもうないだろう。他人の失敗に厳しいゴウマン皇子が今回の敗北を許すわけない。
パーハラ将軍は、クビ決定だ。
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