第45話 判明

気になる中島君の弟さんは何故私を見つめていたのかしら?明日聞いてみよう。

翌日、「中島さん」「えっあはい」隣の課の職員は振り向く「清水さん?」「休憩時間にすみません。少しお時間頂けますか?」「はい」一緒に食事をしていた同僚が中島を小突く「知り合いになったのか?」「イヤ特には。」「じゃあなんでご指名なんだよ?」「さ、さぁ」「少し外で風に当たりませんか?」「分かりました」中島はさきについて外へ出ていく「オイオイ中島君何があったのさぁ」「さぁ本人は、心当りないみたいだぞ。休憩中に声かけるんだからプライベートじゃないのぉ」「へぇ…中島君やるじゃないか」本人のいないところで同僚達は盛り上っていた「あのぉ清水さん」「ああっ急に呼び出してごめんなさい。中島さんは同級生の弟さんらしいです。」「弟?」「じゃあ幸太兄さんの?」「はい。保育園まででしたが同じクラスでした。」「そうなんですね。でも兄は…」「聞いています。残念でしたね。」「兄をどうして?」「今、佐々木枝里子さんのお宅に下宿していて、アルバムを見てお兄さんのお話を聞いたんです。唐突な話でごめんなさいね。でも以前にずっと視線を感じたことがあったの。その時中島さんがいた気がしたのよ。思い違いならごめんなさい」「あ、あのう…間違いないです。僕がずっと見てました。昔、あなたに似た人を良く見かけていたので似てるなぁと思ったんです。失礼しました」「ケーキ店のおばさんでしょ?」」「ケーキ屋さん?いや,僕は、小さい頃おばあちゃんに預けられてたんだけど兄を保育園に迎えに行くときに一緒になったおばさんに清水さんがよく似ていたんです。」「そうなのね。きっと母です」「おかあさん?」「ええよく似てるって言われるの。ケーキ屋さんに勤めていてその帰りに迎えに来てくれてたのよ。」「そうかぁ。見覚えがあったはずですね。」にこやかに会話する二人が色々な目に触れていることを当人達は知らない

「見たよぉ。中島さん。清水さんと親しそうだったなぁ」「見てたんですか?」「結構見てる奴居たぜぇ。」「参ったなぁ、なんでもないのに」「愉しそうに見えたけど?」「子供の頃近所に住んでたんですよ。それで懐かしいj話をして盛り上っただけなんですよ」「彼女こっちに住んでたのか?」「エエ5、6歳までだそうです。」「へぇそうなんだ。」「それだけですよ」

一方、さきは同級生の弟が保育園のお迎えの時間に母と出会っていたこと。自分や母がこの土地に住んでいたことを実感していたのだった

「中島さんとは懇意にしているんですか?」振り向くとそこには同じ課の遠山が立っていた「遠山さん?お疲れ様です」「お疲れ様です。彼とはどういう知り合いなんですか?」「つい最近知りあいの弟さんだとわかったので声をかけてみました」「知りあいの?」「中島さんのお兄さんと保育園が一緒で懐かしくなっちゃってついね」「お兄さんって」「ご存じですか?交通事故で亡くなったそうですが、」「聞いたことあります」「私も6歳の頃までしか住んでなかったので余り記憶はないんですけど…」「清水さんは千葉に住んでたんですか?」「ええもう20年も前の話よ。住んでたことすら覚えてないから余り言えないけど」「そうなんですか」「中島さんが何か?」「いや別に彼は同期なんです」「まぁ同期って良いわよねぇ。頼りになるし、力をくれるわ」「ええ本当に。清水さんの同期の方は?」「同じ研修で福島と茨城に派遣されています。」「3年目でしたよね確か?」「はい同期達もそうなのよ」「優秀なんですね?」「同期達は優秀だと思います。私はついでみたいなもので…」「ついで?こっちは5年目以上しか選ばれなかったのに…」「自治体によって選抜方法が違うのでは?」「それでもですよ。適当には派遣されませんよ。」「そうなんですか?」「上司からの推薦でしょう?」「私はそうですね」「やっぱりね。優秀なんだわ」「いえ、動かせる職員が居なかったんですよ」「何年かしたら私もこの制度使って横浜に行く予定ですのでよろしくお願いいたします」「お待ちしております」「遠山さん、ちょっと良いか?」向かいの席で声がかかって話は終わった

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