第41話 さきの日常

さきはいつも通りに仕事をこなし下宿先の佐々木家へ戻ってくる。職場でも慣れ友人もでき,食事に誘われることもある。女性ばかりの時もあれば男性職員が混ざることもある。今日はスポーツレクの日で帰りにボーリングをすることになった

「清水さん、ボーリングはできる?」「はい。学生の頃に何度か」「スコアは?」「うーんどうでしょう?大した事はないと思います」答えるさきに「初心者っぽいな。誰と組ませる?大野は、上手いから清水さんが下手してもカバーできる」「でもさ、チーム線で強い人は強い人同士で上位に行く方がポイント多くなるだろう?」「楽しむわけではないんですね?」隣の河西さんに声をかけると「全く。上位入賞者には商品があるのよ、それを狙ってるの。馬鹿みたいでしょ。楽しめないじゃない?」「はぁ…」「私は楽しんで済めば良いのよ。どの後のビールが美味しければ」と不満そうな反応「むきになったら負けた時、暗くならないですか?責められるのは楽しくないですよね」「あぁいつも絡むやつがいるけど。」「アイツ。異動したから今回はいないし。今年は楽しいんじゃないかな?」反対の隣の席の山口が口を挟む「そうだねぇ。今年は楽しく終わると良いね」(今年は?ってどういう事?)「清水さんは俺と組むことになったから。ヨロシクね」後ろから横山班長が手を振る「ヨロシクお願いします班長」さきは席を立って頭を下げる「そんな固くっるしくしないでよ。俺も長いことボーリングしてないから足引っ張るかもよ?」「じゃあ二人で足引っ張りましょう?」「気楽に楽しんで下さい。」「そうします」さきは気が楽になった

さて結果はさきと横山班長チームは3位に入った「意外にやるじゃない?清水さん」「いえ班長とハンディのお陰です」「班長のスコア大した事ないよ。次の大会は僕と組んで1位を目指そう‼️」「残念ながら次の大会は、ここに居ないと思うんですが…」「延長、延長すれば良いじゃない?」「えっ?」「班長、清水さんの研修期間1年延長できませんか?」「お前…馬鹿か。大野」「すいません。つい惜しいなぁと思って」「ありがとうございます。戻る前に機会がありましたら声を描けてください」「うんわかった。」「清水さんアイツ本気にするぞ。しつこいようなら僕に言ってね。注意するからさ」「はい。ありがとうございます」職場にも慣れ楽しい研修期間を過ごしている「ただいま戻りました」「お帰りなさいさきちゃん、」「お帰り~」「枝里子さんお帰りなさい」「チョッと前に戻ったとこよ。早い時間に帰ってるなんて珍しいわね?」「うんチョッと関わってた事案が片付いたのよ。」「毎日大変ねぇ」「好きで選んだ仕事だからね」「カッコいいわね」「調子に乗るんじゃないわよ。嫁入り前の娘がアチコチ擦り傷だらけで…」「仕方がないでしょ。そう言う仕事だからね」「もう。保くん枝里子の事嫌にならないかしら?」「はぁ?」「フフ。保さんなら大丈夫です。枝里子さん大好きですから」「さきは何言ってるのよ。」「だってぇ。見てたらわかるわ…」みるみる枝里子の顔が赤くなる。照れているのかしら。そう思っていると「保なんてどうでも良いのよ」「どうしたのよ。急に喧嘩したの?」「してないわよ。ねぇ知ってた?保の奴モテてるのよ。今日病院に仕事で行ったんだけどナースとか囲まれてデレデレしてるのよ。声をかけずに戻って来た」「知ってるわ」即答するさき「今頃気付いたの?枝里子。保くんは昔からモテたわよ。何言ってるの。奴とかなぁに?そんなこと言ってると嫌われるわよ。」と母の反応「知らないわよ。」とプリプリである「こんばんは…」そこへ保が帰ってきた「いらっしゃい、お帰りなさい保君」「ただいま。お邪魔しまーす。枝里子は帰ってます?」「お帰りなさい保さん枝里子さんはここよ」「さきちゃん、ただいま。そう言えば今度の休み空いてる?」「休み?」「うん。式場のドレス内見会がるんだけど、うちの母さんも行くって勿論枝里子のとこもお義母さん一緒でしょう?僕は要らないかなぁって」「新郎新婦の衣装合わせなんだから行かないと。」「うん。そうなんだけどね。マネキンで事足りるって今日ナース達に言われた」「ナース達」枝里子の母もさきも聞き返したのに若干引き気味の保から聞かされたのは「休みに衣装会わせに行くって話したら男の人が行っても邪魔なだけだって、マネキンがいくつか合って衣装着てるからそれで事足りるって言うんだよ」「まぁ大事な結婚式の衣装合わせを…」と久美子が呟く「とっかえひっかえ着替えるんでしょう?」「どれが一番似合うか見たくないの?」とさき「僕より母さん達の目が確かでしょう?それに当日の楽しみが増えるし。」「あっ。保さんはそうゆう人だわ。」「でも枝里子はどう思う?」「僕が一緒の方が良いかい?行くのは全然構わないけどさ。かえって邪魔?見たいに言われたんだ」「どの看護師がそんなことを言うのかしら?指導が必要ね」いよいよ怒り気味の久美子に「さきと行く。」と枝里子は宣言した「えっ私で良いの?」「勿論両家の母達も」「わかった。送り迎えは任せて」「うん」ご機嫌は直っているが顔を紅いまんまだ

さきは保を玄関まで送って今日の出来事を話す「丁度見られてたんだねぇ。声を掛けてくれれば婚約者ですって紹介できたのに。何で帰っちゃったんだろう?」「保さん、そういうとこ要注意よ」さきの指導が入った

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