第40話 真澄の戸惑い
「結局真澄さんの相談事は何だったの?」「覚えてたんだ」前野家で。しっかり朝食を取ってさきと真澄は駅へと向かった。「ついでに福島へ送るわよ。」「疲れないの?」「愉しいわよ。初めからそのつもりだったもの。ドライブするの私の趣味のひとつだし、真澄ちゃんの顔を見て帰ろうとは思ってたの」「じゃあお言葉に甘えちゃおうかな?」さきとのぞみのドライブタイム「それで困り事って?業務の事なの?」早速さきは真澄の悩みを聞くことにした「業務はどこも似たり寄ったりだから問題ない」真澄「対人関係?」「やたらと食事に誘う人がいるのよ。」「断れば?」「簡単には行かないでしょう?私の次に研修を受ける人もいるのよ?悪態着いたら次が困る」「あらそう言う人を残す方が良くないのでは?」「悪い人じゃないのよ…」「えっ?」さきは耳を疑「ただやたらと馴れ馴れしいと言うか断っても諦めないと言うか鈍い人なのかなぁ?」「嫌ではないんだ?」「困ってはいるのよ…」「嫌じゃないなら誘いに乗ってみたら?」「ええ…二人で行くのも会話が持たない気がする」「皆を誘えば?」「皆?」「班の人が一緒なら良いんじゃない?」「それが隣の課の人なのよ。皆知ってる人じゃないしさぁ」「仲良くなるチャンスじゃない?」「めんどくさいと言うか…」「真澄さん、問題はそこね。どこの課とか部署関係なしで食事を楽しめば良いのよ🎵」「うう…私はさきのように社交性無いんだって❗」「いつもランチルームでは楽しそうにしてたのに?」「あれはさきや足立君が居たからでしょう?」「そんなことはないと思うよ?先輩方も高橋さんって声かけてくれてたし。」「だからねぇあれはさきや足立君が一緒にいるお陰なの。私一人だったら誰も気にしないよ。」「地元でそんなことあった?」「お昼一人ってあまりないし。そういう時ってファストフードで済ませるから」「もうやはりこれは真澄ちゃんが原因だよ。自身を過小評価し過ぎ、あんなに自信たっぷりに私を励ます割に小心者過ぎよ。」「自信たっぷり?」「私はどんなに真澄さんに力もらったか…自分の事は意気地がないのね?」「私はコンプレックスのか溜まりよ?ちちや父や兄弟達と同じ司法の道には進まなかったし、できは悪いし。」「何を言ってるのよ。ちゃんと目標をクリアしたんでしょ?」「でも司法の道には進まなかったし。父だって止めなかった。私には向いてないと思ってたのよ」「じゃあ反対されて、司法の道に進めって言われたかったの?」「嫌、私には無理よ」「ふーん」「何?」「真澄さんも同世代のお年頃なのね?」「はぁ?当たり前でしょう?」「私は、どこか達観している人だと思ってたのよ。真澄さんの事、いつも落ち着いていて、一歩引いてものを見ていてかっこいい女性だと思ってるの」「そんなんじゃないわ。言ったでしょ、できが悪いから冷静に物事を見る様に注意してるだけ。失敗しないようにってね」「それが若い女性にはなかなかできないのよねぇ…」「さきだってそうしてるじゃない?」「そう?私にもできてる?」「足立君はあれだけど、さきは落ち着いてるよ。私より落ち着いてると思う」「のんびり屋なだけじゃないかしら?」「ふっ結局、自分で気付いてないけれど私達はしっかりものなのね?」「多分。だから研修に推薦されたと思うの。希望してなかったし…」「私もよ。何で私って思ったもの。期待されているのかもだけど。自分じゃあそんなつもりじゃないんだよね。」「うんそうね。同感だわ」「で。お誘いの話ね。どんな方なの?」「さぁ詳しくは…だって隣の課なの。殆ど挨拶以外話した気と無いわよ。まだひと月だし」「もうよ。後5ヶ月しか無いのよ?仲良くなるチャンス」「別に良いじゃ…」「勿体ないわよお友達をつくっておくと戻ってから、意見を聞きたい時に頼りになるわよ?」「そんなこと考えたことないよ。そんなことしなくても情報はもらえるじゃない?」「知っていればもっと詳しく聞かせてくれるわよ?」「うーんそうか。さきって意外と計算高いんだね?」「そうね。計算高いと言われたのは初めてだけどきっかけは何であれ知り合いを増やすチャンスだと思うの」「わかった。明日から話を聞いてみる。」「案外、誘ったは良いけどどこに行くか決めた無いかもしれないわよ」「おぉ。あり得る。面白そう。明日早速言ってみようかな」明るくなった真澄を見て微笑むさきは真澄の住むウィークリーマンションの前で真澄を降ろす「茶でも飲んでいかない?」「ありがとう。でもこれから千葉まで戻るからそろそろ帰るわ」「悪かったね。変な相談しちゃって。」「いいえ。真澄ちゃんと仲良くなれて良かったわ。」「また会おうね。前野家でお泊まりもありよ」「うん喜んで行くよ。」「じゃあ気をつけて」手を振る真澄に合図してさきは来た道を引き返す。ナビに従って戻れば良いので迷うことはない。
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