第38話 真澄の事情
さきの伯母である前野家では4人の女性がテーブルを囲んでいる。
自己紹介を済ませ福島の土産を持参してのぞみを喜ばせた。「まぁ素敵。千葉と福島のお土産ですよ。お義母さん。私たちお菓子大好きなの。でも夫が出張に出た時くらいしかお菓子なんて買ってこないし。一時期お取り寄せにも凝ってたんですよ。ねぇお義母さん」とのぞみがニコニコしている「フフ楽しいのよね、普段は行かないところのお土産って楽しいわ。」と久子「お二人で旅行とかしないんですか?」「夫が危ないからって行かせてくれないの。一緒に行くのは良いんだって。でも女同士で行きたいじゃない?ゆっくり温泉に浸かってゆっくり寝起きして…」「夫が一緒に行くと夫の世話をしなきゃ行けないでしょ?」とのぞみ「お姑さんが居るのにそんな事言って良いんですか?」「良いのよ。のぞみさんは結婚してからずっと専業主婦でね。子育ても済んで殆ど昼間は二人だけだから。外に出るのも私をいつも連れていってくれるの自由にしてあげたいのよ」と久子「お義母さん、もう長い付き合いだからお義母さんの方が実の親みたいですよ」「ありがとうのぞみさん」「仲がいいんですねぇ。羨ましい」とますみが「アラ、真澄さん嫁姑問題でもあるの?」「あるわけ無いでしょ。うちは実の親子なのにサバサバしてるわよ。姉はお嫁行っちゃたし、兄は結婚しそうにないし。母は自分の人生を自分のために楽しむ人だから…」「仲はわるくないよ。不干渉なだけ…」「真澄さん。淋しい?」「子供の頃からそれが普通だったから今更何とも思わないわぁ、姉貴みたいに弁護士になるには都合良かったかもだけど私は弁護士にはならなかったし。」「司法試験は9受かったんだよね?」「うん。受かるまでが親への義務。受かった後は自由にして良いって」「ええ。勿体ない」とのぞみが驚く「普通だったからそう思いますよね?」さらっと真澄が応える「うーんせっかく勉強したのに惜しい気がするけど」とさき「司法修習受けないって言ったら考えての事なら構わん好きにしろだって」「かなり変わってるね?怒られなかったの?」不思議そうな表情をするのぞみ「うん変わってるでしょ?」「確かに。司法試験を受ける切っ掛けはなんだったのかしら?」久子も不思議そうである「父が弁護士で兄も姉も弁護士になりました。でも私はずっと向いていないと思っていたのでそれが態度に出ていたんでしょうね」「でも大学に進む時に迷わなかったのかしら?」「ええ迷いましたよ。でもその頃は司法試験に受からないと自分の自由は無いのだと思っていたので、クリアするしかないのだと思っていました。私は勉強することは全然苦痛じゃないんです。ですから両親もそれ以上は何も。」「親の心境としては複雑ね。でも追い詰めてしまった責任を感じていたんだわ。」と久子「えっ…責任?」「私もそう思うわぁ」とのぞみも頷く「まさかーうちの親に限ってそれはないと思いますよ」「今更そうだと言われても…真澄さんも理解が着いていかないわよね?」とさき「そのままで良いんじゃない?ご両親も弁解しないんじゃない?」のぞみは笑って応える「そうね。真澄さんの親御さんは今、新天地で楽しく生活しているのを見て喜んでるんじゃないかしら。」「そうでしょうか?
特に変わった表情を見たこともないですけど」「親の引いたレールをあえてクリアして自分の生活を確立してる娘は誇りよ?」「私はまだ何も成し遂げてないですから…」「これから出きるわよ。真澄さんの様に自分で考えて道を選んでいるもの。頼もしいわぁ。だからこれからも自分の道を進んでね。」「だからって無理する必要はないんだよ。寄り道だと思っていても実は必要な事だったりするんだから。せっかちは駄目よ?ちゃんと見極めて進んでね、それが寄り道になっても。」「あぁ…素敵な方達だわ。さき。私も親戚になりたいわぁ」「真澄さん?」「さきちゃんが居ないときでも遊びにいらっしゃいな。もうお友達でしょう?」「宜しいんですか?」「勿論よ若い女性とお話しすると楽しいわ。お義母さんはいかがですか?」「楽しいねぇ。孫が増えたみたいで」「私は図々しいので本気にしますよ?」「良いわよ。」「…」「さきどうしたの?」「私のおば様と親戚を乗っ取られた感じ」「イェーイ」「まぁさきちゃんはさきちゃんよ。真澄さんも真澄ちゃんと呼ぶけど良いから?」「ちゃん付けされたこと無いから背筋がぞくぞくしますよ」「わーい真澄ちゃんヨロシクね🎵」「さき、嫌がってるの楽しんでるでしょ」「勿論」「随分と賑やかだな」と正太郎が帰ってきた「お帰り正太郎」「おかえりなさ~い」「たただいま戻りました。て言うか誰?」「さきちゃんの親友で真澄ちゃんよ。私達お友達になったの❗」のぞみがにこやかに正太郎の上着を受け取り紹介する「はじめまして、高橋真澄と申します。さきの同期で現在福島へ研修を受けに来てます。」「ああ俺、私は前野正太郎です。最近親戚って判明したからぎこちないところもあるけど仲良くしてやってくれ」「最近知り合ったの?」「そうなの」「でも違和感ないでしょ?」「全然感じないわ」「そのままで良いと思うわ。真澄ちゃんもね」「はいありがとうございます」
自室で着替える正太郎を手伝うのぞみ「賑やかだな。子供達が帰ってきてるかと思ったよ」
「そうね。うちの子達は男ばっかりだけどね」「友達連れてくればこんな感じになるんだろうさ」「あまり期待できないですけど?」「そんなことはないさ年頃になればー」「外国の女性が来たら会話できないわ」「あり得るな。あいつら連れてきそうだ。」「もう、正太郎さんたら」呆れてため息を着くのぞみであった
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